「VIR2 Studio Kit Builder」製品レビュー:130種類ものドラム・ピースを収録した“ビルド・アップ”型サンプル集

VIR2はサンプリング・ライブラリーの老舗メーカーBIG FISH AUDIOのソフト開発部門。今までにも映画などに携わるコンポーザー向けに派手でちょっと不思議なサウンドが多数収録されたQ - For The Big Screenや、普通に弓で弾くだけでなく、マレットや箸などでたたいた音などをエフェクトで強力に処理し、元がバイオリンだと分からないほど変質させたViolenceなど、ユニークな視点の製品を数多く発表しています。Studio Kit BuilderはそんなVIR2からのドラム音源ですから期待しないわけにはいきません。

VIR2Studio Kit Builder
VIR2はサンプリング・ライブラリーの老舗メーカーBIG FISH AUDIOのソフト開発部門。今までにも映画などに携わるコンポーザー向けに派手でちょっと不思議なサウンドが多数収録されたQ - For The Big Screenや、普通に弓で弾くだけでなく、マレットや箸などでたたいた音などをエフェクトで強力に処理し、元がバイオリンだと分からないほど変質させたViolenceなど、ユニークな視点の製品を数多く発表しています。Studio Kit BuilderはそんなVIR2からのドラム音源ですから期待しないわけにはいきません。

Kontaktスクリプト機能を使い
ユーザー独自のキットをデザイン可能


Studio Kit BuilderはNATIVE INSTRUMENTS Kontakt 5 Playerを使用しプログラムされたサウンド・ライブラリー。“Big Room Rock”や“60's Mo-Town”などの名前からも分かるように音楽のジャンルなどに合わせて作り込まれた50のキットと、27のキック、36のスネアなど全部で130種類のドラム・ピースが用意されています。さすが最新のサンプラー・エンジンを使用しているので、DFD(Direct From Disk)機能によるハード・ディスク・ストリーミング再生はもちろん、最大16コアのマルチプロセッサーに対応、メモリー・サーバー機能により4GB以上のメモリーを使用できる点など、現時点で最高とも言えるスペックを誇ります。そしてこのStudio Kit Builderの最大の特徴はKontaktのスクリプト機能を使い用意された、キット、ミキサー、マッピング、プレーヤーの4つのカスタム・インターフェースで簡単にユーザー独自のドラム・キットをデザインできる点です。“キット・ウィンドウ”ではドラム・ピースごとにピッチや発音数などが設定可能。実際に使用してその便利さに感心したのが、最低値と最高値を指定でき簡単に演奏しやすい状態が得られるベロシティ感度の設定と、同じベロシティを入力してもピッチや音量、ベロシティによるサンプルの切り替えなどにランダムな“揺らぎ”を加えることができる“Humanize”機能です。一定ベロシティのいわゆる“ベタ打ち”のデータでも人間らしい適度な揺らぎを加えられるので重宝します。“マッピング・ウィンドウ”は各ピースのノート・アサインを変更するためのウィンドウ。最近のサンプラーは高機能になった代わりに、設定の変更などの操作が難しくなっている傾向があるので、このようにシンプルで分かりやすい設定画面はとてもうれしいです。また作成したマップ(各ノートへのドラム・ピースのアサイン順番)は保存してほかのキットに読み込んで使用可能です。“プレーヤー・ウィンドウ”ではMIDIファイル・ブラウザーで試聴して気に入ったものを即座にホスト・アプリケーション(DAW)のMIDIトラックにドラッグ&ドロップすることができます。 

ドラムのサウンド作りに必要な
エフェクトを10種類ルーティング


シンプルなルックスのミキサーを中心とした“ミキサー・ウィンドウ”ですが、Studio Kit Builderの一番の魅力はこのウィンドウ内にあるエフェクターです。元となるサウンド(ドラム・ピース)はプレーンな状態というよりも、コンプとEQでベーシックな処理はされており、そのままでも十分使用することができる状態ですが、搭載されたハイレベルなエフェクターを駆使すれば想像以上に簡単にサウンドをコントロールすることが可能です。では具体的にその内容を紹介しましょう。キックやスネアなど8種類の各ドラム・ピースとダイレクト、オーバーヘッド、ルーム、マスターの4種のミックス・バスのすべてに①Effect send(Reverb Chorus Flanger Delay)②TRANSIENT③SOLID G-EQ④SOLID BUS COMP⑤STEREO⑥Saturation⑦Limiterの順番で、10種類のエフェクターがルーティングされています(センドは共有)。ドラムのサウンド作りに必要なものはすべてそろっており、“STEREO”で広がり具合、“Saturation”でひずみ具合まで調整可能ですが、中でも個人的に一番気に入ったのは“TRANSIENT”で、打楽器にとって重要なアタックを驚くほど簡単にコントロールできます。また特筆すべきは単体製品としても販売されている“SOLID G-EQ/BUS COMP”といった高性能のコンプやEQが組み込まれている点。もちろん微妙な調整も得意としますが、ほかの製品にはない個性はこれらのエフェクターを駆使した大胆な加工と、シンプルで分かりやすい操作性にあります。まさしく自分好みのドラム・キットを“ビルド・アップ”することが可能なのです。 名前通りに自分にフィットする“創作したくなる気持ち”にさせてくれるドラム・キットStudio Kit Builder。すべてのコンポーザーやサウンド・クリエーターの方にお薦めします。 (サウンド&レコーディング・マガジン 2013年6月号より)
VIR2
Studio Kit Builder
オープン・プライス(市場予想価格/19,950円前後)
【REQUIREMENTS】 ▪Mac/Mac OS X 10.6以降、INTEL Core Duo 1.66GHz以上のCPU、2GB以上のRAMを推奨 ▪Windows/Windows 7(最新Sevice Pack 32/ 64ビット)、INTEL Core Duo 1.66GHz 以上のCPU、2GB以上のRAMを推奨