88鍵のハンマー・アクション鍵盤を持つMIDIマスター・キーボード

CMEUF80 Classic
豊富なつまみとフェーダーを持ち、ライブで重宝しそうなMIDIキーボード

CME UF80 Classic オープン・プライス(市場予想価格/67,800円前後)2006年の発売以来好評を得ているCME UFシリーズが新たに生まれ変わって登場しました。“弾き心地の良さ”をさらに追求した、高品位の88鍵ハンマー・アクション鍵盤を持つインテリジェント・キーボード・コントローラー、UF80Classicを紹介しましょう。

チプレイヤー目線に立った重量感あるハンマー・アクション鍵盤


まず目を引くのがボディのデザインです。黒くツヤのあるサイド・パネルや、鍵盤の根元に見える赤いフェルトはピアノを思わせる上品な仕上がり。全体も黒ベースのカラーリングでスマートな印象です。このUFシリーズのデザインが好きなユーザーも多いと思いますが、今回の高級感あふれるデザインは演奏するモチベーションを高めてくれそうです。最も注目すべきハンマー・アクション鍵盤は、その重量感に特徴があり、割と重いタッチの印象。特に柔らかな跳ね返りがピアノを演奏している感触により近く、よく考えられていますね。この感触がとてもリアルで指先の繊細なタッチにも反応します。アフター・タッチ機能も備えていて、ストレスなく演奏に集中することができ、プレイヤー目線に立ったツボを押さえた仕上がりになっています。鍵盤部分は非常によく構造を研究されており、ピアノ音源で演奏したときは感動しました。電源はUSBバス・パワーによるプラグ&プレイ対応で、Windows XPとMac OS Xにて使用可能。筆者の制作環境で、リア・パネルのUSB端子に接続し電源を入れると、コンピューターが認識し自動的にドライバーをインストールしました。そして、USBオーディオ・デバイスとして認識されます。インストール時は面倒な設定の手間がないのでストレスがありません。コントローラー・セクションはシンプルで直感的にコントロールできるようにデザインされていて、使いやすい印象。9つのフェーダー(マスターボリューム・フェーダー+8つのアサイナブル・フェーダー)、そして8つのコントロール・ノブがあり、さまざまな機能をアサインすることが可能。それぞれ2階層のレイヤーを切り替えることができるので、2倍の数のパラメーターを一度に制御することが可能です。この切り替えもスイッチひとつ。各操作が非常にシンプルに設計されていて、ここでもプレイヤー目線だなと感じました。オルガンなど、ドローバーを使用する音源に対しては9つのフェーダーをドローバーのように使用でき、音色を直感的にエディットできます。大きめのフェーダーはライブでも使いやすいと思います。好みが分かれるポイントだと思いますが、つまみやフェーダーの感触にも適度に柔らかさがあって手によくなじみます。

ライブで重宝しそうなパネルのつまみとフェーダー群


パネル左に位置するDAWをコントロールするトランスポート部分は大きめのボタンで、これは便利。シーケンサーをコントロールすることができます。実際にコンピューターで制作していると僕の場合、結構せわしなくシーケンス・コントロールするのですが、この大きさのボタンは操作しやすく楽でした。ライブでシーケンサーをスタートする場合にも確実に重宝すると思います。そのほか、本機のコントローラー・セクションにはシーケンサー・リモート・ファンクション・ボタンやLED表示、ピッチ・ベンドとモジュレーション・ホイールなど、MIDIキーボードで欲しいフィジカル・コントロールが装備されています。DAWのパラメーター操作をコントロール・パネル上で行う“U-CTRL” 機能の設定も非常に簡単です。各種DAWソフトのMACKIE.コントロール・ファンクションと連動しており、順序に従い設定すれば、操作性に優れたDAW音楽制作のマスター・キーボードとして、その能力を十分に発揮できると思います。UF80 ClassicにはMIDIアウト端子も装備しているので、外部音源をMIDI端子で接続するプレイヤーにも安心ですね。リア・パネルにはPEDAL出力A/B(サスティン/ボリューム・ペダル)、ブレス・コントローラー用の端子も搭載し、アイディア次第でさまざまな表現が可能です(写真①)。本機は鍵盤のタッチにこだわり抜いた、プレイヤー目線のマスター・キーボードという印象でした。ピアノの感触にこだわった楽器なので、ライブではピアノを主に使うアーティストに向いていると思います。僕もステージで両手を使ってぜいたくに弾き倒したいと思いました。cme_rear

▲写真① リア・パネル。左からMIDI OUT、PEDAL A/B、BREATH、USB端子、DC IN、電源スイッチ


『サウンド&レコーディング・マガジン』2010年10月号より)
CME
UF80 Classic
オープン・プライス(市場予想価格/67,800円前後)
▪鍵盤部/88鍵盤ハンマー・アクション(ベロシティ対応、アフター・タッチ対応) ▪入出力/USB端子×1、PEDAL端子×2、ブレス・コントロール端子×1、MIDI OUT×1 ▪ディスプレイ/3桁7セグメントLED ▪電源/USBバス・パワー、またはACアダプター(別売/12V 1.5A DCセンター・プラス) ▪外形寸法/1,408(W)×150(H)×372(D)mm ▪重量/23.5kg