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MACKIE. EM-91CU+ レビュー:USB出力端子を装備する単一指向性のコンデンサー・マイク

MACKIE. EM-91CU+ レビュー:USB出力端子を装備するシンプルな単一指向性のコンデンサー・マイク

 ライブ配信やポッドキャスティング、そしてオンライン・ミーティングを行う機会も皆さんの間で非常に多くなっていると思います。その際に、サッと手軽にセットできる高音質なUSBマイクがあると便利ですね。今回紹介するMACKIE. EM-91CU+は、そんなマイクの選択肢の一つです。

ヘッドフォン端子を追加。ミュートのオン/オフ操作が可能

 EM-91CU+はUSBマイクですのでコンピューターに直接ケーブルを接続して、DAWやZoomなどのアプリケーションを立ち上げて簡単な設定をするだけで音を収録できるのはやはり魅力的ですよね。EM-91CU+の筐体にはUSB Type-B出力端子を装備しています。

MACKIE. EM-91CU+のマイクの下部にはUSB Type-B出力端子を装備

マイクの下部にはUSB Type-B出力端子を装備

 同梱物としてUSB Type-B to Aのケーブルが付属しているので、別途ケーブルを用意する必要がありません。また、ショック・マウント・タイプのマイク・ホルダーも付いています。しかし、マイク・スタンドは別途用意が必要でしょう。

MACKIE. EM-91CU+にはUSB Type-B to Aのケーブルとショック・マウント・タイプのマイク・ホルダーが付属している

USB Type-B to Aのケーブルとショック・マウント・タイプのマイク・ホルダーが付属している

 前身機種EM-91CUからアップデートされたのは、モニター用のヘッドフォン端子が搭載されたこと、本体にLEDが付いたこと、ミュート・ボタンが付いて自分の音声をマイク側でオン/オフできるようになったことです。LEDはコンピューター接続して電源が供給されると緑に、ミュートすると赤く点灯します。そしてEM-91CU+は非常に軽量ですので、持ち歩く際にもストレスが無さそうなのはポイントが高いです。音質に関しても周波数特性は30Hz〜18kHzと広いので、声をメインの用途と考えるなら全く心配無さそうです。コンサートなどでスタンダードに使われるダイナミック・マイクのSHURE SM58より、低音も高音も伸びています。

ポップ・ノイズを抑え環境音を拾いにくい

 それでは実際に使用してみてのレポートです。筆者の用途としては、Zoomなどでのオンライン会議、専門学校でのオンデマンド型授業、舞台などでの開演アナウンスの収録などが想定されます。

 まず接続についてですが、筆者はAPPLE MacBook Proを使用しておりUSB Type-C端子しか付いていないため、付属のものではなく手持ちのType-B to Cケーブルで接続しました。当然ですが、それだけでサクッと認識されて使い始められます。

 では最初にABLETON Liveで声を収録してみると、筆者が想定するアナウンスの収録には相性が良いと感じました。収録音はしっかりとしており、リボン・マイクを連想させるようなかなり歯切れの良い音で好印象です。そして何より驚いたのは、ポップ・ノイズに非常に強い!こと。全然気になりません。ポップ・ノイズやレベル・オーバーを自動回避してくれているようなチューニングでです。そのため、アマチュアの方や初心者の方でもEM-91CU+を使えば、手軽にクオリティの高い声の収録が可能になりますね。また指向性もかなり狭いので、室内ノイズや余計な環境音を拾いにくくなっています。声を明りょうに収音するには、マイクの正面から横にズレないように注意する必要はあるかもしれないです。そして、マイク・ゲインの設定が付いていないので、あまりマイクに近付き過ぎて大きな声で収録しようとするとひずんでしまったり不自然な音になってしまうこともあるようです。そのため、マイクからある程度離れて(20〜40cm程度)の収録がお勧め。どうしても入力レベルを調整したいときは、Macの場合、Audio MIDI設定から変更可能です。またレイテンシーがあるので、音楽制作のためのレコーディングなどでは注意が必要でしょう。

 次にオンライン会議や遠隔授業での使用を想定してみます。筆者はオンライン会議では圧倒的にZoomを使うことが多いです。基本的にはMacBook Proを使いますが、内蔵マイクではどうしても聴き取りづらかったり、退席中にアプリケーションでオーディオをミュートしたことを忘れて、いざ話し始めたときに音声がミュートされていた、などの経験が皆さんにもおありだと思います。大事な会議では特に注意しておきたいところですよね。

 MacBook Proの内蔵マイクとEM-91CU+を聴き比べてみると、雲泥の差がありました。内蔵マイクはこもっているし周りの環境音もしっかり入っていて肝心の声が聴き取りづらい印象です。それに対してEM-91CU+はとにかく環境ノイズを拾いにくく、マイク正面の音声をとても明りょうにとらえてくれます。ですのでZoomなどオンライン会議にもこのマイクはお薦めできます。

 以上幾つかのシチュエーションでテストしてきました。EM-91CU+はノイズなどのリスクを極限まで低減し、とにかく手軽に、声に特化した比較的高いクオリティの収録が可能なマイクです。シビアな録音には向きませんが、手軽に録音したい方や、今回のようにオンライン会議用マイクとしてはなかなか良い選択肢になると感じます。またマイク筐体にヘッドフォン出力が付いているので、別途オーディオ・インターフェースを用意して接続する必要もない手軽さ、それに加え何と言ってもコスト・パフォーマンスに優れた魅力的な製品です。

 

西川文章
【Profile】大阪を拠点に活動するPA/レコーディング・エンジニア。大小さまざまな会場を回り、豊富な経験を持つ。かきつばたやブラジルなどのプロジェクトで、ギタリストとしても活躍している。

 

MACKIE. EM-91CU+

オープン・プライス

(市場予想価格:10,780円前後)

MACKIE. EM-91CU+

SPECIFICATIONS
▪形式:コンデンサー ▪指向性:単一指向 ▪周波数特性:30Hz〜18kHz ▪感度:−32dB±2dB(0dB=1V/Pa@1kHz) ▪出力インピーダンス:100Ω±30%(@1kHz) ▪最大SPL:132dB ▪SN比:78dB ▪ビット/サンプリング・レート:16ビット/96kHzもしくは24ビット/48kHz ▪外形寸法:44(φ)×160(H)mm ▪重量:210g

製品情報