SOLID STATE LOGIC UF1 レビュー:メーター・プラグインSSL Meterの画面を表示できるDAWコントローラー

SOLID STATE LOGIC UF1 レビュー:メーター・プラグインSSL Meterの画面を表示できるDAWコントローラー

 今回レビューさせていただくのは、SOLID STATE LOGICのDAWフィジカル・コントローラー、UF1です。フェーダーを8本搭載したUF8、SSL NativeプラグインのChannel Strip 2や4K B、Bus Compressor 2の専用コントローラーUC1に続いて発売されました。単体での使用はもちろんのこと、UF8やUC1と組み合わせて使うこともできる、私個人としてもとても待ち望んでいた製品です。発売日に入手することができたので、早速レビューしたいと思います。

タッチ・センサー付きのフェーダーはオートメーション操作がやりやすい

 まずは外観から。本体のトップ・プレートは、UF8やUC1と同様のブラッシュアルマイト仕上げのオールメタルの筐体で、とても高級感があります。1フェーダーのコントローラーとしては作りがとてもしっかりしているので、ついつい力が入ってしまうようなときでも本体がぶれることなく、安心して作業が進められるでしょう。パソコンと接続するためのUSB-C端子に加え、UF8やUC1などのデバイスを接続できるUSB-Aのスルー・ポートも付いています。

リア・パネル。スタンドは6段階のアングル調整が可能で、スタンドなしでも使用できる。端子は左から、フット・スイッチを接続する端子(フォーン)×2、電源を接続するDCコネクター、UF8やUC1などを接続するTHRUコネクター(USB-A)、コンピューターを接続するUSB-C端子

リア・パネル。スタンドは6段階のアングル調整が可能で、スタンドなしでも使用できる。端子は左から、フット・スイッチを接続する端子(フォーン)×2、電源を接続するDCコネクター、UF8やUC1などを接続するTHRUコネクター(USB-A)、コンピューターを接続するUSB-C端子

 UF1を使う際は、最初にソフトウェア・ミキサーSSL 360°をインストールします。これは、UF1の設定やファームウェア・アップデートを行うものです。UF1はHUIおよびMCUプロトコル接続に対応していて、AVID Pro ToolsやAPPLE Logic、STEINBERG Cubaseなど、各種DAW用のプロファイルがあらかじめ搭載されています。

 それでは詳細な機能について見ていきましょう。本体の左上には、1.77インチの高解像度カラー・ディスプレイがあり、トラック名やトラックのレベルなどが表示されます。ディスプレイ上のパラメーターは、上部のソフト・スイッチや、下部のプッシュ機能付き回転式エンコーダー、V-Potで制御します。さらにその下には、UF1の要でもある100mmのタッチ・センサー付きモーターライズド・フェーダーを配置。筆者はこのフェーダーを、ボーカルやストリングス、ブラスなどのボリューム・オートメーションの操作に用いることが多いのですが、触り心地が良いので長時間作業しても指が痛くなりませんし、微妙なレベル操作がとてもしやすいです。フェーダーの左側にはミュートやソロの切り替えなどを行う各種ソフト・スイッチが付いています。

UC1と一緒に使用するとSSLのコンソールを操作しているような感覚になる

 続いて本体右側のセクションを見ていきます。視認性の良い4.3インチの高解像度カラー・ディスプレイには、DAWの時間表示やトラック名、各種パラメーターが表示されます。上の4つのソフト・スイッチ、下の4つのV-Potで、ディスプレイ上のパラメーターを操作する仕様です。

 中でも目玉と言えるのは、付属のメーター・プラグインSSL Meterの画面を表示できる機能でしょう。マスター・バスにSSL Meterを立ち上げれば、ディスプレイ上にトゥルー・ピーク&RMSメーターやリアルタイム・アナライザー、VUメーターなどを表示させて操作することが可能。

SSL Meterプラグインの画面。ここに表示されている各種メーターをUF1のディスプレイに表示して、エンコーダーやスイッチを用いて操作することができる

SSL Meterプラグインの画面。ここに表示されている各種メーターをUF1のディスプレイに表示して、エンコーダーやスイッチを用いて操作することができる

 今まで外部モニターにそれらを表示させていた筆者にとって、これはかなり画期的であり、とても気に入りました。さらには、ソフトウェア・ミキサーSSL 360°対応のチャンネル・ストリップ・プラグインChannel Strip 2のEQなどのパラメーターを表示することも可能です。これらの機能を考えると、UF1は単なるフェーダー・コントローラーというより、小型の総合コントロール・サーフェスと言ってもよいかもしれませんね。

 中央部には、ノッチ付きの大型エンコーダーを用意。設定によって、チャンネルの選択やオーディオ・リージョンの移動、マウス・スクロールのエミュレーションなどに使用することができます。その右には、ディスプレイに表示する画面の変更を行うMODE、DAWのトラックをバンクさせることができる“BANK”、ソフトウェア・ミキサーSSL 360°を立ち上げるスイッチ“360°”などが配置されています。

 さらにその下には、タイムラインのズームや選択されているトラックの移動などを行うカーソル・キー、セッションをスクロールする大型のジョグ・ホイール、ループやメトロノームのオン/オフ機能などが割り当てられた6つのスイッチがあります。この6つのスイッチは、SSL 360°上でカスタマイズすることも可能です。最下段には、DAWのトランスポート・コントロール・キーが配置されています。

 筆者はUC1をデスクトップの中心に置いて作業してきましたが、新たにUF1を加えたことで、まるでSSLのコンソールを操作しているような感覚になりました。そのおかげか、手元を見ずに音に集中して作業をすることができています。UC1でコントロールしたEQのカーブをUF1のディスプレイに表示できるのも、とてもありがたいです。

 近年、自宅でのDAWを用いた作業が増え、フィジカル・コントローラーは必需品となっています。UF1はこれ一台で二役も三役もこなすコントローラーで、ぜひ使ってみていただきたい製品の一つ。自宅でミックス作業をするレコーディング・エンジニアはもちろん、アレンジャーの方々にも満足していただけるかと思います。

 

小林敦
【Profile】1986年にサウンドインスタジオへ入社し、1991年からはフリーで活動するエンジニア。大手テーマ・パークのパレードやショウの音楽を中心に、ポップスやアニメ・ソングまで幅広く手掛けている。

 

 

 

SOLID STATE LOGIC UF1

オープン・プライス

(市場予想価格:99,990円前後)

SOLID STATE LOGIC UF1

SPECIFICATIONS
▪フェーダー:タッチセンシティブ・モーターライズド・フェーダー(100mm) ▪エンコーダー:プッシュ機能付属、エンドレス回転式 ▪ボタン:バックライト付きRGBソフトフィール・ラバー・ボタン ▪ディスプレイ:1.77インチLCD TFT高解像度カラー・ディスプレイ+4.3インチIPS LCD TFT高解像度カラー・ディスプレイ ▪接続:USB-C ▪外形寸法:205(W)×265.9(H)×62.5(D)mm ▪重量:1.8kg

REQUIREMENTS
▪Mac:OS X 10.5、macOS 11、12、13
▪Windows:Windows 10、11
▪共通項目:INTEL 3rd Gen Core I5またはそれと同等のAMDプロセッサー、2.4GHz以上で動作するCPU、8GB以上のRAM、インターネット接続(SSL 360°のアップデート時)
▪対応DAW:AVID Pro Tools、APPLE Logic Pro、STEINBERG Cubase/Nuendo、ABLETON Live、PRESONUS Studio One、UNIVERSAL AUDIO Luna Recording System、MERGING Pyramix

製品情報

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