
第2回 シンガー・ソングライター目線での
Studio Oneにおける曲作り
こんにちは! DAW女シンガー・ソングライターの小南千明です。この数カ月は主催しているDAW女子会をはじめライブ三昧でした。最近はデビューに向けた楽曲制作に励みつつ、11月19日に行うワンマンライブに向けて準備を進めています! 楽しみだー! さて、前回は私がStudio One(以下S1)を使うようになった経緯とS1を使ってどのように音楽活動をしているかをお話ししました。曲作りからレコーディング、ライブまでS1で行なっている私ですが、今回からはそれぞれの過程をもう少し詳しく解説していこうと思います。まずはシンガー・ソングライター目線でのS1を使った曲作りについて、普段の流れやお気に入りの機能を紹介しましょう。
スクラッチ・パッドを
ボイス・メモ代わりに使って録音
ライブの楽屋で共演のシンガーから“DAWの使い方教えて!”と言われることがよくあります。バンドのボーカル、ギターやピアノの弾き語りなど、いろいろなスタイルのシンガーと一緒になりますが、曲作りの話をするとAPPLE iPhoneのボイス・メモで録り貯めるているという人がとても多いです。興味はあるけどやっぱりDAWは難しそうという印象が強く、ソフトは持ってるけど何年も開いてないという人もいます。実際に私も初めてS1をインストールしたときは、すべてが宇宙語に見えて夜中に知恵熱を出しました(笑)。ただ、S1は画面のデザインがすっきりとシンプルで分かりやすいので、インストールをしっかり行って、オーディオや外部のデバイスを設定してしまえば、すぐに感覚的に音を出していくことができます。一つのウィンドウの中でピアノロールやミキサー画面、ブラウザまで見ることができるし、それぞれの切り替えもスムーズでなので、現在もノート・パソコン一台で不自由なく作業ができています。初めてDAWに触るというシンガー・ソングライターにも、とても優しいソフトなのです。
私は曲を作るぞー!というときはまずエレピの音源を立ち上げて、キーボードで適当にコードを鳴らしながら鼻歌で作っていくことが多いです。そしていい感じのメロを思いついたら忘れないようすぐにスクラッチ・パッドに録音します。

とりあえずクリックも鳴らさず、メモという感じ。ボイス・メモと同じ感覚ですね。それを再生して聴いてみて、良いかも!となったらテンポを決めてメイン・ウィンドウに打ち込んでいきます。スクラッチ・パッドは、同じソング内でメモ変わりに使え、メイン・ウィンドウに余計なデータを入れずに進められるので、とてもお気に入りの機能です。ファースト・デモの段階では、リズムのキックとスネア、ハイハットくらいまで打ち込んで、その上にコードやリフ、シンセ・メロを重ねていくことが多いです。
音源は右のブラウザからドラッグ&ドロップですぐに立ち上がってくれるので、スムーズに思いついた音を重ねていくことができます。作曲はインスピレーションとの戦いなので、イメージが薄れてしまう前に鳴らしたいと思う音にたどりつけるかどうかはとても重要! ブラウザ内で検索もできるし、プラグインのサムネイルも登録可能なので、パッと見てもとても探しやすいです。ミニ・サイズのプラグインが並んでいる図はなんだかかわいくてテンションも上がります。

音色が決まったら、基本的にはMIDIキーボードの鍵盤やパッドを演奏して録音していきます。クリックを鳴らしながら打ち込んだ後、ピアノロール内でクオンタイズしたりノートの長さを調整するのですが、S1は右クリックを押すと“最近使った項目”がすぐ選べるので、サクサク作業を進めることができるのです。不規則なハイハットなどはペンシルでノートを書いていくこともあります。
私は80'sポップやシンセ・ウェーブのような、8分や16分で刻むシンセ・ベースやリフが好きなのですが、ステップ入力だと簡単にいい感じのダサカッコ良さが出せます。

ステップ入力のアイコンを押すと音符の長さが選ぶことができ、3連符なんかも簡単に設定可能。私の1stミニ・アルバム収録の「NEVERENDING STORY」や最近の曲の「WAWAWAWARP」でも、ベースはこのように打ち込んでます。ぜひ聴いてみてください!
ワンコーラス分の構成ができたら、セクションごとのメリハリをつけるために、フィル・インやサビ前のブランクなどでループ素材を使うことがあります。ここでも音源と同じように、右側のブラウザからループのタブを選んで探すことが可能です。検索することもでき、再生しながら選んでトラック内にドラッグ&ドロップをすればテンポをそろえて取り込んでくれるので便利です。そのまますぐ使えるし、ピッチを変えてみたり、スライスしたデータをコピー&ペーストしながら並べてグリッチっぽくしてみたりもスムーズ。オーディオ・データを右クリックでSample Oneに送ればMIDIデータとしていじることができるので、ピッチベンドにオートメーションを書いたりしても面白い音になって楽しいです。

制作のテンションを上げるために画面や
トラックのカラーをカスタマイズ
DAW女子会の楽屋で話していて盛り上がったことがあります。それは、自分のテンションを上げて良い曲を作るために、ビジュアルはとっても大事!ということ。DAWのビジュアルでは、ソング・ファイルはそれぞれのキャラやこだわりがよく見える場所だと思うので、私は、トラックのカラーを曲のイメージに合わせて変えています。S1なら画面全体も“環境設定>一般>アピアランス”で好きな色に変えることが可能。私はプリセットの“Kitty girlに設定しているのですが、自分のお気に入りの部屋の中にいるような感じで、パソコンに向かう気分も上がります。

シンガー・ソングライターの曲作りで大切なのは、自分の思いを形にして人に伝えることです。S1は操作がとてもシンプルなので設定に手間をとらずに感覚的に音が重ねていけるし、音質もとても良いので曲作りがそれまでの何倍も楽しくなりました。フリー版もあるので、DAWは難しそうと思っているシンガーにもぜひ触って見て欲しいです。次回は、歌を録音してどのように仕上げていくのかをお話ししたいと思います!
*Studio One 3の詳細は→http://www.mi7.co.jp/products/presonus/studioone/