卵形パッシブ・スピーカーと専用アンプを同梱したモニター・システム

SE ELECTRONICSThe Egg 150 Monitor
位相問題を解決するという卵形の2ウェイ・パッシブ・スピーカーと、専用パワー・アンプを内蔵するコントロール・ユニットがセットになったThe Egg 150 Monitorシステム。SE ELECTRONICSがプロデュースし、モニター・スピーカーの世界で約30年というキャリアを持つ実力派設計士、アンディ・ムンローがスピーカーの設計を手掛けたユニークなコラボ製品となっています。どんな音がするのか、早速チェックしました。

3バンドEQを備えたアンプ・ユニットを
バスレフ型スピーカーとスピコン接続


まずはコントロール・ユニットの仕様を見ていきます。内蔵パワー・アンプは、片方のチャンネルあたり低/高域共に50Wの出力を持ち、バイアンプ方式で駆動。入力端子としてゲインを+4/-10dBから選べるメイン・インL/R(XLR)と、-10dBに固定したAUXインL/R(RCAピン)が装備され、それぞれを"SOURCE"ノブで切り替えて使用できます。また、各入力にはボリューム・コントロール・ノブが備えられるため、出音の音量を個別に設定可能。一方、出力端子としてはメイン・アウトL/R(スピコン)を装備するほか、ヘッドフォン端子(フォーン)も用意されています。音場補正の機能には、低域の出力を−10〜±0dB、高域の出力を−5〜+1dBの範囲で調整できるEQを搭載。設置する部屋の特性に合わせて、基本的な音作りが行えます。さらに、中域のキャラクターを"SOFT""0(フラット)""HARD"の3種類から選べる"MID EQ"ノブも用意。電源は115/230Vから選ぶ形となっております。次にスピーカーをチェック。背面には入力端子(スピコン)を装備しており、付属のスピーカー・ケーブル(3m)でコントロール・ユニットと接続できます。フロント・パネルにはポートを備え、バスレフ型として設計。ツィーター/ウーファーの口径はそれぞれ25/165mmとなっております。

解像度が高くスピード感のある出音
小さな音量でも整ったバランスをキープ


それでは音を聴いてみましょう。第一印象としては、スタジオでよく使われているYAMAHA NS-10Mをハイファイにした感じ。比較すると中高域は落ち着いているものの、トランジェント特性に優れ、なおかつバランスの良いスムーズなサウンドです。全体的に不必要な色付けが無いため、ややおとなしい響きにも聴こえますが、解像度が高くスピード感もあります。また左右のステレオ感やセンターの定位感も優れています。特筆すべきは低域の鳴り。音量を上げなくても重量感のある低域がダブつかず、安定しています。ミックスで使ったところ、ミキサーで低域のEQを少し動かすだけでも敏感に反応しました。キックやベースを作る際、頼りにできそうです。続いて"MID EQ"をチェック。EQのかかり方としては、このスピーカーのクロスオーバー周波数=2kHz辺りを中心に、幅広い帯域が変化する感じ。高域もやや変わるため、全体の質感が変化して聴こえます。"SOFT"に設定すると歌やスネアなど、中〜中高域にエネルギーのあるパートがボリューム・ダウン。音全体の定位が奥まり、ソフトな響きになります。"HARD"の場合は中〜中高域が持ち上がり、全体が強めに前へ出てくる感じ。同じスピーカーでも、設置環境によっては低域や高域だけでなく、中域の出方も全く違ってくるので、この機能は重宝しそうです。昨今、数多く発売されている小型のモニター・スピーカーと比べれば、本製品はやや大きなサイズとなります。しかし小さな音量でもバランスが崩れず、低域もしっかりと見えるため、スタジオで作業する人にはもちろん、自宅で音楽制作する人にも、ぜひ一度試していただきたい製品です。201201_TheEgg150Monitor_01.jpg

▲コントロール・ユニットのフロント・パネルには左から、メイン音量、中域用のMID EQ、メイン/AUXインの切り替え、AUX音量を調整するノブを配置


 201201_TheEgg150Monitor_rear.jpg▲コントロール・ユニットのリア・パネルには、左からメイン・インL/R(XLR)やAUXインL/R(RCAピン)、入力レベル切り替えスイッチ、高域用EQツマミL/R、低域用EQツマミL/R、スピーカー・アウトL/R(スピコン)、LEDのON/OFFスイッチ、電圧切り替えスイッチ(115/230V)が並ぶ撮影/川村容一
SE ELECTRONICS
The Egg 150 Monitor
オープン・プライス (市場予想価格/210,000円前後)
⃝スピーカー▪周波数特性/45Hz〜20kHz▪外形寸法/289(W)×398(H)×258(D)mm▪重量/5.25kg(1本あたり)スピーカー・スタンド▪外形寸法/220(W)×67(H)×245(D)mm▪重量/1.5kg(1台あたり)コントロール・ユニット▪クロスオーバー周波数/2.1kHz▪アンプ出力/低域:50W、高域:50W(ピーク)▪外形寸法/420(W)×88(H)×300(D)mm▪重量/8kg