「VIENNA SYMPHONIC LIBRARY Big Bang Orchestra: Dorado」製品レビュー:最大6人編成のパーカッション・アンサンブルを収めたソフト音源

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 オーケストラ音源の老舗、VIENNA SYMPHONIC LIBRARY(以下VSL)から最近リリースされているBig Bang Orchestraシリーズに、パーカッション・アンサンブルのサウンドを集めたDoradoが登場した。Big Bang Orchestraは、オーケストラ全体が一斉に演奏する“トゥッティ”のサウンドに特化した音源。その中でも、今回紹介するDoradoは、太鼓、バス・ドラム、スルド、タム、サスペンデッド・シンバル、タムタムやトライアングルといったものから構成されるパーカッション・アンサンブルを収録。大迫力のサウンドを生み出すオーケストラ・パーカッション・ライブラリーとなっている。

 

位相特性が良く上質な出音
自然な演奏フィーリングのベロシティ設定

 VSLから近年リリースされている多彩な音源ラインナップと同様に、このライブラリーもVSLが所有している専用スタジオSynchron Stageで収録されているが、これまでの単発音のライブラリーとは異なり、アンサンブルで演奏されてこそ得られる一体感を再現できるのが特徴だ。

 

 近年“トゥッティ”に特化した音源は数多く出ており、中には“指1本でこんなサウンドが!?”と言わんばかりのお手軽な音源もたくさん存在する。“音源の個性が強ければ強いほど、ちまたには似たような楽曲があふれるのでは?”と、ある種の偏見を持ってDoradoと向き合ったが、さすがはVSL、そのような心配は杞憂(きゆう)だった。

 

 出音は、一言で言うならば“上質”。位相特性も良く、超低域から高域の抜けまで密度の高いドライ音に、木のぬくもりが感じられるアンビエンスが加わっており、汎用性の高いライブラリーとなっている。

 

 ソフトなピアニッシモから荒々しいフォルティッシモまで表現の幅は広く、鍵盤での演奏フィーリングも自然になるようなベロシティ・セッティングとなっており、打楽器奏者になった気分でリアルタイム演奏入力をすることができる。

 

 プリセットを読み込むと、鍵盤の高音部に“Ringing”(放つ)、“Secco”(止める)、“Roll”(連打)など奏法別のサンプルが割り当てられ、中央の紫色になっているキー・スイッチで、ビーター(バチの先端)の硬度を切り替えることができる

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鍵盤高音部にはRinging、Secco、Rollなど奏法別のサンプルが割り当てられている。C4~G#4辺りではビーターの硬さを切り替えられる

 ミキサー画面のフェーダーにはマイク別のサンプルが割り当てられる。デフォルトでは、6chほどのドライ音+ルーム・ミックスが1chとなっているが、デッカ・ツリーやサラウンド・マイクなど、個別のアンビエンスマイクのチャンネルをオンにし、エンジニアのようなよりきめ細かなマイク・アンサンブルがシミュレーション可能だ。ちなみに、個別のチャンネルをソロにしてみると、同時に演奏している楽器の音がかぶっているのが分かる。このかぶりこそが、アンサンブル音源としての臨場感、一体感を演出するポイントだ。

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ミキサーには各楽器個別のマイクのほか、セクションごとのオーバーヘッド・チャンネル、全体をキャプチャーしたデッカ・ツリー、サラウンド・マイク・チャンネルも割り当てられ、きめ細やかなシミュレーションが可能だ

 

9つのプリセットとシリーズ他種の併用で
重厚な打楽器アンサンブルを構築

 プリセット前半のSet1“Monster Drums”、Set2“Bass Drums”、Set3“Thunder Toms”などは、迫力ある重低音にパンチが効いた打音が特徴的だ。同じBig Bang Orchestraシリーズで、リフ・フレーズが多数収録されているEridanusと組み合わせて、ハリウッド映画さながらのダイナミックなパーカッション・サウンドを構築することができるかもしれない。Set4の“Special Drums”は、スルド、太鼓、ムリダンガム、テンプル・ブロック(西洋木魚)、ログ・ドラム(スリット・ドラム)のアンサンブル音色で、楽曲にエスニックなエッセンスを加えることができる。Set5“Snare Ensemble”の荒々しいオープンロール奏法の音は、個人的に非常に好みで、マーチング楽曲のスネア・パートに使いたくなる。Set6“Suspended Cymbals”やSet7“Super Crashes”、Set8“Big Metal”、Set9“Small Metal”などの金物類は、ワンショットのライブラリーを用いて表現することが難しい、近現代的なテクスチャーのメタル・アンサンブルを楽曲に加えることができる。同シリーズのBlack Eyeと組み合わせれば、これまで打ち込みで非常に時間のかかっていたコンテンポラリーな劇伴のサウンドを、短時間で仕上げることができるであろう。

 

 いずれのセットも、重奏ならではの厚みと広がりがあり、スタジオで収録した生演奏の弦楽器や管楽器とも違和感無くアンサンブルを組むことができそうだ。近年ますますスケールアップしているゲーム音楽やアニメーションのサウンドトラックにも大活躍するだろう。

 

 これらの高品質なライブラリーが、15GB弱のサイズに収められているのもうれしい。ぜひ複数セットを立ち上げ、重厚で奥行きのある打楽器アンサンブルを構築してほしい。

 

問合せ:SONICWIRE

 

VIENNA SYMPHONIC LIBRARY Big Bang Orchestra: Dorado

11,900円

 

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REQUIREMENTS ▪Mac:OS X 10.10以降、AAX/AU/VST対応のDAWソフト ▪Windows:Windows 8/10、AAX/VST対応のDAWソフト ▪共通:INTEL Core I5/I7/Xeon以上のCPU、8GB以上のRAM、64ビット・ホスト・アプリケーション環境、13.7GB以上のディスク空き容量、SSD(M2、SATA 6もしくはUSB3/3.1 UASP対応)の使用を推奨、VIENNAキー(別売り)