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SONIBLE Smart:Limit レビュー:音楽ジャンルや配信サービスに合わせて設定を自動調整するリミッター

SONIBLE Smart:Limit レビュー:音楽ジャンルや配信サービスに合わせて設定を自動調整するリミッター

 オーストリアに開発拠点を持つSONIBLEが、リミッター・プラグインSmart:Limitをリリース。“コンテンツ対応リミッター”というコンセプトが掲げられており、音楽配信プラットフォームごとに合わせたラウドネス・レベルと音質を自動で設定します。それでは詳細を見ていきましょう。

経験と知識が必要な作業をAIが自動で最適化する

 Smart:LimitはMac/Windowsに対応し、AAX/AU/VST/VST3に準拠します。入力チャンネル数はモノラルから5.1chまで対応し、プロテクトはマシン・ベースまたはiLokオーソライズ。iLok対応は、スタジオの移動がある我々レコーディング・エンジニアにとって、非常に重要です。

 

 Smart:LimitにはAIが搭載されています。入力信号を分析し、原音のディテールをできるだけ損なわない設定を自動的に見つけ出すことが可能なリミッターです。

 

 リミッターの設定は、意外と経験や知識を要する作業です。例えばアタック・タイムを遅くすると、トランジェントは維持できる一方でひずみの発生の原因になったり、リリース・タイムを速くすればするほどラウドになる一方で、これもひずみ発生の原因になり得ます。曲によってこのひずみが目立つものと、あまり気にならないものがあり、エンジニアはその辺りが良い感じになるように設定を模索しているのです。Smart:Limitはそのようなパラメーターの設定を、入力信号に応じて自動で調整。音楽ジャンルやリリースするフォーマットに合わせて、ラウドネスとトゥルー・ピークの値を最適化してくれます。

4つのツマミで好みの音色に調整可能。リミッティングのヒントが得られる機能を搭載

 まずはプラグイン画面と機能を見ていきます。画面上部左にあるプルダウンから、音楽ジャンルのプロファイルの選択や、リファレンス・トラックの読み込みが可能。

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音楽ジャンルのプロファイル。入力ソースに適したものを選ぶことで最適なリミッティングが可能になる。最下部からリファレンス・トラックを読み込むことも可能

 画面右側のセクションには、入力信号のラウドネスとダイナミクスが数値とグラフでリアルタイムに表示されます。プルダウンから配信プラットフォームなどの規格の選択が可能です。

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配信プラットフォームなどの規格を選択するプルダウン

 リミッターの設定は1画面に8種類保存できるので、配信フォーマットに応じた複数バージョンを用意したり、設定の比較検討が可能。画面左下のディストーション・モニタリングでは、リミッティングにより生じるひずみが表示されます。画面下部中央には、サウンド・シェイピング・パネルがあり、Style/Saturation/Balancing/Bass Controlの4つのパラメーターで好みの音色に調整。

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プラグイン画面下部に搭載されるパラメーター。Styleではリミッターの強さを調整し、Saturationでは倍音を付加することができる。Balancingは周波数のバランス調整、Bass Controlは曲のローエンドを強化する

 右隣のQuality Checkボタンを押すと、専門的な知識が要るラウドネス、ダイナミクス、トゥルー・ピークに関してのヒントが得られます。試しにミックス・バスのレベルを下げてQuality Checkを押してみると、“Loudness seems too low”と表示され、ゲインを上げるようにうながされました。

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画面右下のQuality Checkを押すと、ラウドネス、ダイナミクス、トゥルー・ピークに関してヒントを得られる

 続いて、Smart:Limitをミックス作業中のセッションにインサートしてみます。生ドラム、ギター、ベース、ボーカル、その他という編成のロック・バンドの音源です。ジャンルのプロファイルをデフォルトのUniversalにすると、ゲインを自動的に+7.8dBに設定して−12LUFSまで音圧を稼ぎ、かつトゥルー・ピークが−1dBに自動で設定されました。低域をもう少し補強したいのでEDM Bassを選択してみると、100Hz以下が強調されたようなミックス・バランスに変化します。

 

 サウンド・シェイピング・パネルのパラメーターも調整してみましょう。Styleはリミッターの強さを調整、Saturationは倍音を付加するツマミです。Bass Controlは100Hz以下のシェルビングEQ。Balancingは周波数のバランスを調整します。Balancingが一番ミックスを変化させる気がしました。極めて自然な変化ですが、漫然と操作すると全然違うミックス・バランスになってしまうので注意が必要です。楽曲に応じたジャンルのプロファイルを選択した後、これらのパラメーターを少し調整するだけで好みの音色になるかと思います。

 

 指示に従っていけば設定がうまくいくようにできていて、良い操作系だと思いました。取扱説明書を見なくても使えますが、読めば勉強になるでしょう。リミッター処理に自信が無いクリエイターにはもちろん、理論派の方がパンチのある音質を求めて積極的に使うのにも面白い製品です。

 

Mine-Chang
【Profile】作編曲家/プロデューサーとしてアーティストへの楽曲提供やCM音楽などで活躍するとともに、prime sound studio form所属のレコーディング・エンジニアとしても活動中。

 

SONIBLE Smart:Limit

14,663円(価格は為替相場によって変動)

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REQUIREMENTS
▪Mac:OS X 10.9/10.11、macOS 10.12/10.13/10.14/10.15/11(64ビット)、AAX/AU/VST/VST3に準拠
▪Windows:Windows 10(64ビット)、AAX/VST/VST3に準拠
▪共通:INTEL Core I5以上のCPU、4GB以上のRAM、OpenGL Version 3.2以上に対応したGPU