【2022年版】AVID Pro Toolsを詳しく解説 〜tasukuがおすすめポイント&付属プラグインを紹介!

AVID Pro Toolsを詳しく解説 〜tasukuがおすすめポイント&付属プラグインを紹介!

高度なオーディオ/MIDI編集機能の搭載はもちろん、画面カラーのカスタマイズや外部コントローラーとの連携も強化

【製品概要】

 音楽スタジオの標準DAWとされているソフト。時間軸上にトラックが並ぶ“編集ウィンドウ”と、ハードウェア・ミキサーを模した“ミックスウィンドウ”を基本構成としています。編集ウィンドウでは、一つの画面上でオーディオやMIDIをそのデータの最小単位まで編集可能。ミックスウィンドウでは音声信号の柔軟なルーティングが行えます。

 また、Avid Cloud Collaboration機能を使えば、離れた場所にいる人とも1つのプロジェクト内で共同作業ができることや、作業環境や気分に合わせた画面カラーのカスタマイズ、NATIVE INSTRUMENTSのコントローラーKomplete Kontrolに対応したプロファイルが用意されていることもポイント。

 新規アップグレード権やUVI Falcon、1年間の無償Avid Complete Plugin Bundleなどが付属するPro Tools | Ultimate(年間:94,500円)のほか、下位版のPro Tools(年間:35,300円)などのサブスクリプション・プランが用意されています。まずは、誰でも使用できるPro Tools|First(無償)で試してみるとよいでしょう。

Pro Tools(永続ライセンス版)
Pro Tools(月間サブスクリプション版)
左から、Pro Tools(永続ライセンス版)、Pro Tools(月間サブスクリプション版)

【動作環境】
Mac:macOS 10.14.6、10.15.7、11.6、INTEL Core I5以上のプロセッサー
Windows:Windows 10以降、INTEL Core I5以上のプロセッサー
共通:16GBのRAM(32GB以上を推奨)、15GB以上のディスク空き容量(インストール時)、インターネット接続環境(インストール時)、64ビットのAAXプラグインに対応

tasukuが語るPro Toolsのココが好き!

tasukuが語るPro Toolsのココが好き!

【Profile】プロデューサー/作編曲家/ギタリストとして活動。prime sound studio formに所属。ポルノグラフィティ、SPYAIRのアレンジ&サポート・ギタリストのほか、Sexy Zone、浜崎あゆみなどのアレンジも行っている。

自宅で制作したセッションをスタジオでも使える高い汎用性と、ビギナーにも優しい操作性を持ち合わせています

 自分がPro Toolsを購入した理由は、“どのスタジオでも使われていて、自宅で制作したデータやセッション・ファイルをそのまま現場でやり取りできて便利だよ”と薦められたから。実際に、レコーディングやミックス時におけるエンジニアとのコミュニケーションがシームレスに行えるため、音楽制作を始める最初の段階から導入しておくのがよいです。汎用性の高さという点では、Pro Toolsはダントツと言えるでしょう。

 また“波形編集のしやすさ”という部分でも、Pro Toolsは優秀です。例えばフェード・イン/フェード・アウトにおいては、カーソルを使って好きなタイミングで、かつ好きな長さで、直感的に設定することができます。ぱっと見て分かりやすい操作感のため、ビギナーにとって直感的に扱いやすいDAWです。自分の周りの人たちも“波形編集はPro Toolsだよね”というくらい、ほかのものより操作しやすいでしょう。

 音の解像度が高いというのもPro Toolsの特徴の一つ。ボーカルやギターなど、生楽器のレコーディングが多い方には特にお勧めです。

 最新版のPro Tools 2021では、APPLEのM1プロセッサー搭載型Macにも対応し、コンピューターのキーボードを使ったMIDI入力も可能に。MIDIキーボードが無くてもすぐに曲作りが始められるのは、ビギナーにとって大きなメリットですね!

お気に入りポイント1:フォルダー・トラック

Pro Toolsのフォルダー・トラック

 Pro Tools/Pro Tools | Ultimateのフォルダー・トラックという機能。複数のトラックを1つのフォルダにまとめられます。フォルダー内トラックの表示/非表示を切り替えることで、画面全体の視認性が上がり、トラック全体の管理をしやすくすることができます。例えるならコンピューターで使っているフォルダーと同じようなイメージです。使用しているトラック数が多い場合や、一つのセッション上に複数の楽曲を立ち上げる場合などに有効でしょう。フォルダー・トラックに整理しておくことで、目的のトラックを瞬時に見つけやすくなります。

お気に入りポイント2:ノート選択/分割

Pro Toolsのノート選択/分割

 コードを打ち込んだMIDIトラックから、指定範囲のMIDIノートを選択したり、分割したりできる機能。リージョンを選択し、“メニュー・バー→イベント→イベント操作→ノート選択/分割”とクリックすると、専用ダイアログが現れるので、ここでさまざまな選択/分割設定が可能です。例えばコードの一番低い音だけ分割すると、簡単にベースのMIDIトラックが作れてしまいますし、一番高い音だけ分割したMIDIトラックでは、それをもとにリード・シンセのメロディが作れるでしょう

お気に入りポイント3:ダークテーマ・ビュー

Pro Toolsのダークテーマ・ビュー

Pro Toolsのダークテーマ・ビュー

 最初は慣れなかったのですが、一度慣れるともうダークテーマ・ビューから変えられません(笑)。見やすいのはもちろんですが、特にライブ・パフォーマンス時での運用にも効果があると思います

 これはどういうことかと言うと、ステージ照明が暗くなった場合、通常だとかなり明るく光ってしまうため、その周りが目立ってしまいます。しかし、ダークテーマ・ビューに設定しておけば、その心配はありません。ステージ上での演出に配慮した機能とも言えるでしょう。ライブをたくさんする人はぜひ!

Pro Toolsのおすすめ付属プラグインを紹介!

X-Form[タイム・ストレッチ/ピッチ・シフター]

Pro ToolsのX-Form

 オーディオ・サンプルのピッチや長さを自由に変更したいときに重宝するのが、X-Form。ほかのDAWソフトにも同じような機能がありますが、X-Formはほかと比べると音質劣化が少ないです。最近は、Webサイトからダウンロードしたオーディオ・サンプルを多用するクリエイターも増えてきました。X-Formは、楽曲のキーやテンポに合わせてオーディオ・サンプルを柔軟に変化させられるため、近年のクリエイターにとってはマストなプラグインでしょう

UVI Falcon 2[シンセ]

Pro ToolsのUVI Falcon 2

 自分はこれまで多くのソフト・シンセやソフト・サンプラーを使ってきましたが、中でも最も音質が良く操作性も分かりやすいと思うのが、ソフト・シンセ/サンプラーのUVI Falcon 2。音作りを視覚的に行えるのがポイントで、パラメーターについてあまり詳しくないというビギナーにもピッタリだと思います

 また、別売りの専用拡張サウンド・ライブラリーUVI Falconエクスパンションを追加すれば、派手なEDMシンセ・ベースから80'sテイストのシンセまで、ありとあらゆる音色が使えるのでお薦めです。

BBD Delay 1[ディレイ]

Pro ToolsのBBD Delay 1

 ELECTRO-HARMONIXのディレイ・ペダル、Deluxe Memory Manを土台として開発されたディレイ/コーラス・エフェクト。近年はやりのローファイ・ヒップホップで聴かれるような、味わい深いサウンドを演出する際や、細い音を太くしたいときなどに効果的でしょう。ギターやベースだけでなく、ピアノなどに用いると、一発で雰囲気のあるサウンドにすることができます。多彩なサウンド・メイキングが魅力のディレイです。

Mod Delay III[ディレイ]

Pro ToolsのMod Delay III

 シンプルなディレイはもちろん、ディレイ成分にローパス・フィルターをかけたり、ビブラートのような効果を施したりなど、複雑なディレイも作れるオールラウンド・プレイヤー。自分はボーカルのショート・ディレイにMod Delay IIIを使うことが多いのですが、前述の通り多くの機能を搭載しているので、あらゆるパートに対応できるでしょう。L/R個別に設定を変えられるのも良く、 CPU負荷が軽いというのもポイント。Mod Delay IIIでいろいろなディレイを作って遊んでみると、理解が深まると思います。

ReVibe II[リバーブ]

Pro ToolsのReVibe II

 アンビエンス(環境音)と自然な反響音を演出する強力なモデリング・リバーブ。自分はボーカルやコーラス周り、またはドラムのゲート・リバーブなどで使用しています。ReVibe IIは付属プラグインとは思えないほどの高いクオリティで、小音量でモニタリングしても“リバーブがかかっている”と分かるくらいの存在感があります。CPU負荷も軽いため、Pro Toolsでリバーブと言ったら“まずはReVibe II”と言っても過言では無いでしょう。

Black Spring[リバーブ]

Pro ToolsのBlack Spring

 通称“ブラックフェイス”と呼ばれる、黒パネルを採用したFENDERギター・アンプ。これに内蔵されたスプリング・リバーブ部分をモデリングしたのがBlack Springです。ダークさやローファイな質感が特徴で、ReVibe IIと引けを取らないくらいの存在感を持っています。強めにかけても音が崩壊することなく、簡単に“良い感じ”のサウンドを演出してくれるでしょう。ぜひ試していただきたいです。

AVID Pro Tools 製品情報

AVID Pro Tools

サンレコ・ビギナーズ|音楽制作に役立つ初心者ガイド

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