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ANTELOPE AUDIO Discrete 8 Pro Synergy Core レビュー:独自のマイクプリを8基搭載する26イン/32アウトのオーディオI/O

ANTELOPE AUDIO Discrete 8 Pro Synergy Core レビュー:独自のマイクプリを8基搭載する26イン/32アウトのオーディオI/O

 高品質なオーディオ・インターフェースやクロック・ジェネレーターを提供するANTELOPE AUDIOから、Discrete 8 Synergy Coreの上位機種となる26イン/32アウトのオーディオ・インターフェース、Discrete 8 Pro Synergy Coreが発売。Mac/Windowsの両方に対応しています。私は同社のポータブル・オーディオ・インターフェース、Zen Studioのユーザーなので、今回のDiscrete 8 Pro Synergy Coreにはとても興味があります。それでは具体的に見ていきましょう。

最大130dBのダイナミック・レンジを持つAD/DAコンバーターを搭載

 Discrete 8 Pro Synergy Coreは、6つのトランジスターで構成されたディスクリート・ウルトラ・リニア・マイクプリを8基搭載するThunderbolt 3接続のオーディオ・インターフェース。最大130dBのダイナミック・レンジを持つAD/DAコンバーターを搭載し、最高24ビット/192kHzの録音/再生に対応します。

 まず、Discrete 8 Pro Synergy Coreが手元に届いたときに感じたことは、約3kgという適度な重量感。これくらいなら持ち運びも可能だな、と思いました。次に箱を開封して目に飛び込んできたのは、漆黒の筐体とシルバーのフロント・パネル。高級感あふれるルックスに心躍ります。

 フロント・パネルに備わるノブやボタン類は、しっかりとした作りです。左から、楽器(Hi-Z)にも対応するXLR/TRSフォーン・コンボ入力端子が2系統、入力ゲイン調整ノブが8系統、ピーク・メーター/コントロール・メニューなどを表⽰するディスプレイ、48Vファンタム電源のオン/オフなどDiscrete 8 Pro Synergy Coreの機能設定をつかさどるファンクション・ボタンが3系統、ボリューム・コントロールなどで用いる大型のメイン・ノブ、トークバックを起動/終了するTBKボタン、そしてステレオ・ヘッドフォン出⼒用のゲイン調整ノブとそのTRSフォーン端子がそれぞれ2系統備わっています。

 リア・パネルも前モデルであるDiscrete 8 Synergy Coreとほとんど変わらない様子。ステレオ・モニター出力(TRSフォーン)のほかにワード・クロック入力が1基とワード・クロック出力(いずれもBNC)が3基付いており、ほかのデジタル機器との同期が安心して行えます。またS/MUX対応のADATオプティカル入出力(TOSLINK)が2系統あるため、ご自身がADAT搭載マイクプリをお持ちの場合、計24chの入力にすることも容易に可能です。この点は、バンド録音などで非常に便利でしょう。アナログのライン出力(D-Sub 25ピン)を備えている点も好印象です。

リア・パネル。左から電源入力(18V/25W)、ワード・クロック入力×1、ワード・クロック出力×3(いずれもBNC)、S/P DIF入出力(コアキシャル)、フット・スイッチ用端子、S/MUX対応のADATオプティカル入出力(TOSLINK)×2、コンピューター接続用のThunderbolt 3とUSB(Type-B)ポート、ライン出力(D-Sub 25ピン)、ステレオ・モニター出力、リアンプ出力R1/2(いずれもTRSフォーン)×2、マイク/ライン入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)×6を備えている

リア・パネル。左から電源入力(18V/25W)、ワード・クロック入力×1、ワード・クロック出力×3(いずれもBNC)、S/P DIF入出力(コアキシャル)、フット・スイッチ用端子、S/MUX対応のADATオプティカル入出力(TOSLINK)×2、コンピューター接続用のThunderbolt 3とUSB(Type-B)ポート、ライン出力(D-Sub 25ピン)、ステレオ・モニター出力、リアンプ出力R1/2(いずれもTRSフォーン)×2、マイク/ライン入力(XLR/TRSフォーン・コンボ)×6を備えている

 セットアップでは、コンピューターとThunderbolt 3ケーブルで接続し、Webから管理アプリのAntelope Launcherをダウンロード&インストール。そして、新たに設計されたという専用コントロール・パネル画面を開きます。ここでは32chミキサーやエフェクト、モニタリング、ルーティング・マトリクスなどの設定が行えます。

 印象に残ったのは、ルーティング・マトリクス画面でチャンネルのアサインがドラッグ&ドロップにより行えること。しかも、複数のチャンネルをまとめてアサインすることもできるので、ルーティングが容易です。またヘッドフォン1と2や、モニター1と2に32chの出力を好きなボリュームでアサインできるのも良かったです。モニター2に関してはリア・パネルにてREAMPと記載されている通り、コントロール・パネルからモニター/リアンプのモード変更が可能。シチュエーションに合わせて、かなり自由度の高いルーティングが行えます。

きめ細やかな解像度とナチュラルな音質

 気になる音質面ですが、テストでは女性シンガー・ソングライター花野さんのボーカルとアコギをレコーディング。ボーカルにはコンデンサー・マイクを用い、アコギはラインで収録します。まず8基のマイクプリについてですが、良い意味で“癖が無い音”という印象でしょうか。特に色付けされることはなく、非常に低ノイズで高品位な音質です。色付けなどは、無償でバンドルされる37種類のエフェクト、Synergy Core FXで行うために設計されているのだと思われます。

コントロール・パネルのAFX画面ではリアルタイム処理エフェクトSynergy Core FXの設定が行える。上段はプリアンプ/EQのBAE-1084で、下段はコンプのFET-A76。最大16chまでエフェクトを立ち上げることができ、EQやリバーブ、マイクプリ、ギター・アンプなど37種類のエフェクトが無償で付属する。そのほか、ANTELOPE AUDIOソフトウェア・ストアでは、追加購入可能な60種類以上のエフェクトも用意されている

コントロール・パネルのAFX画面ではリアルタイム処理エフェクトSynergy Core FXの設定が行える。上段はプリアンプ/EQのBAE-1084で、下段はコンプのFET-A76。最大16chまでエフェクトを立ち上げることができ、EQやリバーブ、マイクプリ、ギター・アンプなど37種類のエフェクトが無償で付属する。そのほか、ANTELOPE AUDIOソフトウェア・ストアでは、追加購入可能な60種類以上のエフェクトも用意されている

 Synergy Core FXを用いたかけ録りでは、ボーカルはマイクプリ/EQのBAE-1073やコンプのFET-A76などで若干補正をし、アコギにはEQのClear Qをかけて部屋鳴りをカット。私は以前からSynergy Core FXを愛用していますが、1基のFPGAと2基のDSPチップで構成された内部エフェクト処理によってレイテンシーをほとんど感じません。オリジナルの実機の再現度も高いため、スタジオで録っているときのリアルタイムな感覚と変わらないのは特筆すべき点だと思います。

 驚いたのがモニターからの出音。Discrete 8 Pro Synergy Coreは、これまでのDiscreteシリーズとは明らかに一線を画すサウンドです。ローからハイに至るまでANTELOPE AUDIO特有のきめ細やかな解像度はそのままに、よりローミッドからハイミッドまでしっかり、そしてナチュラルに鳴らしてくれます。

 私がレコーディングからミックスまで担当させていただいた元T-SQUAREのピアニスト、故・和泉宏隆さんのソロ・ピアノ・アルバムも聴いてみました。感想は“和泉さんにも、この音を聴いてほしかった!”です。和泉さん特有の優しいタッチの再現度と透明感のあるサウンドが素晴らしく、実際にその場で聴いているかのような臨場感を味わえます。私が狙った通りの音がすべて再現されていました。

 バンド音源も試聴してみたところ、ハイハットの細かいニュアンスやエレキの粒立ちがくっきりと浮かび上がります。また打ち込みのダンス・ミュージックでは、ミックス時に一番気になっていたドラムとベースのロー感の分離が明確に表現されており、周波数帯域にかかわらず速いレスポンスを感じられます。

 ヘッドフォンからの出音も確認しましたが、十分なクオリティを保っています。今すぐにでもDiscrete 8 Pro Synergy Coreに買い換えようかと考えてしまいました。

 この価格で高品位なマイクプリやAD/DAコンバーター、同社のマスター・クロックにも採用されている64ビットAFCクロッキング・テクノロジーを搭載し、自由なルーティングも行えるというDiscrete 8 Pro Synergy Core。宅録スタジオの核となることはもちろん、ライブのレコーディングやマニピュレート用として持ち出すこともできます。現代の音楽制作環境のニーズに幅広くマッチした一台だと言えるでしょう。

 

小崎弘輝
【Profile】音楽制作会社LiMu Createを主宰するエンジニア。ニューヨークでの修行後、つばさプラスなどを経て現在に至る。近年は、加山雄三のライブ・ミックスなどを手掛けている。

 

ANTELOPE AUDIO Discrete 8 Pro Synergy Core

249,700円

ANTELOPE AUDIO Discrete 8 Pro Synergy Core

SPECIFICATIONS
▪接続:Thunderbolt 3、またはUSB 2.0(Type-B) ▪最大入出力:26イン/32アウト(アナログ+デジタル) ▪ビット/サンプリング・レート:最高24ビット/192kHz ▪アナログ入力:マイク/ライン入力×6、マイク/ライン/Hi-Z入力×2 ▪アナログ出力:ステレオ・モニター出力×1、リアンプ出力×2、8chライン出力×1、ステレオ・ヘッドフォン出力×2 ▪外形寸法:約483(W)×44(H)×220(D)mm ▪重量:約3.0kg

REQUIREMENTS
▪Mac:macOS 10.13以降(macOS 11.2 Big Sur推奨)、Thunderbolt 2以上、またはUSB 2.0以上搭載のコンピューター(Apple Silicon M1を含む)
▪Windows:Windows 10以降(最新アップデート推奨。現状Windows 11は公式サポート外)、Thunderbolt 3またはUSB 2.0以上搭載のコンピューター、INTEL Core I3以上またはAMD Ryzen 1000シリーズ以上のプロセッサー
▪4GB以上のRAM(8GB推奨)、4GB以上の空きストレージ

製品情報

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