Kaoss Padシリーズで最も小型のポータブル・マルチエフェクター - サンレコ〜音楽制作と音響のすべてを届けるメディア

KORGMini-KP

壁谷貴弘（Conflict）

タッチ・パッドを指でなぞってエフェクトを操作する唯一無二のユーザー・インターフェースで世界中のクラブDJやクリエイターから圧倒的支持を得ているKORG Kaoss Pad。そのKaoss Padシリーズの中で最小モデルとなるのが、Mini-KP。早速、紹介していきます。

フレキシブルな操作感を生み出す
コンパクトなタッチ・パッド

Mini-KPはサンプリングなどの機能を排し、エフェクト面に的を絞ることでCDケースに隠れるほど小型化されています。単三電池×４本で約５時間の稼働に対応し、別売で用意されているACアダプター（2,100円）での駆動も可能。DJプレイでも現場への搬入が容易でしょう。重量も154g（電池含まず）なので、ポケットに入れての持ち運びも可能。しかし、小さくなったからといってこのモデルを"簡易版だろ？"と侮ってはいけません。Kaoss Padの新たな可能性を感じさせるポテンシャルを秘めているのです。本体のカラーはKP3などを踏襲したブラックを基調としています。ボタンもバランスよく配置され、片手での操作もスムーズにできます。入出力は従来通りRCAピンのライン・イン／アウトを採用しているほか、ヘッドフォン・アウトはミニジャックに変更されています。PROGRAMツマミを使って選択するエフェクトはフィルター（16種）、ディレイ（15種）、リバーブ（６種）などの定番から、ルーパー（13種）、グレイン・シフター（５種）やシンセ（10種）など計100種を搭載。バンクはMEMORY A/Bの２つで、テンポを検出できるTAP/BPMボタンや、パッドから指を離してもエフェクトをキープできるHOLDボタンも健在です。そしてKaoss Padのキモであるタッチ・パッドですが、Mini-KPでは従来の半分ほどの面積になりタバコの箱くらいのサイズ。指先の移動によりエフェクトを操作するという特性上、ここが最も重要なポイントです。ちなみに、KP３で登場したパッドのLED機能はありませんが、BPMも表示される左上のディスプレイにX軸とY軸が1：１〜８：８（左下〜右上）の数値で表示され、エフェクトのかかり具合を視覚的に確認することもできます。このシンプルな表示が非常に扱いやすく、好感が持てます。また、パッドの小型化で指の移動が素早くでき、キレのあるエフェクトの変化を簡単に生み出すことも可能です。

ライブ・ステージから音楽制作まで
幅広いシーンで活用可能

Mini-KPにはストラップを装着するための取付穴が用意されているのも特長です。これまでは台に置いての使用を前提としていましたが、携帯性が向上されたことで、さらに多くのシチュエーションで使用可能です。例えば、ラップなどのマイク・パフォーマンス。自らの声をリアルタイムに加工しながらステージを動き回れるのです。首から下げるのはもちろん、ベルトのバックルにもいいですね（以前、アンチコンのドーズ・ワンがこんなベルトをしていたな〜）。もちろんバンド形態での楽器奏者にもお薦め。使いたくても設置場所に困り購入をあきらめていたギタリストも少なくないでしょう。さらに、APPLE iPodなどの携帯音楽プレーヤーとつないで屋外でDJの練習（？）的な感じで遊べたりもします。日常的に触れていることで新しい発見もあるでしょうし、アイディアが膨らみプレイの幅も広がるかもしれませんね。続いては、楽曲制作の観点で見ていきます。Mini-KPはサンプリング周波数が48kHzで、ビット・レートは24ビット。これは上位機種のKP3と同等で、音質もハイクオリティです。例えば、所有機材の内蔵エフェクターで物足りなさを感じている方がMini-KPを導入すれば、リバーブ、ディレイなど空間系から、ひずみ系やグレイン系を使った過激な音作りも可能になります。また、DAWソフト・ユーザーにもこの直感的な操作感は注目してもらいたいところ。指先を直感的に使うことで１つのループを元に無限の展開がアッと言う間に作り出せるのです。この楽しさはマウスをクリックしていても味わえないものでしょう。このようにMini-KPは単なるコンパクトなマルチエフェクターではなく、使う側に新たな表現の可能性を提示してくれます。そして、新しい音楽との楽しみ方に出会うことのできるツールでもあります。価格も安いので、興味を持っていた方はぜひ。皆さん、思い切り楽しんじゃってください！