【お知らせ】6月20日の申込/更新分より、サンレコWebのサブスクリプション価格を改定いたします。詳細はこちらをご覧ください。また、6月17日までWeb+印刷版(年間)を30%でご提供しています。

AUDIO-TECHNICA ATS99 レビュー:ボーカリストに向けたハイパー・カーディオイドのダイナミック・マイク

AUDIO-TECHNICA ATS99 レビュー:ボーカリストに向けたハイパー・カーディオイドのダイナミック・マイク

 ATS99は“誰にでも合うマイク”をコンセプトに開発され、ライブ、配信、レコーディングなどのあらゆるシチュエーションにおいて、すべてのボーカリストが心地良く思いのままに歌えるように、細部までこだわって設計されています。高磁力マグネットとステップアップ・トランスにより、高感度で量感のある中低域サウンドを実現したとのことです。

余計な環境音やノイズを拾いにくい

 まずは概要について。指向性はハイパー・カーディオイドで、⼀般的なボーカル⽤マイクよりも正⾯以外の余計な⾳を拾いにくく、ライブなどで⼤⾳量でのモニター環境が必要な場合でもハウリングしにくい構造になっています。さらに、マイク内部にショック・マウント構造を持っているので、特にハンド・マイクとして使⽤するのによさそうですね。また、ボディはアルミの削り出しで頑丈に作られています。⼿に持ったときのグリップ感が良好ですし、比較的軽量なので、⻑時間のライブなどでも重宝しそうです。マイク本体のほか、マイク・ホルダー、変換ネジ、ポーチが付属します。

マイク本体に加え、マイク・ホルダー、ポーチが付属する。マイク・ホルダーの接続部分には変換ネジが組み込まれている

マイク本体に加え、マイク・ホルダー、ポーチが付属する。マイク・ホルダーの接続部分には変換ネジが組み込まれている

 筆者は、ボーカル⽤のマイクで指向性がハイパー・カーディオイドというのはあまり聞いたことがなかったので少し驚きました。ハイパー・カーディオイドだと、側⾯からの余計な⾳は拾いにくい反⾯、マイクの正⾯から外れて歌ってしまうと、マイクに声が乗りにくくなってしまいます。一方で、近年のボーカル・レコーディングでは、マイクに近付いてオンマイクで声を収録することも多いですし、ハンド・マイクとして使⽤する場合は、そもそも口がマイクの軸からずれることがあまりないので、ハイパー・カーディオイドというのも理にかなっているなとも思いました。

 上述した指向性についてチェックしてみたところ、意図的にマイクの正⾯からずらすと単一指向性のボーカル・マイクに比べてより⾳量が下がるのですが、オンマイクで歌っている分には全く気にならないレベルでした。それよりもスタジオ・クオリティの環境が得られない場合に、余計な環境⾳やノイズを拾いにくいというメリットの⽅が⼤きそうですし、ライブで使う場合もハウリングのリスクを軽減できます。

自然で心地の良い中低域とバランスの良い高域

 肝⼼の⾳質についても見ていきましょう。AUDIO-TECHNICAは“量感のある中低域サウンド”とうたっていますが、まさにその通りのサウンドに仕上がっていました。“量感のある中低域”と⾔っても、そこが単に強調されているのではなく、⾮常に⾃然で⼼地良く再現される印象です。また、声の余計な低域成分と言える100Hz以下の帯域はうまくカットされているようで、中低域がリッチなのに、全体としてはすっきりしています。ATS99を使った後に他社製のボーカル・マイクを使ってみると、音がスカスカに思えてしまうほどでした。

 もちろん中低域だけでなく、⾼域も⾮常にバランスの取れた上質なサウンドです。3~4kHz辺りは⽿に痛い感じはなく、かと⾔って抜けが悪いというわけでもなく、⻭檫⾳の帯域もうまく抑えられています。また、マイクから3cmくらいの位置まで近づいて収音してみても、低域が膨らむこともなく、近接効果が抑えられていて良い感じです。⾔葉でお伝えするのがとても難しいのですが、まさに“すべてのボーカリストが⼼地良く歌えるサウンドのマイクロフォン”という感じですね。

 全体の印象として、ATS99はハンド・マイクとして使⽤するのにすごくお薦めできると思いました。ハンド・マイクと言えば、タッチ・ノイズが問題になる場合がありますが、このマイクは内部にショック・マウント構造を持つことで、できる限りタッチ・ノイズを抑制する作りになっています。実際に使⽤してみたところ、かなり低い音域のノイズが若干気になるとも思いましたが、 ハイパス・フィルターを⼊れてしまえば問題無いでしょう。

 ボディの作りや⾳質含め、とてもバランスの取れた完成度の⾼いマイクだと感じました。特にハンド・マイクで歌うボーカリストの⽅には⾮常にマッチする製品でしょう。ライブでもレコーディングでもオンマイクでの使⽤に向いており、かなり満⾜できる結果が得られると思います。また、ハイパー・カーディオイドという指向性によりハウリング・マージンが⼤きく取れると思いますので、ライブで活躍しそうです。⾃宅でのボーカル・レコーディングやリビングなどでの配信、収録⽤のマイクとしても、余計な雑⾳を拾いにくいのでお薦めしたいです。

 

西川文章
【Profile】大阪を拠点に活動するPA/レコーディングエンジニア。大小さまざまな会場を回り、豊富な経験を持つ。かきつばたやブラジルなどのプロジェクトで、ギタリストとしても活躍している。

 

AUDIO-TECHNICA ATS99

オープン・プライス

(市場予想価格:39,600円前後)

AUDIO-TECHNICA ATS99

SPECIFICATIONS
▪形式:ダイナミック ▪指向性:ハイパー・カーディオイド ▪出力端子:XLR(3ピン) ▪周波数特性:60Hz〜16kHz ▪感度:−52dB(0dB=1V/Pa@1kHz) ▪出力インピーダンス:600Ω ▪外形寸法:50(φ)×181.5(H)mm ▪重量:262g

製品情報

関連記事