KORGKaossilator Pro

MIDI端子の搭載により、外部音源のパッドでの制御が可能になるなど、大幅にパワーアップ。
KORG Kaossilator Pro 50,400円ルート・キーとスケール(音階)を指定してプレイされるノートを限定することによって、ランダムにパッドを操作しても、オケにフィットしたスケールで鳴ってくれるという超画期的なコンセプトで登場したシンセサイザー=Kaossilator。"パッドを触っているだけで、カッコいいフレーズが電池駆動の小さなボディから飛び出してくる!"ということで、普段、音楽制作しない人たちまでが大人買いしていました。その初代モデルをプロ仕様にグレードアップしたのが、今回紹介するKaossilator Pro。プレス用写真を見たときは"今回も即買いでしょ!"と興奮して、twitterでつぶやきまくり。幸運にも発売前にその操作性や出音を確認できるということで、早速、友人宅のスタジオでチェック&レビューなう!
ボディの大型化により操作性が向上
箱から取り出して一見したところ、Kaoss Pad KP3(以下KP3)と同じボディが使われているようで、同機種を使った事がある人であれば、すぐ機能が理解できると思います。特に、SHIFTやWRITEボタン、LOOP RECORDER BANKキー、TAP TEMPOボタン、INPUT/PROGRAMボリュームなどは全く同じ構成。KP3と並べて設置するとステージ映えします。また、ACアダプターが小型化されているのも、好感が持てます。緑色に光るタッチ・パッドはこれまでなかった色ですごく新鮮ですし、KP3同様、選択したプログラム名も表示されて便利。本体が大きくなった分、タッチ・パッドの面積も大きくなって操作性が向上したので、特定のノートが押しやすくなりました。以前、友人のアーティストは初代Kaossilatorを携帯ゲーム機のスタイラス・ペンで細かく演奏していましたが、そんな煩わしさからも一気に解放されます! またPROGRAM MEMORYが8つ用意され、気に入った音色を保存できるので(写真1)、ボタン1つで即呼び出しが可能になり、これまでのようにメモを見て、音色の切り替えをする必要がなくなりました。

美しいスウィープ系の音色 ゲート・アルペジエイターも装備
触って楽しく、遊び心いっぱいなところは初代と変わらず、例えばリード系の音色を選択し、スケールを"MIB"(マイナー・ブルース)に設定すれば、気分はもうアンダーグラウンド・レジスタンス! また、ベース系の音色"Fall Bass"にほかのベース音をオーバーダブすれば、いい感じでランダムにうねるベース・ラインが出来上がります。アコースティック系に新規追加された音色"Jazz Guitar"もいい感じ。さらにリズムは従来のDSP音源に加えて、新たにPCM音源も搭載。よりリアルなドラム・サウンドで迫ってきます。そんな中特に気に入ったのは、キラキラした美しいスウィープ系の音色でした。スタジオで一緒に作業中のドラムンベースのプロデューサー=T-AKにも気に入ってもらえて、制作中のトラックに早速ダビングしてしまいました。また今回、マイク入力端子と共に15種類のボコーダーも新たに追加されました。これはKP3に搭載されていたボコーダーとLOOPERなど人気エフェクトをベースにしており、スケールの設定も可能になっています。もちろんマイク入力された自分の声を、ゲート・アルペジエイターでスタッカート、またはレガート気味に切り刻むこともできますし、リア・パネルにはライン入力(RCAピン)も装備されているので、声以外の音ネタを加工することもできます。そのゲート・アルペジエイターも今回装備された機能ですが、古くはElectribe ESX-1などから受け継がれているもので、トップ・パネル左にあるフェーダーを上下するとゲート・タイムが変わり、アルペジオのプレイに幅が出せます。リア・パネルにあるSPEED/TIME切り替えスイッチと組み合わせて、ゲート・タイムの値を1/16拍(最小値)でクオンタイズし、正確にノートの長さを合わせたり、逆にクオンタイズを外して躍動感のあるプレイを行うことも可能です。このゲート・アルペジエイターと併せて、本機の最大の特徴とも言えるスケールの設定もトップ・パネル右の独立した"SCALE"ボタンで可能になり、格段に設定しやすくなりました。スケールの数は、半音階のスケールからメジャー、マイナー、ブルース、ペンタトニックなど31種類。ルート・キーも3オクターブに広がり、どんな曲にもフィットするでしょう。さらに新機能としてパッドのキー・レンジを4オクターブの範囲で変更できるようになりました。これは特にリード系のソロ・パートなどで威力を発揮しそうですね。
MIDI端子が搭載され外部音源をパッドで制御可能!
これらの機能を駆使して出来上がったフレーズや外部より入力し加工したサウンドは、トップ・パネル下部に装備されたKP3譲りのLOOP RECORDER BANKキー×4に、リアルタイムでループ・レコーディングできます(最大4小節)。各パッドはオーバーダブに対応していますし、各パートを4つのキーに振り分けて、ミュートで曲を展開させることもできます。また不必要になったループは、ERASE LOOPボタンで曲を再生しながら消去することも可能。パフォーマンスを止める必要がないのは、さすがです!さらにうれしいことに、サンプル・データや設定などを本体やSDカードに保存できるようになりました(写真2)。



▲リア・パネル。左よりMIDI OUT/IN、USB端子、GATE ARPスイッチ、ライン出力(RCAピン)、ライン入力(RCAピン)
(『サウンド&レコーディング・マガジン』2010年4月号より)
KORG
Kaossilator Pro
50,400円
▪プログラム数/200(15エフェクト・プログラムを含む)▪ディスプレイ/4桁LEDディスプレイ▪外形寸法/210(W)×49(H)×226(D)mm▪重量/1.3kg