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AMBIENT DYNAMICS AD-006 Lyndale レビュー:デュアル・ドライバー採用のカナル型イアフォン

AMBIENT DYNAMICS AD-006 Lyndale レビュー:デュアル・ドライバー採用のカナル型イアフォン

 AMBIENT DYNAMICSはオーディオ・マニアが集まって作ったブランドとのこと。メーカー・サイトの記述によれば、マネージング・ディレクターのレイ氏が何千ドルも投資して購入したインイア・モニターに不満を持って自作を始めたところからスタートしたそうです。“法外な価格をつけずに高品質なインイア・モニターを提供するのが我々の使命”とまで言い切る彼らの製品は、テストする前から期待が膨らみます。

イア・ピースはフォームとシリコンの2タイプ

 今回レビューするAD-006 Lyndaleは優れた遮音性能と、長時間使用可能な装着感を実現したというカナル型のイアフォンです。ダイナミック型ドライバーとバランスド・アーマチュア型ドライバーで構成されたデュアル・ドライバー・システムを採用。8芯無酸素銅リッツ線を使用して手作業で組み立てられており、ハイレゾにも対応した情報量の多い高品質な音質を目指したとのこと。周波数特性は20Hz~20kHzで、感度は109dB@1kHz、インピーダンスは12Ω@1kHz。再生機器との接続にはステレオ・ミニ・プラグを採用し、本体のイアフォン・コネクターには0.78mm径の端子(2ピン)を採用しているため、より高品位なケーブルに換装することも可能です。専用のキャリング・ポーチとクリーニング用のブラシ、イア・ピースが6セット付属します。

付属品。左は専用キャリング・ポーチ、右のケースにはイア・ピースとクリーニング用ブラシが収められている。イア・ピースはフォーム・タイプとシリコン・タイプがそれぞれS、M、Lの3セットで計6セットが用意されている

付属品。左は専用キャリング・ポーチ、右のケースにはイア・ピースとクリーニング用ブラシが収められている。イア・ピースはフォーム・タイプとシリコン・タイプがそれぞれS、M、Lの3セットで計6セットが用意されている

 それでは実際にテストしていきましょう。今回は音楽制作用として、どれだけ使えるかを検討したかったので、RME Multifaceのヘッドフォン・アウトに接続してチェックしました。また、比較対象として他社製のAD-006よりやや高額なハイレゾ対応ヘッドフォンも複数用意しました。

 箱を開けてまず感じたのが高級感。ツイスト加工が施されたイアフォン・ケーブルはオーディオ・マニア好みの渋さ。本体にも余計な装飾が無く無骨で好感が持てます。業務用機材の中に混じっても、全く違和感がありません。個人的に外国製のイアフォンで気になるのが、日本の多湿な夏を想定しておらず、塗装が劣化でベタついてくることなのですが、その点も長く使えそうな素材感でポイントが高いです。

 イア・ピースはフォーム・タイプとシリコン・タイプがS、M、Lの3ペアずつ、合計6セットが同梱されています。これは耳の穴が小さいという理由でイアフォンを避けている方にもうれしい配慮ですね。

フォーム・タイプのイア・ピース(M)を装着した状態

フォーム・タイプのイア・ピース(M)を装着した状態

 まずはフォーム・タイプで試聴。驚いたことに比較対象としたヘッドフォンよりも高域、低域とも出ているような印象です。スペックを見る限り、比較した複数のヘッドフォンはAD-006よりも高域は伸びており、かつAD-006は高域がなだらかに下がっていくような周波数特性のはずなのですが、恐らくヘッドフォンよりもドライバーが耳に近く、空気を通って音が柔らかくならないので、このような印象になったのだと思います。シンバルの伸びがかなりよく聴こえます。超高域は出ていないはずなので、10~17kHz辺りが聴こえやすいということなんでしょう。

 一般的にフォーム・タイプでは低音が出るイメージだったので、これは少し意外でした。また、ソリッドでフォーカスが非常にはっきりしていて、再生音そのものにヘッドフォンのような空気感がまとわりつかないので、リバーブが分離して認識できます。試しにボーカルにプレート・リバーブをかけてみたところ、プリディレイやリバーブ・テイルがどこにあるのか、完全に見える感じです。

普通のヘッドフォンでは捉えられない分離感

 次にシリコン・タイプを試してみます。フォーム・タイプは高域、低域が聴こえすぎるせいなのか、ややドンシャリ気味でローミッドが分かりにくい感じがしましたが、こちらに変えると、それが解消されてローからミッドへのつながりが良くなりました。これまで聴き慣れている感じに近いので、個人的にはこちらの方がトータルでは分かりやすい音でした。一般的なヘッドフォンと比べると、これでもまだ近い音で、普通だと低音が出たときに風を感じるような圧があるところ、こちらはハッキリ輪郭まで見えるような違いがありました。オシレーターを聴いてみたところ、30~40Hz付近がヘッドフォンよりもわかりやすく派手に聴こえるので、純粋に低音が再生されているというより、やや倍音が付加されている雰囲気があります。そのために低音が見えやすいようなところがあるので、低音の音量設定がうまくできないけれど、スピーカーを爆音で鳴らすのは無理という環境の方には武器になると思います。

 一般的なモニター・ヘッドフォンと比べると、スピーカーとヘッドフォンの差と同じくらい近接感に差を感じたので、慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。そのため、完全にリプレースするというよりは、もう一つモニターの選択肢を増やすという形での導入がスムーズだと思います。普通のヘッドフォンでは捉えられない分離感があるのは確かなので、ぜひ一度体感してみてほしいです。

 

中村公輔
【Profile】neinaの一員としてドイツの名門Mille Plateauxなどから作品発表。以降KangarooPawとしてソロ活動を行い、近年は折坂悠太、宇宙ネコ子、大石晴子らのエンジニアリングで知られる。

 

AMBIENT DYNAMICS AD-006 Lyndale

オープン・プライス

(市場予想価格:19,800円前後)

AMBIENT DYNAMICS AD-006 Lyndale

SPECIFICATIONS
▪形式:カナル型 ▪ドライバー構成:10mm径PU+TI複合振動板ダイナミック型ドライバー×1基、バランスド・アーマチュア型ドライバー×1基 ▪感度:109dB@1kHz ▪周波数特性:20Hz〜20kHz ▪インピーダンス:12Ω@1kHz ▪付属ケーブル:8芯無酸素銅リッツ線ケーブル ▪イアフォン・コネクター:0.78mm(2ピン) ▪プラグ:ステレオ・ミニ ▪重量:21.8g(実測値、ケーブル含む)

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