定評あるチャンネル・ディバイダーと
２種類のEQモジュールを内蔵
我々PAマンには、ミキサーの"音質"だけでなく"スピーカーをドライブする機材"も非常に重要です。例えばパワー・アンプであったり、その前段のチャンネル・ディバイダー（以下チャンデバ）であったり......その中でも、今や大規模なPA現場において、かなりの使用頻度を誇るデジタル・チャンデバ／プロセッサーがDOLBY Lake Processorです。今回紹介するLP48は、そのDOLBYとMACKIE.の共同開発によって、TT24の中にLake Processorを入れてしまうという画期的な製品。価格も198,555円と安過ぎます！LP48自体は拡張カードなので、これをTT24のリアにあるスロットに挿し込めば簡単にセットアップ完了です。これで、Lake Ideal Graphic EQ（グライコ）とLake Mesa Quad EQ（パライコ）という２つのEQモジュール、そして最大で4chイン／8chアウトのチャンデバが入ったことになります。なおLP48にはモードが３つ用意されており、最大10個のEQモジュールをインサートできるEQモード、５つのEQモジュールと２ウェイのスピーカー・プロセッシングができるSPLITモード、４ウェイのスピーカー・プロセッシングが可能なLOUDSPEAKER PROCESSORモードのいずれかを選んで使用することになります。ちなみにLP48の設定方法ですが、もともとLake Processorはパソコンをつないで設定を変えたり、またタブレットPCから客席で細かく操作するのが普通。LP48も基本は同じで、TT24のUSB端子に別途パソコンをつなげ、専用のコントロール・ソフトからLP48の細かな設定を行うことになります。
Lake Processorならではの
ツヤやかで温かみのある出音
早速、都内のライブ・ハウスをお借りしてチェックしてみます。LP48は、TT System 32（TT24にI/OボックスのDS3232などを組み合わせたシステム）にビルトインして使用。音質チェックとして、TT24のLchアウトはライブ・ハウス常設のチャンデバ（LP48はスルー）、RchアウトはLP48のチャンデバ経由でそれぞれスピーカーから鳴らして聴き比べてみます。もちろん左右のスピーカーは同じモデルで、しかもパワードです。今回のスピーカーは、ハイボックスとサブローの２ウェイ仕様なので、LP48の設定画面からプリセットの"Classic 2 Way"を選択。ちなみに、MACKIE.とEAW製スピーカーの専用プリセットも入っています。クロスオーバーを設定する画面に入ると、クロスオーバーのカーブと周波数を細かく選ぶことが可能。"ローは少し締めたいけど、ハイはなだらかなカーブにしたい"という場合も、多彩なQカーブが用意されているので困ることは無いはず。それぞれのスピーカー・ユニットに対するアウトがフェーダー・モジュールで現れる画面もあるので、ここで音量バランスの調整やミュートも可能です。設定を終えたら、いよいよ出音を聴き比べてみます。常設のチャンデバ使用のスピーカーは、当然ながら整った良い音。続いてLP使用のスピーカーを再生してみると......会場に居た関係者全員が驚きの顔になりました。"良い"を通り越して"スゴい"のです。しっかり芯があり、ツヤがあって輪郭も存在するのに、中低域の温かみが非常にあり、たとえお客さんが満員の状況でもしっかり届いてくれるのが容易に想像できます。これは誇張でもなく、本当にかなりの差が出たということをお伝えしておきます。続いてEQモジュールのチェック。今回はパライコのLake Mesa Quad EQを使ってみます。設定画面に入ると、Lake Processorで見慣れた画面が出現。LP48のEQモジュールはTT24の入力＆AUXセンド＆出力をはじめ、柔軟にインサートできます。使用法も極めて簡単で、スムーズかつ的確にコントロールすることができました。音ヤセせず、しかも美しいサウンド。左右非対称のQカーブが選べるのも特徴です。なお、これらの設定はTT24本体にメモリー可能ですので、一度設定をしてしまえば、パソコン無しでもLP48のチャンデバ／EQモジュールの設定リコールが可能です。まさにLake Processorのうま味をビルトインするLP48。こんなに胸躍らせ、驚き、喜んだ機材は久々でした！ MACKIE.はまだまだ夢のようなアイディアを持っているに違いありません。
▲今回LP48をインストールしてチェックしたTT System 32。デジタル・ミキサーのTT24、Digital Snake接続I/OボックスDS3232、U-100ネットワーク・カード、CAT-5ケーブルから成るシステムだ。もちろん本システムでなくとも、LP48はTT24単体で使うことが可能となっている
SPECIFICATIONS
▪対応ミキサー／MACKIE. TT24
▪出力／８（物理的にはTT24またはDS3232の出力にアサイン）
▪内蔵プロセッサー／Lake Ideal Graphic EQ、Lake Mesa Quad EQ、Loudspeaker Processor
