MACKIE. OnyxGo Mic レビュー:専用アプリで録音と音声加工が可能なワイアレス・クリップ・オン・マイク

MACKIE. OnyxGo Mic レビュー:専用アプリで録音と音声加工が可能なワイアレス・クリップ・オン・マイク

 MACKIE.は1988年アメリカのシアトル郊外に設立された、ミキサー、スピーカー、録音機器を手掛ける音響ブランドです。今回は親指サイズのクリップ・オン・マイクOnyxGo Micを紹介します。配信ライブや動画、ポッドキャスト収録のクオリティを、シンプルな操作で上げたいミュージシャンが増えている昨今、取り入れたい機材です。

超コンパクト設計でモニター・イアフォン&ウィンド・ジャマーが付属

 OnyxGo Micのサイズは28(W)×48(H)×15(D)mmで、重量100g。衣類に直接クリップで留められる超コンパクトなクリップ・オン・マイクです。実際にTシャツに留めてみると付けていることを意識させないほど軽量。デザインはシックな黒色で真ん中にはMACKIE.のブランド・ロゴが記されています。付属されていたのは充電用ケーブル(USB-C)、ウィンド・ジャマー、マイクのヘッドフォン出力に接続してダイレクト・モニタリングするための専用イアフォンCR-Buds、サイズ別のイア・チップです。OnyxGo Mic本体のヘッドフォン・アウトはステレオ・ミニ。ウィンド・ジャマーにはイアフォン・ジャックを付けるための穴が開いています。

付属イアフォンのCR-Buds

付属イアフォンのCR-Buds

 早速、同社の録音用アプリOnyxGo(iOS/Android)をダウンロードして、作りかけの楽曲のデモを録音してみました。OnyxGo MicをBluetooth接続でAPPLE iPhoneに接続すると、まずアプリ内の録音画面が起動します。これが感覚的に操作しやすいデザインで、セッティングの手間がかかりません。

OnyxGo Mic専用の録音用アプリOnyxGo(iOS/Android)。起動するとまず録音画面が表示される

OnyxGo Mic専用の録音用アプリOnyxGo(iOS/Android)。起動するとまず録音画面が表示される

 音声加工技術を搭載しており、リバーブ付加、ノイズ除去、ミックスなどを簡易的に行えます。そのため思い付いたメロディをメモするときにも、取り出して瞬時に録音しやすいでしょう。また、イアフォンのCR-Budsに付いているインライン・マイクとOnyxGo Mic本体、それぞれのオン/オフを切り替えたり、両方同時に使用できます。

マイク入力の音声加工を行う画面。ここでイアフォンのCR-Budsに付いているインライン・マイクとOnyxGo Mic本体の入力切り替えも行える。ミックスのスイッチをオンにするとクリアな音に変化する

マイク入力の音声加工を行う画面。ここでイアフォンのCR-Budsに付いているインライン・マイクとOnyxGo Mic本体の入力切り替えも行える。ミックスのスイッチをオンにするとクリアな音に変化する

 録音画面から指で横にスワイプすると、マイクのEQ画面とモニタリングのEQ画面がそれぞれ分かれて表示されました。このアプリの作りの丁寧さを感じた瞬間でした。EQはどちらも200/800/Hzと2/4/8kHz以上の5つで構成されるグラフィックEQで、さらに5つのプリセットまで用意。そのときの気分や曲調によって選べたり、自由にカスタムできるのも魅力です。

録音画面から横にスワイプすると、200 Hz/800Hz/2kHz/4kHz/8kHz以上の5つで構成されるグラフィックEQ

録音画面から横にスワイプすると、200 Hz/800Hz/2kHz/4kHz/8kHz以上の5つで構成されるグラフィックEQ

 ノイズ除去機能では、ボーカルと周辺ノイズの距離感を自分の好みに調整可能。ノイズ除去は3段階あり、除去レベルをマックスの3まで上げた際は、生活音や道路の車の音などがしっかり軽減されました。ちなみにマイク・セットについて、私の歌声量だと胸元より少し下の位置にマイクを付けると快適に使えました。

 OnyxGo Mic本体でアコギを録り、歌はイアフォンのマイクで録る方法もテスト。コードやストロークを拾い切ることよりも、アルペジオなどを収音する方が得意だと分かりました。また、付属のCR-Budsのケーブルは短めなので、このように使用する際は別で長めのマイク付きイアフォンを用意した方が良さそうです。OnyxGoのノイズ除去機能をアコギの弾き語りで試した際は“フィンガー・ノイズを抑えたい”あるいは“リズムを出すためにフィンガー・ノイズや息遣いまで細かくとらえたい”など、曲に合わせて簡単に調節できます。

専用アプリOnyxGo内で音声加工だけでなく映像収録や通話録音も行える

 また、OnyxGoで映像収録できる機能があることに驚きました。オーディオ・モードとビデオ・モードの選択ができ、マイク設定はそのままに映像を録画できます。ここでもマイクのエフェクトやEQ調整が可能です。

ビデオ・モードではスマートフォンの内蔵カメラによる映像とOnyxGo Micの音声の収録が可能。ここでも音声加工を行うことができる

ビデオ・モードではスマートフォンの内蔵カメラによる映像とOnyxGo Micの音声の収録が可能。ここでも音声加工を行うことができる

 例えばスマートフォンからの映像配信ライブをする際に“リバーブをかけられたらな……”と思うことがあり、それをセットすると時間や手間がかかりがちです。でもOnyxGo Micはクリップオン、Bluetooth接続、アプリを起動して少し操作すればすぐ自分好みにできます。また映像配信で歌うときはリバーブをかけて、トーク中はオフなどの操作も可能です。

 また、OnyxGo上で設定が完了していて、OnyxGo Micが本人の襟元にあれば、スマートフォンと本人が離れていても音質/音量はそのままに映像を収録できます。YouTubeなどでVlogやインタビュー用撮影をするときに便利です。映像の解像度設定は720/1080P/4Kまで対応で、ほかフレーム・レート(25/30/50/60fps)、アスペクト比(1:1/4:3/16:9)や映像の明るさも調整可能。発信したいSNSの種類に合わせて形式を選べるのは、今の時代にとても合っていますね。

 私はシンガー・ソングライターですが、トーク中心でポッドキャスト配信もしています。ここで面白いと思ったのはボイス・チェンジャー機能で、鯨、猫、リス、雷、ロボットの全5種類の声質に変化できます。例えば鯨は低いピッチ、猫は高いピッチ、リスはさらに高いピッチです。通話録音も可能で、遠隔での音声収録もできますね。実際にポッドキャスト配信を一緒にやっている方に協力してもらい通話録音してみると、一方がOnyxGo Micを持っていれば相手の声も録音できるため、気軽にゲスト出演してもらえると感じました。通話録音しながらエフェクトをかけるとその変化が相手にも聴こえるようで、この機能を使えば周りと一味違う演出ができそうです。OnyxGo Micが2台あれば、一つのスマートフォン内のOnyxGoにペアリングをして同時収録も可能。OnyxGO Micはさまざまなコンテンツにおいて、新たな発想を即座に具現化します。コンパクトさと多機能を感覚的に扱える操作性で、作り手の創作意欲を後押ししてくれるアイテムです。

 

ナミヒラアユコ
【Profile】シンガー・ソングライター。10代から作曲を行い、2012 年公開の映画『青いソラ白い雲』の主題歌に起用。2018年5月に『COLORS』をリリースし2021年に2ndアルバム『薄明光線』を発売。

 

MACKIE. OnyxGo Mic

オープン・プライス

(市場予想価格:16,060円前後)

MACKIE. OnyxGo Mic

SPECIFICATIONS
▪指向性:無指向 ▪感度:−36dB±3dB ▪SN比:70dB ▪入力電圧:5V ▪最大稼働時間:約6時間 ▪フル充電必要時間:約2時間 ▪Bluetoothバージョン:5.0 ▪消費電力:3.7V、130mAh(内蔵リチウム・イオン・バッテリー) ▪付属品:MACKIE. CR-Buds(イアフォン)、CR-Buds用イア・チップ(S/M/L、各サイズのペア)、充電用USB Type-C to Aケーブル ▪重量:0.01kg ▪外形寸法:28(W)×48(H)×15(D)mm

製品情報