ワイド・レンジな低域特性のデスクトップ2.1chパワード・モニター

BLUE SKYEXO

BLUE SKY EXOはセパレート型の2.1chスピーカー・システムです。セパレート型とは中高域用のスピーカーと低域用のサブウーファーを分けて設置できるようにしたものです。メリットとしては、中高域を受け持つスピーカーは小口径ユニットを使い小型化できるので音場感の向上やセッティングの自由度が増します。例えば、小さな中高域用サテライト・スピーカーを机や壁、場所を取るサブウーファーを足下のデッド・スペースに置くといった使い方ができるのです。これは人間の聴覚における “150Hz以下の低域に対して音源の方向を認識できない”という特性を利用しています。だったらウーファーを左右まとめて1本でいいじゃんか、というものが2.1ch=2ch(左右)+0.1ch (サブウーファー)スピーカー・システムです。

ボリュームと入力端子を持つ
リモート・ハブを付属


本機は、140Hz以上の中高域を受け持つ2台のサテライト・スピーカーと140Hz以下のサブウーファー1台で構成されています。ボリュームと入力端子がリモート・ハブとして本体とは独立したボックスで用意されていることが特徴。サテライト・スピーカーは3インチ・ウーファー+1インチ・ツィーターを採用し、エンクロージャーは密閉型でコンパクトなサイズ。密閉型は箱の容積と振動板の面積によって低音の再生能力が決まるので、その採用が小型化と低域特性のちょうど良いところを引き出したのかと思います。サブウーファーは8インチでこれも密閉型エンクロージャー。同社の密閉型エンクロージャーへのこだわりがうかがえます。密閉エンクロージャーの音は大好きなんですが、最近少ないですね。BLUE SKYというとアルミ合金製の銀色の振動板が特徴ですが、サテライト・スピーカーにそれを採用。サブウーファーはオーソドックスなペーパー・コーンで、コーンの剛性が高く真面目に作られている印象です。このサイズで密閉向きの汎用品はあまり無いので専用開発されたユニットだと思います。サテライト・スピーカー前面はソフト・フィール塗装が施され美しいつや消しで高級感があります。机上での設置を考慮し、上向きに角度がつくキャビネット構造は反射音との干渉を避けられるので非常に有効です。また小型かつ軽量なので、マイク・スタンドに設置するためのアダプターもオプション(オープン・プライス/市場予想価格3,780円前後)で用意されています。サブウーファーはシルバーのシート張り仕上げ。大きさはコンパクトで密閉の割にはかなりの小容積です。それでも30Hz付近まで再生可能で、実はそれは結構大変なことです。

コンパクト・サイズでも
圧倒的なローエンド


省スペースでワイド・レンジ、部屋の低域特性や定在波の問題の回避など、いいことずくめの2.1chですが、きちんと設置しないと性能を発揮できないばかりか、かえってバランスのおかしな音になってしまいがちです。どこに置いてサブウーファーをどのくらいのレベルにすればサテライト・スピーカーと滑らかにつながりフラットなレスポンスになるか、その点を同社は説明書に記述しています。まず基本的なサブウーファーの設置場所とボリューム位置が明記され、さらに耳を頼りに調整する方法と、測定器を使ってキャリブレーションをとる方法が記されています。今回は説明書にあるようにサテライト・スピーカーL/Rの間にサブウーファーを置き、基本的なサブウーファーの音量を示すマークの位置での試聴です。サテライト・スピーカーを机上のディスプレイの左右に設置し、机の下の真ん中より少し左にサブウーファーを設置して試聴してみましたが、低域特性はこのサイズにして極めてワイド。ローエンドは圧倒的で一般的なスモール・モニターより1から2オクターブ下まで聴こえるほどです。ただサブウーファーのクロスオーバーが140Hzと結構高いので、サブウーファーの設置場所によってはつながりが気になる人がいるかもしれません。最近のミックスは50Hz以下の超低域においてもトリートメントが要求されるので、まずはそれがきちんと確認できる作業環境が必要です。家庭ではスペースの都合で難しかったのが、本機はかなりの省スペースで可能です。ディスプレイの真横に設置する場合、スピーカー・サイズに対して左右の間隔を十分とれなかったり、スピーカーに面積をとられて本来の作業スペースがなくなるといった問題も本機のサイズだと起こりません。また付属のリモート・ハブが抜群の操作性で、前面にAPPLE iPod用の入力端子も備えられて非常に便利ですし、大型のボリューム・ノブも滑らかで良いです。10時より下の位置の小さな音量に絞ると音質の変化が多少気になりましたが、接続する機器の出力レベルを絞って本機のボリュームを上げるなどすれば問題ありませんでした。本システムの魅力的な点は、ワイド・レンジな低域特性と音楽制作において必要な分解能を低価格ながら備えていること、リビングに設置するリスニング用のシステムとしても利便性、省スペース性に優れていることだと感じました。20071201-01-002

▲リモート・ハブのリア・パネル。左からLchインプット・ゲイン・スイッチ、Lch入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)、ライン入力(RCAピン)×1系統、Rch入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)、Rchインプット・ゲイン・スイッチ

BLUE SKY
EXO
オープン・プライス(市場予想価格/70,000円前後)

SPECIFICATIONS

【サテライト・スピーカー】
■周波数特性/140Hz〜20kHz(±3.0dB)
■外形寸法/127(W)×200(H)×112(D) mm
■重量/1.36kg (1本)
【サブウーファー】
■周波数特性/20Hz〜200Hz
■外形寸法/305(W)×344(H)×317(D) mm
■重量/11.4kg (1本)