「NEKTAR TECHNOLOGY MIDIFlex 4」製品レビュー:Mac/Windows/iOSに対応する4ポートUSB MIDIインターフェース

NEKTAR TECHNOLOGYのMIDIインターフェース「MIDIFlex 4」

 シンセやリズム・マシン、モジュラー・システムといったハードウェア複数台とDAWを同期させていくと、意外とすぐにMIDIポートは埋まりがち。シンプルで低価格なMIDIインターフェースが必要なシーンは多々あります。今回はそういったときに最適なMac/Windows/iOSに対応のUSB MIDIインターフェース、NEKTAR TECHNOLOGY MIDIFlex 4のレビューをしていきます。

MIDI信号の送受信をLEDの点滅で確認
USB給電でスタンドアローンでも使用できる

 MIDIFlex 4は、手の平に乗るコンパクトなアルミのボディで安定感があり、置いたときに不安定でグラつくようなことはありません。リア・パネルを見ると、入出力端子としてUSBType-Bポートが1 系統とMIDI OUTが2系統、MIDI IN/OUTが2系統あります。

 

 また、MIDIFlex 4はUSBクラス・コンプライアントに対応しているため、別途ドライバーをインストールする必要はありません。付属のUSBケーブルでコンピューターと接続すればDAWでMIDIの入出力設定を行った後、すぐに使用可能になります。また、別売りのAPPLE iPad Camera Connection Kitを使用すればiOSデバイスを直接接続することも可能です。今回のレビューでは未使用ですが同社のソフトウェアNektarineと併用すれば、MIDI制御機能を拡張することもできます。さらにBITWIG 8-Trackのライセンス・カードが付属しているので、DAWを未所有の方でもコンピューターを介
してのMIDI制御を試用できるでしょう。

 

 本体側面では4つのLEDで入出力の接続状況を確認でき、MIDI信号を受信すると緑に、送信すると赤に点灯し、In/Out 1と2に接続したMIDI信号が入力/出力のどちらなのかを自動検出。2イン/2アウト、1イン/3アウト、4アウトなどMIDI信号の入出力を素早く柔軟に設定できて便利です。白のLEDではUSBの接続状況を確認できます。

 

 コンピューターと接続しない場合はスタンドアローンでの動作となり、別途USB経由での給電が必要です。このとき、2系統を1つにまとめるMIDIマージ・ボックスもしくは3系統のMIDIスプリット・ボックスとしても使用可能で、Modeボタンを押してモードを切り替えます。

 本体側面の右下に設置された黒いModeボタンを押すことで、マージとスプリットのモード切り替えを行う。その際In/Out 1と2が緑に点灯すればマージ・モード、In/Out 1のみLEDが緑の場合はスプリット・モードと、LEDの色で確認が可能になっている

本体側面の右下に設置された黒いModeボタンを押すことで、マージとスプリットのモード切り替えを行う。その際In/Out 1と2が緑に点灯すればマージ・モード、In/Out 1のみLEDが緑の場合はスプリット・モードと、LEDの色で確認が可能になっている

 In/Out 1と2のLEDが緑のときはマージ・モードで、In/Out 1と2に入力されたMIDI信号が結合され、そのデータがOut 3と4から出力。In/Out 1のLEDのみが緑のときはスプリット・モードとなり、In/Out 1に入力された信号がIn/Out 2とOut 3と4から出力されます。

リア・パネル。MIDI IN/OUTが2系統とMIDI OUTを2系統の4系統を装備し、2イン/2アウト、1イン/3アウト、4アウトなど用途に合わせて設定ができる。左にはUSB Type-Bポートも用意しており、コンピューター接続のほかスタンドアローンで動作する際の給電に使用する

リア・パネル。MIDI IN/OUTが2系統とMIDI OUTを2系統の4系統を装備し、2イン/2アウト、1イン/3アウト、4アウトなど用途に合わせて設定ができる。左にはUSB Type-Bポートも用意しており、コンピューター接続のほかスタンドアローンで動作する際の給電に使用する

スプリット・モードを使用したセッティングならば
1つのMIDI信号で最大3台の楽器を操作可能

 仕様を一通り確認したので、次は実際に機材を接続してみます。まずコンピューターとMIDIFlex 4をUSB接続し、DAW経由でMIDI制御します。使うソフトは筆者所有のABLETON Liveです。MIDIFlex 4にはMIDIポートが4系統あるので、シンセのKORG Volca FMとNORD Nord Lead 4R、リズム・マシンのELEKTRON Machinedrum UW、モジュラーのMUTABLE INSTRUMENTS Yarnsを接続します。USB経由でコンピューターから電源共有ができるので、取り回しがとてもシンプルです。DAWからのMIDI設定に複雑な部分は無いので、普段からMIDIのルーティングに慣れている人にとっては問題なく行えるでしょう。

 

 MIDI信号やクロックのタイミングも特に遅延なく同期していました。また、MIDI信号の送受信が行われるたびにLEDが点滅するので視認性に優れています。外部機器からMIDIポートへ入力される信号が中断されると、緑のLEDが赤に変わるので、配線ミスの回避やトラブルシューティングの際にも役立つでしょう。

 

 次にスタンドアローンでも試してみました。USBアダプターで本体へ電源供給し、Modeボタンでモードを切り替えます。マージ・モードで2つのMIDI信号を統合し送信、1つのシンセの複数パラメーターを制御することができました。また、スプリット・モードを駆使すれば、1台のリズム・マシンからMIDIFlex 4をハブとして別の3つのマシンにクロックを送信し、すべてを同期させたパフォーマンスを行えるので、ハードウェア・オンリーのセッティングの際にもMIDIFlex 4はMIDI信号制御の中枢を担ってくれるでしょう。

 

 複数ポートを搭載しているMIDIインターフェースとしては手ごろな価格帯なので、今後ハードウェアが増えた場合もMIDIFlex 4を増設しMIDI入出力を拡張することも可能です。スタンドアローンでの動作も可能で、省スペースかつ必要に応じて柔軟にMIDI信号のルーティングを組み替えることができるため、スタジオでの制作だけでなくライブ・パフォーマンスの際にも大活躍してくれると思います。

 

佐藤公俊
【Profile】電子音楽バンドMother Terecoのメンバー。ソロ名義ではミックス・エンジニアやDJとしての活動に加えて、パブリック・スペースやWebコンテンツのサウンド・デザインなども行っている

NEKTAR TECHNOLOGY MIDIFlex 4の製品情報

NEKTAR TECHNOLOGY MIDIFlex 4

オープン・プライス(市場予想価格:7,000円前後)

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SPECIFICATIONS ▪外形寸法:111(W)×33(H)×65(D)mm ▪重量:180g ▪電源:USBバス・パワー駆動 ▪付属品:USBケーブル、BITWIG 8-Trackライセンス・カード
REQUIREMENTS ▪Mac:OS X 10.7 以降 ▪Windows:Windows7以降 ▪iOS:別売りのAPPLE iPad Camera Mac/Windows/iOSに対応する4ポートUSB MIDIインターフェース Connection Kitが必要

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