ALESISMultiMix 4 USB
使えるマイクプリを持ったオーディオ・インターフェースとしても、簡易ミキサーとしても、幅広く手軽に使用可能な小型ミキサー
ALESIS MultiMix 4 USB 13,440円低価格帯のオーディオI/O付き小型ミキサーは激戦区。さまざまなコンセプトと性能の製品がひしめきあう中、ALESISからニューフェースが投入。録音機材やシンセ、リズム・マシンでは定評あるだけに、このMultiMix 4 USBにも期待が膨らむ。早速レビューしてみよう。
ALESIS製品らしい音の太さがするアナログ・ミキサーとしての機能
パッケージから取り出すと、シンプルな小型ミキサーにUSBケーブルとACアダプターが付属している。ミキサー背面のUSB端子がなければ、単なる小型ミキサーと誤解しそうだ。ほぼA5サイズで重さも700g足らず、小さなホーム・スタジオやモバイル用途には重宝しそうだ。背面パネルにUSB端子、パワー・スイッチ、アダプターのインプットがある以外、すべての端子やツマミ類は上面パネルにある。アナログの入力は3系統だ。ch1/2がモノラルのマイク（XLR）／ライン入力（TRSフォーン）で、ch１のライン入力はインピーダンスの切り替えボタンでギター、ベースなどのハイインピーダンス機器にも対応。それぞれ75Hz以下のハイパス・スイッチ、ゲインコントロール、ハイ（10kHz）とロー（80Hz）のEQ、PAN、ピーク・ランプ、チャンネル・ボリュームの仕様だ。マイク入力にはch１/２共通で48V
のファンタム電源がかけられる。ch3/4はステレオ仕様のライン入力（TRSフォーン）で、バランスとボリュームは共用になっている。アウトはメインのステレオ・アウト（TRSフォーン）とヘッドフォン・アウトで、それぞれ独立してボリューム調整ができる。なお、背面のUSB端子はUSB 1.1以上に対応している。本機はUSBケーブルを接続しない状態でもアナログ・ミキサーとして機能する。まずミキサーとしての性能を試してみた。ギター、ボーカル、ライン楽器などの音をミキサー経由で聴いてみて、印象的なのはALESIS製品らしい音の太さだ。中低域がしっかり、高域はすっきりした存在感のある音は好印象、ゲインを上げてわざとひずませてもいい感じにつぶれてくれる。EQの効きもはっきりしている。カタログ・データどおりノイズ・レベルは普通。この音質が好きな人なら、単にアナログ・ミキサーとして購入しても、決して高くはない。
２イン／２アウトのオーディオI/0としても手軽
MultiMix 4 USBには専用のドライバーが付属しないので、MacではCoreAudio、WindowsではMMEかWDMを使うことになる。MacのCoreAudioは問題ないが、WindowsのMMEやWDMはレイテンシーを50ms以下に縮められないという問題があるので、実際上はASIO4All v2を使うのが現実的だ。ネットでフリーで公開されているので（www.asio4all.com）、これをダウンロードしてインストールする。幾つかのWindowsマシンでABLETON LiveやMAGIX Samplitudeなどで試したところ、 256サンプルで安定動作した。なお、ASIO4Allを使う場合、USBオーディオの音量はWindowsの"サウンドとオーディオディバイスのプロパティ" で調整する。ASIO4Allのドライバー画面では音量をコントロールできないので、注意が必要だ。また本機からUSB経由でコンピューターに送られるのは、インプットのポストチャンネル・ボリュームの信号（メイン・ボリュームの前）２系統である。コンピューターのアウトプット信号（L/R）は、自動的にメイン・ボリュームとヘッドフォン・ボリュームの前に出力される。本機側にはコンピューターの音量をコントロールする専用ボリュームが無いので、コンピューター側でインプット信号をアウトプットから出力したままにしておくと、ミキサー側のインプット信号がミキサーの出力でダブってしまう。ここは、慣れるまで注意が必要だ。ただし、いったん信号系統をつかんでしまえば、操作はやさしい。本機の良さは、その音色と、1万円そこそこの価格だ。使えるマイクプリを持ったオーディオ・インターフェースとしても、簡易ミキサーとしても、幅広く手軽に使える魅力を持っている。（『サウンド＆レコーディング・マガジン』2009年12月号より）
ALESIS
MultiMix 4 USB
13,440円
▪周波数特性／ライン：20Hz〜20kHz（±0.5dB）、マイク：20Hz〜15kHz（±0.5dB）▪全高調波歪率／0.02%▪外形寸法／155（W）×200（D）×55（H）mm▪重量／685g（アダプター含まず）
▪Mac／Mac OS X 10.4以降（10.6.1対応）、Power PC G5以上のCPU（INTEL Core 2 Duo/Xeon以上を推奨）▪Windows／Windows XP/Vista（32ビット）、INTEL Pentium 4/AMD Athlon 64以上のCPUを推奨
