片手ですべての操作が可能な"Hシリーズ"最新ハンディ・レコーダー

ZOOMH1
音質はもちろんデザイン、設計までも関心させられるレコーダー

ZOOM H1 オープン・プライス(市場予想価格/11,340円前後)ハンディ・レコーダーでも評判の高いZOOMが、最新モデルH1をリリース。同社の製品はいつも本当に分かりやすく作られていて、かつ多機能という印象を持っているので、音質はもちろんデザインや設計などにいつも感心させられています。それではH1、チェックしてみましょう。

単3電池×1本で作動し最大24ビット/96kHzの録音も可能


箱から取り出すと、手のひらにすっぽりと収まり軽量。主なボタンは両脇に配置され、片手ですべての操作ができるほどよくデザインされています。上部には立体的なステレオ感覚が得られるXYステレオ方式コンデンサー・マイクを搭載。録音はWAVでは44.1/48/96kHzが選択でき、それぞれ16/24ビットを選択できます。MP3も48〜320kbpsまで12段階で、Web配信などに役立つでしょう。記録メディアはmicroSDカードとmicroSDHCに対応。32GBカード使用時は16ビット/44.1kHzのWAVで約50時間、128kbpsのMP3では約555時間のステレオ録音が行えるという、いやぁ、すごい時代になりましたねぇ。しかもこれ、単3電池1本で動くのだから......。正面にはバックライト付きの液晶画面を搭載。レベル・メーターやファイル・フォーマットなどが表示されます。そしてその下は録音ボタン。回りにほかのボタンが無く、間違って録音を止めてしまうなどのアクシデントは少ないでしょう。続いて右側には外部機器や外部マイク接続するマイク/ライン入力(ステレオ・ミニ)を装備。プラグイン・パワー方式の外部マイクも使用可能です。その隣が入力レベル調節スイッチ。0〜100までの調節範囲で細かな調整ができるでしょう。その先は早送り/再生/巻戻しがあり、再生ボタンは録音中はマーカー・ボタンとして機能します。そしてゴミ箱のマークの削除ボタン、ホールド機能も備える電源ボタン、USB端子と続きます。左側はライン/ヘッドフォン出力(ステレオ・ミニ)と、出力音量調節スイッチがあります。入力と出力を両サイドに分けるこのデザイン性こそが、初心者でも説明書無しで大丈夫なほどの使いやすさを実現しているのでしょう。さらに本体にはスピーカーが内蔵されていて、ヘッドフォンを使用しなくても録った音をすぐ確認できます。背面にはスイッチが3つ。1つめはローカット・スイッチ。室内使用時では低域をカットして空調ノイズなどの雑音を抑えたり、屋外で使用の際は、別売りのアクセサリー・パッケージ(オープン・プライス/市場予想価格2,310円前後)に含まれるウィンド・スクリーンと併用することで吹かれなどを抑えます。2つめはオート・レベル・スイッチ。自動的に録音レベルを調節する機能。これは音楽よりも会議やインタビュー録音に効果を発揮しそうですね。そして3つめが録音フォーマット切り替えスイッチとなっています。

定位や奥行きなどを"耳で聴いたまま"に録れる音質


まずは屋外でローカットを入れず、24ビット/96kHzのWAVで手持ち録音してみました。やはりハンドリング・ノイズと風の吹かれでクリアには録れなかったので、ウィンド・スクリーンを装着し、背面のローカット・スイッチをオン。ハンドリング・ノイズ対策はこれまたアクセサリー・パッケージに含まれる小型三脚を付けて録音したところ、ハンドリング・ノイズは無くなり、吹かれも解消しクリアに録れました。音質はモタついた感じが一切無くピントが合ってハッキリした印象。耳で聴いた音がそのまま録音された感じ。このクオリティは、"使える音質か使えない音質か"を論争する低レベルなものではなく、"こんなに奇麗に録音できるならこう使えるかも、あんな風には使えないかなぁ"といろいろ考えを巡らせてしまうほどのもの。"ビデオ・カメラの外付けマイクとしても最適"とWebサイトでもうたわれているので、ライブ映像収録時などにも一役買うこと間違い無しでしょう。次はリハスタでドラムとギターを同時に演奏して録ってみました。こちらも音の定位のみならず、遠近感も奇麗に再現しているので、本当に現場で鳴っていた音そのまま。左右の広がりだけでなく奥行き感まで見事に再現され、即戦力となるレベルです。そして録音したファイルのコンピューターへの保存も簡単です。USBケーブルでコンピューターと接続するだけで、外部メディアとして認識される超簡単操作です。H1は録音から再生、マシンへの転送までストレス・フリーで作業でき、音質も折り紙付き。コスト・パフォーマンスを考えても"買い"の1本です。h1_right

▲本体右側。左からUSB端子、電源スイッチ、削除ボタン、巻戻しボタン、再生ボタン、早送りボタン、入力レベル調節スイッチ、マイク/ライン入力端子(ステレオ・ミニ)



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▲本体左側。左からライン/ヘッドフォン出力端子(ステレオ・ミニ)、出力音量調節スイッチ、メディア・スロット


『サウンド&レコーディング・マガジン』2010年10月号より)撮影/川村容一
ZOOM
H1
オープン・プライス(市場予想価格/11,340円前後)
▪同時録音&再生/2トラック ▪録音フォーマット/WAV(16/24ビット、44.1/48/96kHz)、MP3(48/56/64/80/96/112/128/160/192/224/256/320kbps) ▪対応メディア/microSD(16MB〜2GB)、microSDHC(4GB〜32GB) ▪外形寸法/ 44(W)×31(H)×136(D)mm ▪重量/60g(電池含まず)