【動画】IK MULTIMEDIA UNO Synth PRO X 〜イタリア産アナログ・シンセの魅力と操作を解説

IK MULTIMEDIA UNO Synth PRO X 〜イタリア産アナログ・シンセの魅力と操作を動画で解説

イタリアの音響機器メーカーIK MULTIMEDIAによるアナログ・シンセサイザーのシリーズUNO Synthが革新的な進化を遂げ、UNO Synth PRO Xとなって登場した。注目ポイントは多々あるが、中でもコンパクトなデスクトップ・タイプの筐体はそのままに、23基のノブを備えることで直感的な操作性を獲得した点が話題となっている。そこで、本誌ではハードウェア・シンセ使いとして知られるYebisu303に、操作方法を解説する実演動画を依頼。その結果、完成したのが本稿でレポートする「IK MULTIMEDIA UNO Synth PRO Xレビュー 〜Yebisu303が実演〜」だ。

BASSLINEモードでアシッド・ベースを簡単実現

IK MULTIMEDIA UNO Synth PRO X

IK MULTIMEDIA UNO Synth PRO X|オープン・プライス(市場予想価格:85,800円前後)

 動画の紹介に入る前にUNO Synth PRO Xの概要を紹介しておこう。UNO Synthシリーズの3代目となる本機は、3基のオシレーターを備え、エンベロープ・ジェネレーターはフィルター&アンプ用の2基のほかに、アサイナブルな1基を追加。また、往年の名ベース・マシンにインスパイアされたBASSLINEモードを装備したことで、アシッドなサウンドをボタン1つで再現可能となった。さらに基本はモノフォニックでありながら、3和音での演奏が可能になるパラフォニック・モードを搭載。シマー・リバーブなど3系統のエフェクトも備えるなどトピック満載だ。そのほかオーディオ入力やCV/GATE入出力も用意されている。

 動画の冒頭では、こうしたUNO Synth PRO Xの基礎知識が語られた後、Yebisu303が特に注目する機能の解説が行われた。

 BASSLINEモード(1:33〜)

 Yebisu303は、最初にBASSLINEモードをピックアップ。通常のモードとBASSLINEモードで同じシーケンスを再生してフィルターのカットオフを操作し、その違いを明らかにしている。

 「BASSLINEモードではパラメーターの可変幅が制限されるので、カットオフ・ノブをどのように回しても事故を起こすことなく、音色変化を楽しむことができます。またエンベロープ・パラメーターの一部が、アクセントとアクセントのディケイに置き換わるなど機能が最適化されます。これらの相互作用により、往年のアシッド・ベース・マシンのサウンドと操作感を再現できるのです」

 ステップシーケンサー(4:25〜)

 次に取り上げられたのはステップシーケンサーだ。UNO Synth PRO Xには1オクターブのミニキーボードが搭載されていることに触れた後、このミニキーボードを使ってリアルタイムとステップのどちらの方法でも簡単にフレーズの入力が可能であることを実践してくれた。

 「コピー/ペースト/クリアを駆使してフレーズをエディットできるのはもちろん、アクセントでステップごとに強弱を付けたり、タイの入力、スウィング値の調整で、フレーズを変化させることも可能です」

 パラメーターのオートメーション(7:02〜)

 続けて、ステップシーケンサーでパラメーターもオートメーション可能であることに言及。UNO Synth PRO Xがオシレーター波形をノブでモーフィングできる特徴を利用して、三角波から矩形波へ変化させる例を実演してくれた。

 「この方法を使えば、1ステップごとに最大48パラメーターをオートメーションできます」

音作りのキモはモジュレーションにあり

 モジュレーションマトリクス(8:37〜)

 さらに、Yebisu303は「UNO Synth PRO Xには多くのパラメーターが専用ノブとして用意されているので、直感的に素早く音作りを行えます」と語り、「特にシンセサイザーで重要となる音作りの機能、モジュレーションマトリクスも専用ボタンとノブを使うことで、まるでモジュラー・シンセのパッチングのように素早く設定できます」と優れた操作性と音作りの自由度を高く評価。このモジュレーションマトリクスは最大16系統まで設定できるが、Yebisu303はLFOをソースに、カットオフやオシレーターのピッチをデスティネーションとして設定する方法を解説している。

 また、Yebisu303はUNO Synth PRO X付属のエディター・ソフト、UNO Synth PRO X Editorについても触れ、「これを使うとモジュレーションマトリクスの設定状況を俯瞰しながら、より素早く編集できます」とその利便性を強調。なお、このエディター・ソフトはモジュレーションマトリクス以外の音作りや音色管理に利用できる点も見逃せない。

 エフェクト(13:21〜)

 この後、Yebisu303は幾つかのシーケンスを再生しながら、モジュレーション系/ディレイ系/リバーブ系という同時使用可能な3系統のエフェクトやアナログ回路によるオーバードライブのサウンドを披露。

 「個人的にお勧めなのはシマー・リバーブです。原音に対してオクターブ上の残響を足せるので、アンビエントと相性の良い音色を作るのに役立ちます」

 パラフォニック(17:11〜)

 動画もいよいよ終盤。ここでYebisu303はパラフォニックについて、「パラフォニックとは、3基のオシレーターに異なるピッチを割り当てて和音を演奏することができるモードです」と説明した後、その設定方法からステップシーケンサーへの入力方法までを解説してくれた。この一連の操作も非常にわかりやすいので参考にしてほしい。


 UNO Synth PRO Xの魅力はこれだけにとどまらないが、まずは動画でそのポテンシャルの高さを実感していただければ幸いだ。では最後に、Yebisu303の言葉を紹介して本稿の結びとしよう。

 「多機能と使いやすいインターフェースを両立させ、その上、本物のアナログ・サウンドを楽しめるUNO Synth PRO X。ぜひ店頭などで、その実力を確かめてみてください」

 

Yebisu303

Yebisu303
【Profile】アシッドハウス、デトロイトテクノ、エレクトロ、ハードミニマルに強い感銘を受け、20代後半よりトラック制作を開始。無類のハードウェア機材愛好家でもあり、日々マシン・ライブや機材デモンストレーション動画制作を行っている。

IK MULTIMEDIA UNO Synth PRO X

IK MULTIMEDIA UNO Synth PRO X

IK MULTIMEDIA UNO Synth PRO X|オープン・プライス(市場予想価格:85,800円前後)

 3基のオシレーターと2基のフィルター、3基のエンベロープ・ジェネレーター、2基のLFOなどを備えたアナログ・シンセサイザー。モノフォニックを基本としながらも、3つのオシレーターに異なるピッチを割り当てるパラフォニック・モードで和音演奏も可能だ。最大16系統のモジュレーションマトリクスで自由度の高い音作りが行えるのも特徴。最大64ステップのシーケンサーやアルペジエイター、3系統同時使用可能なエフェクト、アナログ・オーバードライブなど、多彩なサウンド・メイクを楽しめる機能が豊富に用意されている。オーディオ入力や2系統のCV/GATE入出力も装備。

製品情報

関連記事