「The Saxophones」製品レビュー:ソプラノ、アルト、テナー、バリトンの4種類を収録したサックス音源

SAMPLE MODELINGのプラグイン・サックス音源がリニューアルされ新登場。ソプラノ、アルト、テナー、バリトンと4種類の楽器ごとの製品だったものを、ワンパッケージにまとめるとともに、ユーザー・インターフェースや音源方式も統一された。フォーマットも、Windows(VST)とMac OS X(VST/Audio Units)で共に32/64ビット対応とプラットフォームを選ばない上、コスト・パフォーマンスも向上しさらにチョイスしやすい製品になったようだ。早速チェックしてみよう。

SAMPLE MODELINGThe Saxophones
SAMPLE MODELINGのプラグイン・サックス音源がリニューアルされ新登場。ソプラノ、アルト、テナー、バリトンと4種類の楽器ごとの製品だったものを、ワンパッケージにまとめるとともに、ユーザー・インターフェースや音源方式も統一された。フォーマットも、Windows(VST)とMac OS X(VST/Audio Units)で共に32/64ビット対応とプラットフォームを選ばない上、コスト・パフォーマンスも向上しさらにチョイスしやすい製品になったようだ。早速チェックしてみよう。

SWAMエンジンを全面的に採用し
分かりやすく音楽的な操作性を実現


本製品も含め、すべてのSAMPLE MODELINGの製品は独自の音源方式を採っていて、それが社名の由来にもなっている。名前が示すように、実際に楽器を演奏して収録したマルチサンプルを元に、モデリング技術によって波形を変化させてさまざまな表現を可能にする方式。サンプリングならではのリアリティとモデリングの持つ柔軟性の両方を実現しようというわけだ。と、このように書くと難しく感じられるかもしれないが、本製品から4種類のサックスすべてに採用されたSWAMエンジンにより、音作りや演奏に対する挙動の調節などは、とても簡単に行える。プリセット音色は4種類のサックスそれぞれに2つずつだが、これはキーボード/ウィンド・コントローラー用というだけの違いで音色そのものは同じ。大容量サンプリング音源のように奏法別に数多くのパッチを用意するのではなく、1つのパッチですべての奏法を実現するというのがサンプル・モデリング音源ならではだ。だからといってお仕着せの音色でしか演奏できないわけではない。パラメーターのエディットにより、奇数/偶数次の倍音比率やフォルマント位置を変えて音色のふくよかさを調節したり、サブハーモニック(サブトーン)、キー・ノイズ、ブレス・ノイズ、グロウルなどのノイジーな要素を増減したりできる。しかもこれらをMIDI CCにアサインして演奏中でも変化させることが可能だ。さらに、元の音色が気に入らない場合には、モデル自体を入れ替えてもいい。モデルは12種類用意され、DryやBrightなどリードの硬さやマイキングなどが選べる。とにかく、どのパラメーターも、サックスの奏法や楽器に関するものなので、結果が把握しやすく目標の音色に到達しやすい。また、どのように操作しても音色が破たんすることなく、サックスとしての説得力を失わないので、適当に触って音源から音色のアイディアを得ることもできる。ちょうど生のサックス・プレイヤーと相談しながらトラックのサウンドを作るように、音楽的な感覚で楽しみながら音色をエディットできる音源だ。内蔵エフェクトに関してはリバーブのみと必要最小限だが、4種類の楽器の特徴をうまくとらえた素直なサウンドは、このままでもポップスやニューエイジなどにはよく合うし、外部エフェクト処理を加えて、クラブ・ジャズやファンクなどのバリバリのサウンドにも加工できるだろう。 

サックスらしい音色やピッチの変化により
リアルな演奏表現が可能


SWAMエンジンの最大の魅力は、演奏に対する追従性、演奏中のリアルな音色変化にある。強弱のコントロールには通常の鍵盤の強弱(ベロシティ)とエクスプレッション・ペダル(MIDI CC#11)の両方を使用する。鍵盤を弾くだけでも最弱音から最強音まで表現可能だが、管楽器特有の音を伸ばしたままで強弱を変化させる場合にはエクスプレッションも使える。例えば、ロング・トーンでクレッシェンドする場合、弱く弾いた後でエクスプレッションを上げれば徐々に強く吹くように音量が大きくなるとともに音色もブライトになる。もちろんこういった強弱変化は無段階に滑らかに変化する。併せて先に解説した倍音やフォルマント、ノイズ要素などの要素も反映され、強く弾けば(ペダルを踏み込めば)倍音やノイズ要素が増え荒々しい音色になる。どの程度そうするかをパラメーターによって設定するというわけだ。さらに強弱による変化だけでなく、演奏の速さや音程によっても出音は変化する。速弾きしたり音程が跳躍するようなフレーズを弾くと、いい感じに音程が甘くなる。また、強く吹いたときに音程がひっくり返るようにオクターブが上がるオーバ
ーブロウや、音を断続的に震わせるフラッター・タンギング、滑らかにピッチを下げながら音を切るフォールといったサックス特有の奏法もキー・スイッチで簡単に再現できるし、ホイールを使ったビブラートも実にリアルだ。バップっぽいアルペジオ・フレーズを弾くと実にそれっぽくなるし、適当に鍵盤をたたいても音色が生々しいので、なんちゃってフリーのようになって楽しい。とにかくフレーズを弾いてこそ生きる音源だし、特に難しい演奏をしなくてもサックスらしくなるのが魅力だ。本製品はトップ・レベルのリアルな音源だが、独特の音源方式によりCPU使用率も低く必要とするハード・ディスク・スペースもわずかだ。環境を選ばないので、サックス音源を考えている人は、ぜひ一度チェックしてみることをお勧めする。 (サウンド&レコーディング・マガジン 2013年6月号より)
SAMPLE MODELING
The Saxophones
51,450円
【REQUIREMENTS】 ▪Mac/Mac OS X 10.5/10.6/10.7、INTEL Core 2 Duo以上のCPU ▪Windows/Windows 7(32/64ビット)/XP、INTEL Core 2 Duo以上のCPU