「NEKTAR TECHNOLOGY Aura」製品レビュー:DAWやプラグインも制御できるシーケンサー内蔵MIDIコントローラー

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Photo:川村容一

 ビート・メイキングやパフォーマンス向きに作られた、MIDIコントローラーのNEKTAR TECHNOLOGY Aura。サンプラー/リズム・マシン・スタイルのワークフローを実現し、DAWやプラグイン・エフェクトおよびソフトウェア・インストゥルメントのコントロールをこなします。このように多機能なAuraを実際に使っていきましょう。

DAWコントロール用のボタンを8つ装備
多くのマップ・ファイルをそろえMIDIラーンも対応

 本体は13インチのノート・パソコンほどの表面積で、高さは45mm。パッドをたたくことを考慮してか、手前に向かって緩く傾斜が付けられています。コンピューター(Mac/Windows)とはUSBで接続し、バス・パワーで駆動。ACアダプターや市販のUSB電源アダプターなどから電源を供給すれば、スタンドアローンでMIDI OUTから外部機器にMIDIを送ることも可能です。

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リア・パネル。左からMIDI OUT、フット・スイッチ入力(TRSフォーン)、USB端子

 パッドとボタンは柔らかく、指先によくなじみます。最上部にあるポットは外周に溝が入っており、ホールド性が高いです。

 

 比較的古いOSにも対応しているのもポイント(Mac OS X10.7 以降/Windows 7 以降)。周辺機器やソフトの関係で古いOSを使い続けている方でも安心です。

 

 もちろん汎用のMIDIコントローラーとして使ってもよいですが、やはりDAWとプラグインをコントロールしてこそ本領を発揮します。NEKTAR TECHNOLOGYのWebサイトで製品登録を済ませた後、DAWインテグレーションを可能にするソフトと、プラグインを制御するためのソフトNektarineをダウンロードしましょう。コントロール用のソフトは、DAWごとに用意されています。DAWの再生/停止や録音、トランスポート・コントロールといった作業をパネル左下の8つのボタンで、トラックの選択をポッドで行えるわけです。

 

 Nektarineはスタンドアローンに加え、AAX/AU/VSTに準拠するプラグインとしても動作します。プラグイン・インストゥルメントを16個まで読み込め、パットごとに異なるものもアサインす可能です。プラグイン・エフェクトは1つのプラグイン・インストゥルメントにつきインサートを4つ、全体でセンドを4つまで扱えます。Auraはパッチやミキサー、エフェクト、パッドといったNektarine 用ボタンがパッドの横に8つスタンバイ。それらでプラグインのパラメーターへアクセスし、Auraでのコントロールを実現します。インストール後はスタンドアローンで起動し、Settingメニューの“Plugin Options…”から手持ちのプラグインをスキャンしましょう。その後、プラグイン・ビューのEmptyからプラグインを選択できます。

 

 今回はリズム・マシン音源のD16 Drumazonを読み込んでみましょう。

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Nektarineにリズム・マシン音源のD16 Drumazonを読み 込んだところ。VST/AU(Macのみ)プラグイン・インストゥルメントは最大 16 個まで読み込み可能で、各パッドに異なるサウンドをアサインできる

  Nektarineにはさまざまなメーカーのプラグイン・エフェクトおよびソフトウェア・インストゥルメントのマップ・ファイルが用意されており、その中にはDrumazonのマップ・ファイルもありました。AuraにはMIDIラーン機能が搭載されているので、マップ・ファイルのカスタマイズも簡単。プラグインを管理するプラグイン・ビューとは別にコントロールという画面も用意されており、こちらでマッピングを管理することができます。 

ベロシティやアフター・タッチの感度が高いパッド
シーケンスを走らせながらパッドでの演奏も可能

 これでパッドをたたけば音が鳴ります。カラー・ディスプレイにLoadと表示されている下のボタンを押しながら上部のポット1を回すことで、配列のプリセットを変更できます。スケールやコードといった音階演奏に対応するプリセットも多数用意されているのはありがたいですね。実際に鳴らしてみると発音のレスポンスやベロシティ、アフター・タッチの感度が非常に高く、演奏しやすいです。操作子の質の良さもあいまって、ハードウェアならではの“演奏する醍醐味”を感じることができました。

 

 Auraにはインターナル・モードと、シーケンス・モードが存在します。インターナル・モードはサンプラーのようにパッドをたたいて演奏し、シーケンス・モードではポットの下に横一列で並ぶ16個のボタンを使って、リズム・マシンのようにステップ方式でパターンを作れます。 

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インターナル・モードでは右側に4×4個配置されたパッドを使用してサウンドをトリガーでき、シーケンサー・モードでは上部に横一列に並ぶ16個のボタンでリズム・マシン・スタイルのパターン制作が行える

  作ったパターンはパッドで選択し、ディスプレイ・ボタンの“Run/Stop”で再生が可能。ShiftとSEQボタンを押しながらパッドをたたくと、コピー&ペースト、リバース、フィルといった機能も使えます。

 

 シーケンスを走らせながらインターナル・モードに切り変えれば、シーケンスに合わせてパッドを使ったリアルタイムでの演奏もできます。Repeat Onボタンを押しながらパッドをたたくことで、パッドにアサインされた音をロールさせることも可能。リピートの譜割りやスウィング、アクセントのインターバルなどもポットを回して指定できるので、トラップのような変則的なリズムも作れて楽しいです。またこのポットには、プラグインのパラメーターをアサインすることもできます。

 

 Nektarineはやや難解な部分も感じられますが、慣れればAura上で感覚的な制作およびパフォーマンスができるソフトでした。機能を知るほどに自由度が上がる、ポテンシャルに満ちたマシンです。

 

Q'HEY
【Profile】国内テクノ・シーンの草創期から活躍し続けるDJ/プロデューサー。1998 年からテクノ・イベントのREBOOTを主催し、ヨーロッパやアジア諸国でも数多くのパフォーマンスを行なっている。

 

NEKTAR TECHNOLOGY Aura

45,000円

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SPECIFICATIONS
▪接続端子:フット・スイッチ(TRSフォーン)、MIDI OUT、USB ▪外形寸法:301(W)×45(H)×231(D)mm ▪重量:1.4kg

REQUIREMENTS
▪Mac:OS X 10.7以降 ▪Windows:Windows 7以降

製品情報

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