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RUPERT NEVE DESIGNS RNDI-8 レビュー:独自開発したトランスを内蔵する1Uラック・サイズの8chアクティブDI

RUPERT NEVE DESIGNS RNDI-8 レビュー:独自開発したトランスを内蔵する1Uラック・サイズの8chアクティブDI

 2015年、RUPERT NEVE DESIGNSがリリースした1chのアクティブDIボックスRNDIは、昨今ではレコーディング・スタジオでよく目にする定番DIの一つとなりました。このシリーズのラインナップには、その後発売された2chのDIボックスRNDI-Sがあります。そして、今回このRNDIシリーズに新たに加わったモデルがRNDI-8です。1Uラック・サイズに8ch分のDIを搭載しています。詳しくみていきましょう。

ヘッドルームは標準で+21dBuを確保 ノイズ対策のためのGND LIFTスイッチを搭載

 まずRNDI-8を手に取ってみると、ずっしり重く、高品質なパーツが内部に詰まっているのではないか?と期待が高まります。それもそのはず、RUPERT NEVE DESIGNS製カスタム・トランスが8基も入っているのですから、それなりの重さがあるのは自然な結果と言えます。

 フロント・パネルを見てみましょう。左から1〜8の番号が記載されており、それぞれのチャンネルにはTHRU出力とインストゥルメンタル入力(いずれもフォーン)、48Vファンタム電源の供給を示す青いLEDランプ、グラウンド・ループを避けてノイズを軽減するためのGND LIFTスイッチ、−10dBのPADスイッチを装備しています。

 インストゥルメンタル入力は、その名の通り楽器類を入力するためのもので、Hi-Z対応のアンバランス入力となっています。THRU出力は、純粋に入力信号を分岐させるパラレル・アウト。例えば、ここからギター・アンプに接続し、そこからの出力とRNDI-8からのライン出力を同時収録したいときなどに便利でしょう。

 GND LIFTスイッチは、アースをシャーシから浮かせる機能。ハム・ノイズが気になるときに押します。−10dB PADスイッチは、入力を10dB下げることが可能です。

 各チャンネルは最大+21dBuの入力レベルに対応するため、エレキ・ギターやベースにおいては適切に機能しますが、高出力なオーディオ・インターフェースやDJミキサー、ハードウェア・シンセサイザーを接続する場合はギリギリになってくることもあるでしょう。そんなときは−10dB PADスイッチを押すことで、最大+31dBuのヘッドルームを確保することができます。ちなみにインストゥルメンタル入力のインピーダンスは2.2MΩもあるため、ピエゾ・ピックアップにも対応可能です。

 リア・パネルも見てみましょう。各チャンネルにはOUTPUT出力(XLR)とPIN1 ISOLATEスイッチを装備。OUTPUTはマイク・レベル出力なので、マイクプリへの接続が必須となります。なおRNDI-8はアクティブ・タイプのDIであるため、各チャンネルに別途48Vのファンタム電源を供給する必要がありますが、RNDI-8本体自体はそれだけで動作するため電源供給の必要はありません。

リア・パネル。グラウンド用のピンをシャーシから浮かせるためのPIN 1 ISOLATEスイッチとOUTPUT出力が8ch分並んでいる

リア・パネル。グラウンド用のピンをシャーシから浮かせるためのPIN 1 ISOLATEスイッチとOUTPUT出力が8ch分並んでいる

 PIN1 ISOLATEスイッチを押すと、XLR端子の1番ピン、すなわちグラウンド用のピンをシャーシから浮かせることが可能です。RNDI-8で8ch分も取りまわす場合はアースを経由してノイズがループしてしまったり、思いがけないノイズ問題に悩まされる可能性も高まります。しかし、このPIN1 ISOLATEスイッチとフロント・パネルのGND LIFTスイッチを組み合わせることでトラブルを回避できるように考えられているため、使用者に配慮した設計だと言えるでしょう。

入力部にFETアンプを備えるディスクリート設計 リッチでハイファイなサウンド

 RNDI-8の内部パーツについても触れておきましょう。RNDI-8は入力部にFETアンプを備え、出力部にはRUPERT NEVE DESIGNS独自開発のトランスを搭載するディスクリート回路設計です。これにより、5Hz〜90kHzまでの周波数帯域を自然に再現できるそう。

 トランス製造の専門メーカーから完成度の高い既製品を取り寄せることが多い中、同社は意図的に自社開発の道を選択していますが、この出力トランスのキャラクターが音楽的なサウンドを作り出しているのは明らかでしょう。内部写真を見ると、回路上で隣り合うトランスの磁束の干渉を低減するためか、交互に90度向きを変えて配置されている点においても“丁寧な作りをしているな”という印象を受けます。

RNDI-8の内部。クラスAディスクリート設計となっており、写真中央にはRUPERT NEVE DESIGNS独自開発のトランス(黄色)が採用されているのが確認できる

RNDI-8の内部。クラスAディスクリート設計となっており、写真中央にはRUPERT NEVE DESIGNS独自開発のトランス(黄色)が採用されているのが確認できる

 さて肝心の音質についてですが、筆者が所有する1ch仕様のRNDIとも比較してみました。結論から言うと、音質の差は誤差の範囲でしかなく、まったく同等の音質だと考えてよさそうです。RNDI-8のサウンド・キャラクターとしてはハイファイ傾向にあり、全体的に“大人な雰囲気”といった言葉が浮かびます。元気モリモリ系DIとは違い、“品の良さ”をとことん堪能できるでしょう。

 エレキベースで使用したところ、乱れがちなローエンドが少しだけ整理されて扱いやすい音になりますが、ピッキングのムラなどはむしろ生々しく再現されます。またエレキギターでは、アンプの音と同時にラインでも録音し、それらを後のエディットやリアンプのために活用するという使い方があります。このような使用法でも、かなりの好みの音が得られるでしょう。RNDI-8のサウンドは適度な硬さを持ちつつ、過度なトランス感はない、絶妙なさじ加減です。

 シンセに用いても、その結果は優れています。過大入力してみたところ、大きなひずみは起きません。しかし、カスタム・トランス特有の豊かで音楽的な質感が生まれるため、どのような音でも心地良いサウンドに仕上げてくれるのは、やはりRNDIシリーズ共通の特徴だと言えるでしょう。オーディオ・インターフェースにも接続してみると、リッチで音楽的な質感が生まれるのは同じです。

 RNDI-8は、どんな音でも“心地良い音”にしてくれるという、オール・ラウンダーなDI。ただし“あまり色を付けたくない”という方には向いてないかもしれません。DIにパワフルでストレートなサウンド・キャラクターを求めるなら他の選択肢もあるかと思いますが、リッチで上品、そしてハイファイなサウンドを求めるなら、RNDI-8は間違いなく第一候補となるでしょう。筆者としては断然お薦めなので、とりあえず試してみてほしい一台です!

 

林田涼太
【Profile】いろはサウンドプロダクションズ代表。録音/ミックス・エンジニアとして、ロックやレゲエ、ヒップホップとさまざまな作品を手掛ける。シンセにも造詣が深く、9dwのサポート(syn)としても活動。

 

 

RUPERT NEVE DESIGNS RNDI-8

オープン・プライス

(市場予想価格:275,000円前後)

RUPERT NEVE DESIGNS RNDI-8

SPECIFICATIONS
▪入力インピーダンス:2.2MΩ(インストゥルメント入力)、200kΩ(−10dB PAD使用時) ▪出力インピーダンス:40Ω以下 ▪最大入力レベル@1kHz:+21dBu(インストゥルメント入力)、+31dBu(−10dB PAD使用時) ▪最大出力レベル@1kHz:+11dBu ▪電源:各チャンネルに4.5mA@+48Vファンタム電源 ▪外形寸法:483(W)×45(H)×206(D)mm ▪重量:3.2kg

製品情報

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