BOYA BY-PM300 レビュー:音楽制作から配信まで対応するデスクトップ・スタンド付きUSBマイク

BOYA BY-PM300 レビュー:音楽制作から配信まで対応するデスクトップ・スタンド付きUSBマイク

 BOYA BY-PM300は、ホーム・スタジオでのレコーディングに最適な高品質デスクトップUSBマイク。USB Type-C to AケーブルとUSB Type-C to Cケーブルが同梱され、ほとんどのAndroidスマートフォンおよびMac/Windowsコンピューターと互換性があります。ポッドキャスティングやゲーム実況などで活躍するお手ごろなマイクと言えるでしょう。

コンパクトで丈夫な設計。スタンドは触れても雑音が入りにくい

 球体型のマイク本体左サイドにはマイクのゲイン・コントロール、右サイドにはステレオ・ミニでのヘッドフォン出力のボリューム・コントロールのつまみがあります。ボリューム・コントロールのつまみは、押し込むとミュートのオン/オフを切り替えることが可能です。ミュートされているときは正面上部のLEDが青から赤へ変化するので、生配信の際も安心ですね。

 

 マイクは取り外し可能で、安定感を保ったまま角度調整をスムーズに行えます。デスクトップ・スタンドも軽くて丈夫。手にフィットする形なので、配信の途中にマイクの位置をずらす場合も繊細な動きに対応し、振動や摩擦が低減され雑音が入りにくいです。どんな場所でも手軽に生配信を行えるフォルム・デザインだなと感じました。本体裏のUSB端子とヘッドフォン端子も挿しやすい位置にあり、コンパクトながら操作性も良く、見た目もスタイリッシュです。

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背面にはUSB Type-C接続端子とヘッドフォン出力端子(ステレオ・ミニ)を搭載

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同梱されるケーブル。左がUSB Type-C to C、右がUSB Type-C to A

正面の声を安定して収音。生々しさが際立つウォームな録り音

 今回はAPPLE Logic Proに声や楽器を録音して録り音をチェックしつつ、同時に配信における有用性も探っていきたいと思います。BY-PM300をMacとUSB接続したところ、出力デバイスと入力デバイスの両方ですぐに認識されました。マイク入力としてのみ使用したい場合、出力は普段使っているオーディオI/Oに設定しておきます。

 

 マイクはスタンダードな単一指向性で、効果的にフィードバックを抑制してくれます。マイクの正面をシビアに意識せずとも安定して声を拾ってくれ、真正面から左右へ移動していくと少しずつ遠くくぐもった声色になっていきました。人の動きをライブで伝える臨場感ある配信ができるでしょう。また真正面で話し声から歌声に変えて録音しても、自然な音質です。ソースに対するマイク配置の正確性がさほど求められない指向性なので、2人で1つのマイクを使う場合も、近距離で横に並んで録音する分には使いやすそうでした。

 

 音質としては、繊細さやクリアさよりも生々しさが際立つ印象。メイン・ボーカルをレコーディングしてみると、少しこもり気味に聴こえました。後からEQやコンプでブライトにすることで、ウォームな部分を残しつつ垢抜けた印象を作り出せると思います。この質感を利用してラップやコーラスなどに使用するのもよいかもしれません。

 

 一方でアコースティック・ギターでテストしてみると、中域の野暮ったさがあらかじめカットされたような質感で録音でき、とても扱いやすく感じました。またアコギの弾き語りの場合、ゲインを上げてギターと歌を一緒に録音すると、耳なじみの良いパキッとした質感も出てくる印象です。マイクの部分が丸く広いので、感覚的にも中心を意識し過ぎずに演奏することができました。各楽器の奥行きはあまり感じられませんが、平面の枠を埋めていく感覚で音作りをすると面白いです。スピーカー付きのアナログ・シンセサイザーとボーカルの同時録音で同じように試してみても、前後の奥行き感というよりは上下左右の2次元の中で絵具を置いていくようなイメージがしっくりきました。シンセサイザーと歌の両方を主役に持っていきたいシーンで使ってみたいと思います。

 

 価格帯の高いマイクで弾き語りを配信/録音をすると、落ち着いた“録音物”としての完成度は上がる一方で、ライブ感はあまり出てこないもの。BY-PM300は音のクオリティを損なうことなく、よりライブ感を演出することができるマイクです。完成形のイメージにおいて、生の質感やスマート過ぎない手作り感を演出したい方にお薦め。機能はシンプルなのでUSBマイク初心者でも簡単に使いこなせると思いますし、マイクの角度調整の操作性が良いので、楽器を持ちながらの弾き語り配信にもぴったりですよ。臨場感やライブ感を重視した人間味のある音作りをしたい方は、ぜひ一度試してみてください!

 

AZUMA HITOMI
【Profile】サウンド・クリエイター/シンガー・ソングライター。アナログ・シンセ・カルテットHello, Wendy!でも活躍する。現在、美学校にて「AZUMA HITOMIのシンセお悩みそうだんしつ」開講中。

 

BOYA BY-PM300

オープン・プライス

(市場予想価格:8,980円前後)

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SPECIFICATIONS
▪指向性:カーディオイド ▪感度:-45dB(0dB=1V/Pa、1kHz 1Pa) ▪周波数特性:20Hz〜20kHz ▪消費電力:5V/120mA ▪SN比:75dB ▪最大音圧:110dB ▪マイク・ゲイン:38dB ▪サンプル・レート:48kHz ▪ビット深度:16ビット/24ビット ▪外形寸法:114.9(W)×249.6(H)×118.8(D)mm ▪重量:556g

製品情報

BOYA BY-PM300

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