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YAMAHA AG08 レビュー:ライブ配信に必要な機能を網羅したミキサー/オーディオ・インターフェース

YAMAHA AG08 レビュー:ライブ配信に必要な機能を網羅したミキサー/オーディオ・インターフェース

 YAMAHAのライブ配信に特化したミキサー/オーディオ・インターフェースの定番“AGシリーズ”新機種であり、フラッグシップ・モデルとなるAG08が2月に発売されました。AG08は、多種多様な機能をこれでもかというほど盛り込んだ機材になっています。ここでは、シリーズで初めて搭載された機能や製品の魅力を中心に紹介していきます。

ライン入力とUSB入力の音声をスイッチで切り替え

 AG08の対応OSはMac/Windows。いずれも、各ソフトウェアから音声信号の出力先を個別に指定できます。入出力端子はほぼリア・パネルに集約されていますが、ヘッドフォン出力(ステレオ・フォーン)2系統はフロント・パネルに搭載。その下にある右側のヘッドセット端子は、イアフォンが接続可能なステレオ・ミニ端子のヘッドフォン出力としても使用できるため、友人が自宅に来て一緒に配信をするようなシチュエーションも想定できます。

リア・パネル。上段右から、マイク/ライン・イン(XLR/フォーン・コンボ)、マイク/ライン/Hi-Zイン(XLR/フォーン・コンボ)、ライン・イン(フォーンL/R、RCAピン/ステレオ・ミニ)、ライン・イン/アウト(4極ステレオ・ミニ)、ミックス・アウト(フォーンL/R)、モニター・アウト(フォーンL/R、XLR)。下段右からフット・スイッチ入力(フォーン)、USB端子(Type-C)、電源切り替えスイッチ、電源端子

リア・パネル。上段右から、マイク/ライン・イン(XLR/フォーン・コンボ)、マイク/ライン/Hi-Zイン(XLR/フォーン・コンボ)、ライン・イン(フォーンL/R、RCAピン/ステレオ・ミニ)、ライン・イン/アウト(4極ステレオ・ミニ)、ミックス・アウト(フォーンL/R)、モニター・アウト(フォーンL/R、XLR)。下段右からフット・スイッチ入力(フォーン)、USB端子(Type-C)、電源切り替えスイッチ、電源端子

パネル前面右上の出力セクション。個別で音量調整可能なヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)が2系統スタンバイ。その下にはヘッドセット・マイク用入力端子が2系統あり、右側の端子はヘッドフォン端子(ステレオ・ミニ)としても使用可能

パネル前面右上の出力セクション。個別で音量調整可能なヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)が2系統スタンバイ。その下にはヘッドセット・マイク用入力端子が2系統あり、右側の端子はヘッドフォン端子(ステレオ・ミニ)としても使用可能

 

 筆者がAG08を試してみて一番の魅力だと感じた点は、3系統のステレオ・チャンネルそれぞれにLINE/USB入力切り替えスイッチがあることです。

CH3/4〜7/8には、ライン入力とUSB端子からの入力を切り替えるLINE/USBスイッチと入力信号レベルを確認するSIG/PEAK、配信出力をオン/オフするSTREAMINGスイッチを搭載

CH3/4〜7/8には、ライン入力とUSB端子からの入力を切り替えるLINE/USBスイッチと入力信号レベルを確認するSIG/PEAK、配信出力をオン/オフするSTREAMINGスイッチを搭載

 ライン入力とUSBオーディオ・インターフェースの入力を個別に切り替えられるので、例えるならオーディオ・インターフェイスを4台使っているような感覚です。動画共有サイトやSNSで配信などを行うストリーマーの方にとって、“素早く入力ソースを切り替えたい”“自分では聴きたいけど、配信先や通話相手には聴こえてほしくない”といった要望はこれまで1台の機材ではなかなか実現しづらいものでしたが、AG08があれば、専門知識がなくてもこれらの環境を容易に実現することができます。しかも、各チャンネルには入力信号をストリーミングに乗せるかどうか決めるSTREAMINGスイッチを搭載しています。それぞれのボリューム・フェーダー下に搭載されたミュート・ボタン(cut switch)も分かりやすいです。

 エフェクト類は、コンプレッサー/EQ/リバーブ/ディレイ/ボイス・チェンジャ―(CH1のみ)/アンプ・シミュレーター(CH2のみ)に加え、トータル信号へのマキシマイズなどがそろっているため、配信に必要な処理をAG08内で簡潔にまとめることができます。

本体はブラックとホワイト(写真)の2色展開

本体はブラックとホワイト(写真)の2色展開

アプリでエフェクト設定やリコールが可能

 また、プロユースで一番大切と言っても過言ではないのは、リコール機能とプリセット化です。AG08は、コンピューターとUSB接続することで、先述のエフェクト類の設定を本体からだけではなく、専用ソフトウェアAG08 Controller上で細かく作り込むことができます。加えて、それらをプリセットとして保存することが可能なのです。

 具体的には、CH1に入力した信号に対してどのような処理をするかを最大4パターンまで保存し、本体左下に配置されている4つのCH PRESETボタンへ個別に割り当てます。これにより、自分のお気に入りの設定を、配信中などリアルタイムで現場で瞬時にボタン一つでリコールできるのです。このように設定の再現性がある機材は、どのような現場でも導入しやすいことが多いです。

サンプリングも可能な6個のSOUND PAD

 音楽関係だけでなく、雑談配信などを行うストリーマーの方々が抱えることの多い悩みとして“BGMを流しているだけでは間延びしてしまったり、面白みに欠けてしまったりする”ということが挙げられるかと思います。そういった場合に、AG08の本体右下には、SOUND PADというボタンが6つ設置されているので、会話内容やシチュエーションに合わせた効果音を瞬時に再生することができます。このSOUND PADを活用することで、より楽しみながら配信できるのです。

 また、先述の専用ソフトAG08 Controllerにより、音をアサインするだけでなく、AG08の入力信号を各パッドに5秒以内でサンプリングすることが可能です。そして、サンプリングした音にどのようなエフェクト処理を施すかという設定も画面内で行えて、素早く手軽に作り込むことができます。

初心者も安心の制作/編集用ソフトが付属

 さらに、YAMAHAの技術力による高音質なAD/DAコンバーターやマイクプリを持ち、USBバス・パワーでの駆動にも対応。これだけの機能にもかかわらず、コンパクトで使いやすいデザインとなっています。加えて、これから音楽制作を始めたい初心者にお薦めできるDAWソフトSTEINBERG Cubase AIと音声編集ソフトWaveLab Castが付属します。

 AG08は、自宅での配信以外にも入出力数の少ない配信現場やイベント現場などでの活用が期待でき、クリエイターの想像力や個性を具現化することが可能です。隅々まで配慮された設計とデザイン、ブランドとしての安心感を感じる素晴らしいミキサー/オーディオ・インターフェースです。

 

kain
【Profile】ボーカル/アレンジャー/サウンド・エンジニア。2011年から動画サイトへ投稿。2015年以降は編曲やエンジニアとしても活し、ミキシング、編曲などで参加した動画の総再生数は30億回以上。

 

YAMAHA AG08

96,800円

YAMAHA AG08

SPECIFICATIONS
▪最大同時入出力数:8イン/14アウト ▪ビット/サンプリング・レート:24ビット/48kHz ▪外形寸法:290(W)×88(H)×222(D)mm ▪重量:2.2kg ▪付属品:電源アダプター(PA-150B)、USBケーブル(Type-C to C、1.5m)

REQUIREMENTS
▪mac:macOS 10.13.6以降、INTEL(Core I5以上推奨)またはAPPLE Siliconプロセッサー、4GB以上のRAM、50MB以上の空きディスク容量
▪Windows:Windows 10(64ビット)/11、INTEL Core Iシリーズ マルチコア・プロセッサーまたは同等のAMDプロセッサー、2GB以上のRAM、100MB以上の空きディスク容量

製品情報

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