自然なサラウンド感を実現し耳への負担を軽減させた密閉型ヘッドフォン

ULTRASONEProline 750

本誌でサラウンドの連載を書かせていただいているせいか、最近サラウンドものの作品を聴く機会が増えたように思います。また一般的にもホーム・シアターが手軽に楽しめる価格まで下がってきた今日このごろ、自宅で映画を楽しむ方も多くいらっしゃるのではないでしょうか? 昼間に鑑賞できる方ならまだしも、夜中にボリュームを落として見るのは迫力半減ですよね。今回チェックする製品は密閉型ヘッドフォンULTRASONE Proline 750で、音楽のみならず映画鑑賞などでのサラウンドにも気を遣った製品となっているようです。ヘッドフォンなのにサラウンド?と思いましたが早速チェックしてみました。

細やかな配慮が感じられる
デザインと充実の付属品


Proline 750を開発したULTRASONEはドイツにあるプロフェッショナルのためのヘッドフォン・メーカーで、箱を見るといかにもヨーロッパのメーカーらしく、英語のほかにもスペイン語やフランス語などのインフォメーションが目に入ってきます。箱を開けてみると中にはヘッドフォン本体のほか交換用イアパッド、ストレートとカールの2種類のケーブル、ステレオ標準からステレオ・ミニへの変換プラグ、布製キャリング・バッグ、専用クロスなどがあり付属品の多さにはプロ用製品の中でも目を引くものがあります。本体は多少形状が大きいのですが、重さはヘッドフォンとしては標準的なので実際付けてみると全く違和感はありません。また耳全体を覆うイアパッドがスウェードでできているので肌触りがとても良く、自然な感じでフィットするので好感が持てます。そのイアパッドも経年変化を考えてか交換用まで付いていて、何年か使用しても再び新品の使用感が得られるようにとの心遣いが感じられます。ケーブルは本体から着脱が可能で、付属の2種類のケーブルを好みによって使い分けることができるようになっていて便利そうです。スタジオで使用しているときに自分の座っている椅子で踏んで断線してしまい、別のヘッドフォンに変えたら聴こえ方が変わったなんてこともよくありますが、Proline 750の場合はそんなことがあってもケーブルを付け替えるだけでそのまま使い続けることができるわけですからありがたい話です。

低音の分離の良さと
レンジ間のスムーズなつながり


Proline 750はスピーカーから発生した音をまず外耳に反射させるというULTRASONE独自の技術を採用しサラウンド感あふれる空間が楽しめるようになっているそうですが、まずロックの音楽CDで試聴してみます。ベースやバスドラといった低音楽器の音圧感がきちんと感じられ、また奥行き感があるためか楽器1つ1つの定位もはっきりと聴こえてきます。ギターやシンバルなどがトゲトゲしく聴こえることもなく、かといってエコー感が見えにくいこともありません。最近はDAWを使った自宅ミックスなどで、スピーカーから音を出せずヘッドフォンに頼ることも多いかと思います。実際にProline 750で作ってみると、低音の分離や楽器間の定位が良いのでバランスがとりやすく、また奥行き感が見えるためエコーも付けやすいのでスピーカーでミックスしている感覚で作業できます。ミックスした音をスピーカーで聴いてみると、スピーカーで作った音とそんなに違いを感じません。また長時間使用しても耳が疲れないのにも驚きます。それもそのはずで、このProlineシリーズは電磁波を98%まで遮断し耳への負担を軽減させた、健康にも気を遣った製品なのです。ヘッドフォンでモニターしていると極度に耳が疲労して何が何だか分からなくなってしまうことがありますが、Proline 750では快適にミックスができます。次に映画を見てみることにします。こちらはまず、スタジオでも定番のヘッドフォンで聴いてみることにしました。定番ヘッドフォンで聴く音は、スピーカーから音を出して聴くより効果音が派手に聴こえ、すべてが近くにベタッと張り付いてしまう感じです。一方Proline 750は、5.1chサラウンド・スピーカーまでは広がらないものの、効果音や音楽の自然なサラウンド感と高域から低域までレンジのスムーズなつながり具合が素晴らしいという印象。定位もはっきりとし、スピーカーから聴く音とほとんど変わりがありません。これからの時代、ヘッドフォンも音や価格だけで選ぶのではなく健康にも気を付けて選ばなければならないのかもしれませんね。
ULTRASONE
Proline 750
42,000円

SPECIFICATIONS

■形式/密閉ダイナミック型
■再生周波数領域/8〜35,000Hz
■インピーダンス/30Ω
■出力音圧レベル/94dB
■重量/295g
■付属品/カールコード、 ストレートコード、キャリング・バック、 変換プラグ、 交換用イアパッド、 試聴用CD