
GLM補正が入るとなぜか音量が増えたように感じました
無駄な鳴りが減って解像度が上がったからなんでしょうかね
今回のテスト・モデル
8341A
オープン・プライス
(ダーク・グレー:市場予想価格358,000円前後+税/1基、ブラック/ホワイト:市場予想価格378,000円前後+税/1基)
同軸ツィーター+ミッドレンジ・ドライバーに、2基の楕円形ウーファーを加えた3ウェイ・ポイントソース構成のThe Onesシリーズ中型機。最大出力は110dB、周波数特性38Hz〜37kHz(−6dB)と、サイズ以上のパワーとレンジを誇る。大型ウェーブガイドでスウィート・スポットの拡大にも成功
大きなスピーカーを生かすにはDSPが不可欠
間もなく完成を迎えるArte Refactの新拠点、Studio Arteに8341Aを持ち込んだ今回の取材。桑原はDSP補正については、もともと賛成派だと語る。
「僕は、極力正確なモニタリングができる環境で音楽を聴いている方が、耳が養われると思っていて、ソフトウェア・ベースの測定&補正システムも使い、それを参考に部屋のチューニングをしたりしていました。Arte Refactのクリエイターも、その多くが小さな部屋でも大きなスピーカーを使っているのですが、調音パネルやDSP補正を活用していて、スピーカーの実力を生かすようにしているんです」
そんな桑原でも、GLMの簡単さとスピードには驚いた様子。1カ所での測定でも使えるGLMは、ステレオなら左右のスピーカー1度ずつの計測で、測定と補正が終わる。
「測定がこんなにシンプルで簡単だとは知りませんでした。これだったら、最低でも週に1度くらいは測定し直した方がいいですね。細かいことを言えば、機材を増やしたとか、時計を置いたとか、物が1つ増えただけでもモニター環境の特性は変わるはず。それでも“そんなに変わらないでしょ?”と思ってそのまま作業するのが普通です。でもこれだけ楽にできるなら、その都度測定し直した方がよさそうですね」


The Onesはまとまりの取れたバランスの良い音
無事セットアップが終わって試聴に。桑原は、2000年代から現在の洋楽と、Arte Refactが手掛けた作品を幾つか試聴していく。
「昔の1030シリーズは、低域が特徴的だと思っていました。The Onesは、お世話になっているスタジオでも聴いてきていて、それよりもまとまりの取れたバランスの良い音だと思います。2000年代のR&Bと現在のEDMとの低域量の違いもよく分かりますね」
実は測定結果に基づき、GMLはLchのみわずか0.1dB下げる調整を自動で行っていた。桑原は補正のオン/オフをしながら、気が付いたことがあったという。
「結果を見たときは“0.1dBか”と思ったのですが、補正を外すとキックの定位がわずかに左に寄るんです。これは補正の効果がよく分かりましたね。GMLでの補正はマイナス方向のEQのみだと聞きましたが、なぜか補正が入ると音量が増えたように感じられるのも不思議でした。無駄な鳴りが減り、解像度が上がったからなんでしょうかね」

現在スタジオのスタートに向けて最終調整中という桑原。機材がそろうたびにGMLで調整を施しながら、これから約1カ月、8341Aに向き合ってもらう。その結果は次回に。
桑原聖
![]() | 音楽制作チームArte Refactを率いるプロデューサー/作編曲家/ベーシスト。同人活動からプロへ転身。あんさんぶるスターズの音楽プロデュースを手掛けるほか、THE IDOLM@STER、プリパラ、ラブライブ!などのゲーム/アニメ/舞台への楽曲提供と編曲を行ってきた |
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