C. Tangana、Toquinho『Comerte Entera』、Shame 『Drunk Tank Pink』 〜Nagie's Recommend

 第一線で活躍するエンジニアに毎月お薦めの新作を語ってもらう本コーナー。Nagie氏の今月のセレクトは、C. Tangana、Toquinho『Comerte Entera』、Shame 『Drunk Tank Pink』です。

儚いメロディのボサノバから強烈なラテン・ヒップホップへ
違和感ある展開が心地良く、いつまでも聴いていたい

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C. Tangana、Toquinho『Comerte Entera』

 C. タンガナはスペインで活躍するヒップホップ・ラッパー。本曲はボコーダーで始まる怪しい雰囲気から、突然儚いメロディのボサノバがスタートする。その良い雰囲気に突然強烈なラテン・ヒップホップなビートがやってくる。もう、この組み合わせにやられてしまった。この違和感ある展開が心地良く、いつまでも聴いていたい。

 日本ではあまり情報が入ってこないが、原稿を書いた数日間でMVのアクセス数が爆発的に伸びているので本国ではすごく盛り上がっていると思う。強いて言えば、もっと曲の長さとさらに激しいヒップホップへの展開が欲しかった。過去曲を掘ったが全部短めなので、そういうスタイルなのかと思った。

Comerte Entera

Comerte Entera

  • C. Tangana & トッキーニョ
  • ラテン・アーバン
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

ただ乱暴に演奏するロックと一線を画す
素晴らしいプロダクション

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Shame『Drunk Tank Pink』

 お次のシェイムはロンドンを拠点とするポストパンク・バンド。こちらはC. タンガナと対極的で、スタイルやプロダクションに奇をてらったものは無い。個人的にXTCのようなスタイルからの正当なパンク・ロックというふうに聴こえる。また、ただ乱暴に演奏するロックと一線を画していると感じた。その理由は、激しいドラム、特徴的なトレモロ奏法のギターなど、演奏力が高くて全体が成熟したサウンドとしてまとまっているからだろうか?

 理由を考えながら大音量で聴くと、一見正当なロック・サウンドと聴こえるルーミーなミックスだが、エフェクト・プロセッシングされたギターにレイヤーされた逆再生の音やシンセっぽい音が自然に混ぜ込まれているのが分かる。素晴らしいプロダクションだと思う。

Drunk Tank Pink

Drunk Tank Pink

  • Shame
  • オルタナティブ
  • ¥1528

 

Nagie

【Profile】ANANT-GARDE EYES、aikamachi+nagie、CM、アニメ、劇伴、映像音楽中心に活動。Vocaloidライブラリー開発も行う

 

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