ぎゃぁぁあ。原稿締め切りの連絡が鳴り止まないぜ。ここって何書くんだっけ? とりあえず小学校のころの音楽の吉田先生との思い出話でも書くか。僕に最初にMTRやシンセサイザーを触らせてくれたのが吉田先生で、休み時間に音楽室に行くとハンダゴテで自作のエフェクターとかを作ってるわけ。で、その吉田先生にすごい事件が起こるんだけど……あ、もう文字数が……。では続きは次回に。あとこれはみんなに伝えたい、3月は寒いから! なんで忘れんの3月が寒かったこと!
自由度の高いDrum Rack
OperatorやMaxパッチもアサイン可
●オープン/クローズ・ハイハットを同時に鳴らさない方法
ハイハットをオープンとクローズで同時に鳴らしたくない場面ってありますよね。そんなときは、Drum Rackを読み込んでチェーン・リスト、入力/出力セクションを表示させると、Chokeという項目が出ます。
そこで同じチャンネルを設定した素材は最後に鳴った方が優先されるので、オープンの後にクローズを鳴らした場合、最初に鳴らしたオープンが切れるようになるんです。僕は基本的にハイハットを素材ごとにチェインしていますね。Drum Rackで打ち込むときはこの方法を使うことが多いんです。
●DSシリーズでオリジナルの音作り
インストゥルメント内Drum Synthの中にあるDS KickやDS Snareなどは、サウンドにパンチがあって、完成度の高いMax for Liveパッチです。CYCLING '74 Maxを開けば音を作り込むことも可能ですが、そうしなくても、直接オーディオ・エフェクトをかけてSaturatorでひずませたり、Gateで伸ばしたものにリバーブをかけてゲート・コンプのようにすることもできます。Liveには細かく編集できるデバイスが多いので、サンプルやプラグイン無しでも音作りを楽しめるんですよね。
●Drum Rackはサンプル以外も入れられる
Drum Rackにはサンプルだけでなく、Operatorや先程紹介したDSシリーズなどのデバイスも入れることができます。僕はOperatorで作ったキックやハイハットをよくDrum Rackに入れていましたね。今はモジュラー・シンセなどを使うことが多いので、Liveで自分のラックを作って完結させることは少ないんですけど、これは覚えておけば面白いと思います。
●Operatorを使ったサブベースの打ち込み
僕はよくOperatorでサブベースを作ります。方法としては、OperatorにSaturatorなどを加えてベースになる音色を1つ作って、これ自体を気持ち良い音圧で録ってフリーズ。波形の状態でピッチのオートメーションを書いていきます。
この方法のメリットは2つあって、1つは、オーディオ・データに直接サチュレーションやEQなどを使うとどんどんフィルタリングされますが、その処理を後回しにできること。本来サンプラーでやっているようなことに近いですけど、この方が音が前に出てくる気がします。もう1つは、ピッチをぐちゃぐちゃにしたり、無理やりトランスポーズした感じのひずみ感を出せること。こうすることで、ザキザキした質感の音が作れるようになります。
アナログ機材のメカニズムを
Live標準プラグインで再現する
●Frequency Shifterを使って仮想テープ・サチュレーターを作る
アナログ機材のメカニズムを調べて、標準プラグインで再現してみる遊びも楽しいですよね。例えば、Frequency Shifterを使うとテープ・サチュレーターを仮想的に作ることができるんです。Frequency Shifter内のShiftでピッチを下げてアナログっぽい質感を出し、Ringを30〜35Hzくらいに設定すると、テープ・サチュレーション独特のハーモニック・ディストーションやフラッター効果っぽい音になったりします。左側のLFOを使えばテープ・ワウのようなピッチの揺れも作れますね。僕はFrequency Shifterを多用していて、ハイハットにかけたり、複製したボーカルにFrequency Shifterをかけたものを重ねてコーラス感を出したりします。特にSaturatorやVinyl Distortionをチェインして使うことが多いですね。
●CV LFOでハードウェアのピッチを揺らす
リズム・マシンのキックのピッチを変化させたいときに、オートメーションで描くのはしんどいですが、CV LFOのRandomをアサインすれば、ピッチを自動で変化させられます。ほかにも、ハイハットを打ち込むときにRandomを薄くかけて、聴感上は分からないくらい絶妙にピッチや音量を揺らすと、その方が気持ち良かったりするんです。もう一歩踏み込むと、僕はレコードがずっと33回転で回るのと同じく、キックやハイハットのピッチも同じ周期で上下する方が気持ち良いのではと予想。なので、最近は同じ周波数のTriangleのモジュレーションをいろいろなものに1%くらいでうっすらかけています。
サンプルをビートにはめるWarp 機能
愛おしい質感のLive 付属Reverb
●サイド・チェインのような効果をMaxのShaperで作る
CV LFOに似た効果ですが、波形を作り出せるMaxパッチのShaperとUtilityを組み合わせて、ShaperのマッピングをUtilityのGainに設定すると、生成した波形に合わせてGainが自動で動きます。これを活用すると、テクノやハウスなどで4つ打ちに合わせて音量が上下するサイド・チェインのような効果も作れるんです。Shaperはどんなパラメーターにもアサインできるので、さまざまなプラグインに適用できますし、本来ならできないはずのことがいろいろできるので面白いですね。
●Sample内のBeatsを活用してビートを生む
サンプルのオーディオ編集画面でSample内のWarpをオン→ Beatsを選択→ Preserveで拍数を1/16や1/32に設定すると、テンポに合わせたゲートでビートにはめられます。
●Live付属のReverbにしか出せない愛おしさ
Live付属のReverbは、とにかく愛おしい。デジタル系のリバーブの中でも広がり方が結構独特で、いわゆるキーボードに内蔵されているリバーブやディレイに近い感じの質感なんです。ナチュラルというより派手にしてくれるんですが、これにしかない愛おしさがあるんですよね。
今回は、Live内蔵エフェクトを活用したTipsを紹介しました。遊びや実験のような感じでいろいろ試すと面白いですよ!
Seiho
【Profile】米PitchforkやFADERなど多くの海外メディアからのアテンションを受け、LOW END THEORY、SXSWといった海外主要イベントへ出演。フライング・ロータス、ディスクロージャー、マシュー・ハーバート、カシミア・キャットらとのツアーや、三浦大知、矢野顕子、KID FRESINO、PUNPEEらとの共演やプロデュース、またAvec Avecとのポップ・デュオ=Sugar’s Campaign などで知られる大阪出身のアーティスト、プロデューサー。
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