奏法や表情に職人のこだわりを感じさせるソロのチェロ・ライブラリー

GARRITANGOFRILLER SOLO CELLO
本ライブラリーはチェロのアタックのノイズ成分を含めた強弱や奏法を丹念に収録し、さらに奏法の切り替えを鍵盤上にアサインすることで、表情豊かなフレーズを奏でることができるというもの。

タイトルにある"GOFRILLER"とは、300年前に制作されたチェロの名器である。チェロの持つまろやかさやゴリッとしたアタックを余すことなく収録しており、エクスプレッションとベロシティに対する音色変化も実に滑らかだ。初めのうちは弾いているだけでも十分に満足できる質感なのだが、これに奏法を織り交ぜると、さらに楽器本来の息吹を感じることができる。奏法は鍵盤(C1〜B1)を弾くことで切り替わるようになっており、リアルタイム演奏では、イメージの赴くまま奏法に対応する鍵盤を弾き、データ入力の際にはフレーズが始まる前にそれらの鍵盤に対応するデータを入力することで、いとも簡単に奏法を切り替えることができる。スタッカートやマルカートなどの奏法時の弓が弦から離れる音が心地良い。これはキー・オフによって別のサンプルを呼び出しているからで、この辺のこだわりは見事だ。またトリルは、音程移動の際の"粘り感"も非常に音楽的でわざとらしくない。筆者はピチカート/ハーモニクス/トレモロはこれまでそれぞれ別の音色とトラックを用意していたのだが、キー・スイッチを切り替えるだけで瞬時に音色が切り替わるため、トラック数とコンピューター負荷が軽減できる。奏法には"スル・アルトラ・コラダ"という、同じ音でもより低い弦で演奏するものがあり、これは高音ポジションで高低差があるパッセージの際のスムーズなフレージング作りに一役買っている。本作を使えば、これまでパートのうちの一つだったチェロがにわかに主張するようになる。生の弦楽器にこだわる人、また曲に新たなテイストを盛り込みたい人にお薦めだ。

GARRITAN
GOFRILLER SOLO CELLO
オープン・プライス(市場予想価格/29,400円前後)

■メディア:CD-ROM 1枚
■容量:約500MB
■DATA FORMAT:Kontakt 2