モニタースピーカー 選び方のポイント&おすすめ製品カタログ

モニタースピーカー 選び方のポイント&おすすめ製品カタログ

モニタースピーカーは、音を脚色せずに再生する音楽制作のためのスピーカーです。モニターヘッドホンやイヤホンだけでも制作はできますが、ヘッドホンやイヤホンだと音が頭の中で鳴っているように感じるのに対し、スピーカーは頭の外側で鳴っていることから、音の配置が分かりやすくなるなど、聴こえ方が異なります。どちらも持っておくとよりよいでしょう。ここでは、モニタースピーカーの選び方のポイントと、おすすめ製品を紹介します。

◎『モニタースピーカー特集』をサンレコにて公開中!

 こんな方は要チェック! 

✓ ミックスしたい
✓ 音の広がりを感じたい
✓ 音の配置に気を付けたい
✓ 開放的な気分で制作したい

モニタースピーカー選び方のポイント

1. 内蔵アンプの有無で選ぶ

 スピーカーの動力部分は、“アクティブ”と“パッシブ”に分類できます。アクティブスピーカーは、スピーカーを駆動させるためのアンプを内蔵しているので手軽に使用できます。スピーカーに対してアンプが専用に設計されているので、メーカーが意図した音でモニターできるという利点もあるでしょう。現在では、宅録から中規模スタジオまで、広く使われています。

 対してパッシブスピーカーはアンプを内蔵していないので、別途アンプを購入する必要があります。アンプとスピーカーの相性の良し悪しがある反面、大出力のスピーカーが多く、大規模なスタジオなどでの使用に向いています。

2. どれくらいの大きさがよい?

 一般的に知られているメーカーの製品であれば、どのサイズを選んでも宅録部屋(6畳くらい)での使用において、出力が足りないということはないと思います。ただし同じ出力でも、軽くて小さいスピーカーは筐体が共振しやすく、対策が必要な場合があります。共振により音のパワーが失われたり、音がゆがんだりする可能性があるからです。しかし、大きくて重いスピーカーはほどよい制振効果がある一方で、スペース的な問題や設置時の苦労があるでしょう。筆者は大きめで重めのスピーカーを選んで、小さめの音量で鳴らすことが多いですが、インシュレーターやスピーカースタンドを活用して共振対策をするのもよいと思います。

3. スピーカー構成と低域を補強する構造に注目

 DTM界隈で広く好まれているスピーカーの構成は、高域成分を担当するユニット=ツィーターと、中低域を担当するユニット=ウーファーが2軸で並んだ“2ウェイ”と呼ばれるものです。これらが1本の軸で重なる“同軸”や、一つのユニットで全帯域を鳴らす“フルレンジ”という種類もあります。同軸は定位が良いとされ、フルレンジは鳴りがナチュラルなので、特定の用途で好まれています。

 これとは別に、スピーカーの筐体に空いている穴を“バスレフ”と呼びます。口径の小さなウーファーは低域を再生しきれませんので、このバスレフが低域〜超低域を補強する役目を果たします。防音していない部屋などでは、必要以上に低域を出してしまうこともありますので、好みだけでなく、使う環境に応じて有り無しを選ぶとよいでしょう。

 

解説: SUI

SUI

「値段やスペック、評判より、自分の耳や環境に合うものを選ぶことが重要。入り口は友人の勧めや憧れでもよいですが、いろいろ試して自分に合うものに出会えたらいいですね」

【Profile】作曲、トラックメイクからボーカルのディレクション、ミックスダウン、マスタリングまで手掛ける作家/プロデューシングエンジニア。近年は劇伴やCM音楽にも活躍のフィールドを広げている。

 

※記載されている製品価格はすべて2023年12月13日時点の税込み価格です。

ADAM AUDIO A4V

ADAM AUDIO A4V

オープンプライス(市場予想価格/118,800円前後<ペア>)

コンパクトながら正確かつ密度のあるサウンドを提供するパワードモニター

 A4Vは、ドイツでハンドメイドされたX-ARTツィーターと、4インチウーファーからなる、2ウェイのパワードモニター。ホームスタジオや小さなスタジオスペース、短いリスニング距離、イマーシブオーディオのマルチスピーカー構成向けに設計されたコンパクトモデルだ。

 ウーファーは、ミネラルストーン繊維を6層に重ねて焼き固めたコーンを使用。軽量でありながら高い安定性を持ち、部分的な共振など音のひずみにつながる要因を可能な限り排除している。さらに、高精度なX-ARTツィーターとHPSウェーブガイドの組み合わせにより、短距離/長距離リスニングの両方で優れた高音域の拡散性を実現している。天井や壁への取り付けも考慮して設計されたエンクロージャーのデザインも、優れたオーディオ性能に貢献している。音の回折現象を最小限に抑えるための深い面取りと、エンクロージャー内の振動を抑えるための厚いバッフルが特徴だ。

 また、ルームアダプテーションEQをはじめ、Sonarworksとのコラボレーションによる音響補正機能の統合など、リスニング環境に対応するためのソリューションが提供されており、これらの技術を組み合わせることで、ルームアコースティックの調整に大きな予算をかけずにリスニング体験を向上させられるのもうれしい。

ADAM AUDIO T5V

ADAM AUDIO T5V

オープンプライス(市場予想価格/44,000円前後<ペア>)

自宅スタジオや小規模コントロールルームに適したコンパクトサイズのパワードモニター

 T5Vは、ADAM AUDIOが手掛けるホームスタジオ向けのパワードモニター、Tシリーズの中で最もコンパクトなモデル。コストを抑えながらも上位機種の技術を盛り込み、優れた性能を発揮。制作からミキシングまで幅広い用途に使用できる。

 5インチウーファーは45Hzまでの低域再生能力を持ち、新開発のU-ARTツィーターは25kHzまでの高域が再生可能で、高解像度が求められるレコーディングやミキシング作業にも対応。U-ARTツィーターには、同社のフラッグシップSシリーズで使用されているものと同様のウェーブガイドが用いられ、高域における均一な放射特性を実現する。これにより広いスウィートスポットが得られ、限られたリスニングポジションに縛られることなく作業を行うことができる。また、フロントに面取りが施されたキャビネットにはリアファイアリング型のバスレフポートが付いており、そのコンパクトなサイズによって、スペースの限られた場所でも使用することが可能となる。

 クロスオーバーとイコライジングは内蔵されたDSPによって制御。入力部にはRCAピンとXLRのアナログ接続が用意されている。ウーファー用の50WクラスDアンプとU-ARTツィーター用の20WクラスDアンプを搭載し、ペアで最大106dBのSPLを再生可能となっている。

IK Multimedia iLoud Micro Monitor

IK Multimedia iLoud Micro Monitor

60,500円(ペア)

 iLoud Micro Monitorは、90(W)×135(D)×180(H)mm、世界最小クラスのパワードモニター。3インチウーファーと3/4インチツィーターを備え、ポータブルなエンクロージャーにもかかわらずクリアな音質で、50W RMSの高出力を実現している。DSPを内蔵しており、3つのEQスイッチでトーン調整も可能。デスクトップ設置時に机の上に置かれたさまざまな物による音の乱反射を補正するDESKTOPモードなどを備えている。Bluetooth接続も行える。バッグにも収まる大きさなので、持ち歩いて場所を問わずにモニタリング環境が作れる。

PreSonus Eris 3.5BT / Eris 4.5BT / Eris 5BT

PreSonus Eris 3.5BT / Eris 4.5BT / Eris 5BT

オープンプライス(市場予想価格/Eris 3.5BT:23,100円前後、Eris 4.5BT:33,000円前後、Eris 5BT:38,500円前後<※すべてペア>)

 PreSonusのパワードモニター、ErisシリーズのBluetooth対応モデル、3.5インチウーファーのEris 3.5BT、4.5インチウーファーのEris 4.5BT、5.25インチウーファーのEris 5BT。Erisシリーズのウーファーは高品位な素材と優れた特性による、タイトな低域とクリーンなサウンドが特徴だ。前モデルより向上したスピーカーボイシングによって、より豊かな低域とスムーズなクロスオーバートランジションが実現。1インチのシルクドームツィーターは洗練された高域をもたらす。サウンドがワイドパターンで放射されるためリスニングエリアも広い。

PreSonus Eris Studio 4 / Eris Studio 5 / Eris Studio 8

PreSonus Eris Studio 4 / Eris Studio 5 / Eris Studio 8

オープンプライス(市場予想価格/Eris Studio 4:20,900円前後、Eris Studio 5:27,500円前後、Eris Studio 8:35,200円前後<※すべて1本>)

 PreSonusのパワードモニター、Eris Studioシリーズ。豊かな低域とコントロールされた高域レスポンスで、あらゆるディテールをナチュラルなサウンドで再現。スムーズかつ正確な周波数レスポンス、120°のワイドな水平拡散を提供するEBMウェーブガイド、低域再現力に優れたフロントファイアリング型アコースティックポート、ヘッドルームの広いパワフルなアンプ、理想のサウンドを実現する音響調整機能を備える。4.5インチウーファーのEris Studio 4、5.25インチウーファーのEris Studio 5、8インチウーファーのEris Studio 8をラインナップ。

YAMAHA HS4 / HS3

YAMAHA HS4 / HS3

オープンプライス(市場予想価格/HS4:33,000円前後、HS3:27,500円前後<※ともにペア>)

スタジオモニターのスタンダードHSシリーズをコンパクトな筐体に再定義したモデル

 スタジオモニターのスタンダードとして、世界中のクリエイターから愛されているHSシリーズ。そのエッセンスをコンパクトな筐体に再定義したのがHS4/HS3だ。

 YAMAHAが培ってきたスタジオモニターの設計理念とノウハウを継承し、高性能なクラスDアンプ、高反発MDFキャビネット、小型ながらソースに忠実なサウンドを実現するウーファーとソフトドームツィーターなど、厳選されたパーツで構成している。また、バスレフポート両端で発生する空気の乱流ノイズを低減し、クリアで正確な低音をもたらすYAMAHA独自の“ツイステッドフレアポート”を採用することで、原音に色付けすることなく、全帯域にわたってフラットかつ高分解能なサウンドを実現している。

 リアパネルには、ROOM CONTROLとHIGH TRIM機能を搭載。さまざまな環境下においても理想的なサウンドへと調整することができる。XLR/TRSフォーン兼用のコンボ端子、RCA、ステレオミニ端子を装備しており、コンピューター、オーディオインターフェース、ミキサー、電子楽器など、幅広い機器と接続可能。

 HS4は4.5インチウーファー/1インチドームツイーター、HS3は3.5インチウーファー/0.75インチドームツイーターを採用。いずれのモデルもブラックとホワイトの2色が用意されている。

NiCSo BUREEN

NiCSo BUREEN

26,400円/6個

 BUREENは、スピーカーからデスクや床、スタンドなどに伝わる振動を抑えるためのインシュレーター。振動を絶縁することで、音の濁りの原因となるスピーカーへの反動を防ぎ、粒立ちのよい音の再生に寄与する。粘弾性の高いポリウレタンゲルを使用し、円錐形でストレスが常に中央へ集中するのが特徴だ。大きい方の径が350mm、小さい方の径が300mm、高さが200mm。1本のスピーカーを3個で支える。対応するスピーカーの質量は15kgから120kgまで。ロゴが正しく読める方向での使用が基本だが、逆向きにすることで音の変化を楽しめる。

TAOC Speaker Stand & Insulator

TAOC Speaker Stand & Insulator

MSTP-S09HB:88,000円、MSTP-S10HB:91,300円、MSTP-S11HB:93,500円、MSTP-W09HB:154,000円、MSTP-W10HB:159,500円、MSTP-W11HB:165,000円(※すべて2台1組)、MSIP-14GS8:13,200円(8個1組)、MSTP-D15HB:53,000、MSTP-D20HB:54,000円(※すべて2台1組)

不要な振動を減衰、モニタースピーカー本来のサウンドで楽曲制作ができるプロ専用アイテム

 自動車用鋳造部品メーカーであるアイシン高丘のオーディオブランド、TAOCが手掛けるハイグレードなスピーカースタンドとインシュレーターを紹介しよう。

 MSTP-Sシリーズは、プロの音楽制作スタジオやMAスタジオの要望を基に生まれたモニタースピーカースタンド。従来製品よりも制振性を高めた三重鉄板による天板を備え、底板も転倒を予防すべくクラス最大級のものを用いている。用途に応じて高さは900mm(MSTP-S09HB)、1,000mm(MSTP-S10HB)、1,100mm(MSTP-S11HB)の3種類が用意されている。

 MSTP-Wシリーズは、大型のモニタースピーカーにも対応できるワイド型スタンド。三重鉄板による天板に加えTAOC伝統の振動子と組み合わせて最高クラスの振動減衰効果を実現している。高さは900mm(MSTP-W09HB)、1,000mm(MSTP-W10HB)、1,100mm(MSTP-W11HB)の3種類がスタンバイ。

 MSIP-14GS8は、スピーカーと設置面の振動を切り離すためのインシュレーターだ。2個を重ねて使うこともできるので高さ調整にも役立つ。

 MSTP-Dシリーズは、ニアフィールドモニター用スタンド。プライベートスタジオでの使用を念頭に設計されている。高さは150mm(MSTP-D15HB)、200mm(MSTP-D20HB)の2種類が用意されている。

サンレコ・ビギナーズ|音楽制作に役立つ初心者ガイド

関連記事