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カニエ・ウエスト『Donda』、ドレイク『Certified Lover Boy』 〜D.O.I.'s ディスク・レビュー

 第一線で活躍するエンジニアに毎月お薦めの新作を語ってもらう本コーナー。D.O.I.氏の今月のセレクトは、カニエ・ウエスト『Donda』、ドレイク『Certified Lover Boy』です。

全く予想できない斬新な作品

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カニエ・ウエスト『Donda』(ユニバーサル)

 9月になってカニエ・ウェストドレイクのアルバムが世界中で話題となりました。両者ベテランながら、この入れ替わりの激しい音楽シーンで常に先頭に居続ける稀有な存在。恐らくこの2枚は2021年を代表するアルバムになると思われます。ただ、2人の作ったアルバムにはかなり好対照な印象を持ちました。

 まずカニエの『Donda』は彼のキャラクター通り、3度のリリース・パーティを行ってもいつリリースされるのか分からないといった天才気質丸出しのもの。内容もファンの予想をはるかに上回るぶっ飛んだものでした。サウンドは本当に最小限の音構成で、空間的な遊びをさまざまな処理で施し、構成や展開も全く予想できない斬新さ。とにかく聴き手に集中力を求めるものでした。最初に通して聴いたときはあまりのクリエイティブの高さにぐったりしてぼう然としました。

時代感覚を取り入れたビート

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ドレイク『Certified Lover Boy』(ユニバーサル)

 そういったカニエの良い意味で突き放した方向性に対してドレイクの『Certified Lover Boy』は“まさに今聴きたい感じはこういうものだなぁ”といった時代感覚をバッチリ切り取ったもの。ビートはとにかく今のヒットを考えたらこういうのだなといった感じですし、歌自体も“もはやどれがドレイクのスタイルなのか分からない”くらいラップ・モードとR&Bモードをうまく使い分け、硬軟取り混ぜたバリエーション。正直このアルバムは構えずに聴ける感じもあって、ついつい何かをしながらとかでも聴いてしまいます。

 

D.O.I.

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【Profile】Daimonion Recordingsを拠点に活動するエンジニア。ヒップホップを中心としながらも、さまざまなプロダクションに参加している