
収録されたコンストラクション・キットやアンサンブルは、元ネタとなった名曲の香りを漂わせながらも嫌みの無い仕上がりに思わず"ウマイ"と、うなってしまうアレンジで楽しませてくれる。 例えば、各素材に施されたサム&デイヴ風のブラス・アレンジには、サザン・ソウルのテイストがさえわたっている。パンチのある音色は、太くしっかりとした出来栄えだ。スタッブからフォールまで、デュレーションの長短を問わず秀逸なサウンドは、サンプラーにストックしたい品質。また、アンサンブルで聴けるメロウなコード進行からは、スタイリスティックスなどのフィリー・ソウルの要素が感じられる。ハーモニーを奏でるWURLITZERの古めかしいエレピの音色は味わい深い質感で録音されており、ブレイクビーツ主体のヒップホップやアナログ・テイストで打ち込まれたニューソウルなどの楽曲にはもってこいだ。収録素材のテンポは100〜120BPMがメインとなるので、サンプラーでの切り分けや生楽器が多用されるハウス・トラックへの導入も行いやすく、使い勝手に富んでいる。また、大半のキットには"intro" "a" "b" "end"といった4種類のパターンが用意されており、ワンループで進行する楽曲に展開を付けたいときに重宝するだろう。さらに、キックやスネアなど、ドラムの各インストゥルメントが個別に分けて収録されたソロ・トラックを自分でミックスすると、好みのサウンドを持ったドラム・トラックを作り込むことが可能だ。24ビットでの録音にもサウンドへのこだわりが感じられる本製品。ぜひ、下記Webサイトでサンプルを試聴してみてほしい。(『サウンド&レコーディング・マガジン』2010年11月号より)