今までイヤホン本来のサウンドを、どれだけ聴けていなかったのかと実感しました
⾰新的なオーディオ製品を発表し続けているイヤホンブランドのAZLAが、ブランド初となるフォームタイプ・イヤーピースSednaEarfit Foamaxをリリースした。ハイクオリティなサウンドと遮音性を両立し、約30秒の復元時間という独自の性質を持つ本製品を、ドラマー/作編曲家として活躍する神谷洵平がレビュー。これまでさまざまなイヤーピースを試してきたという彼はどのような印象を受けたのだろうか。
Photo:Takashi Yashima
AZLA SednaEarfit Foamax
韓国に拠点を置くイヤホンブランドのAZLAが、これまでの技術を結集して開発した同ブランド初のフォームタイプ・イヤーピース。高い遮音性を確保するという独自の高密度フォームと、イヤホンのノズルに対して高い固定力を持つプレミアム・メディカルシリコンのハイブリッド構成を採用。一般的にフォームタイプは、遮音性とフィット感の代償として高域特性が落ち、低域が強調される傾向にあるが、SednaEarfit Foamaxは高域の減衰を抑えながら、独自の内部設計によって広いサウンドステージと鮮明さを目指して開発された。
SPECIFICATION
●イヤーピース形式:フォームタイプ ●サイズ:S/MS/M/ML/L ●価格:3,960円(M/ML/L、またはS/MS/Mの各サイズ1ペア)、2,970円(各1サイズ×2ペア) ●素材:PU+メディカルシリコン(医療⽤シリコン)
レンジが広くクリアかつフラットな音像
僕はこれまで、イヤモニ用としてイヤーピースを幾つか試してきました。ドラマーということもあり、動いても演奏中にズレないことを重視していたので、最近はイヤモニを使いはじめた当初よりも音質をあまり重視しなくなっているというのが正直なところだったんです。けれども、SednaEarfit Foamaxを装着してみて驚きました。本当に音が良かったです。ちょうどライブのリハーサルを行っていたのでほかの人にも試してもらったところ、皆さん“音がめちゃくちゃ良いね!”と、僕と同じ感想を言っていました。
音質的には、レンジがとても広くてクリアな印象です。より正確な演奏ができるんじゃないかと感じるくらい隅々まで見えます。今までイヤホン自体が持つ本来のサウンドを、どれだけ聴けていなかったんだろうと気づかされました。
自宅スタジオでドラムを録音するときも、イヤモニをしてドラムをたたいた後、デスクに移動してからはヘッドホンに付け替えていました。どうしてもイヤモニのままだと音的にDAWでの作業は難しかったんです。でもこの音質なら付け替えなくても問題ない。イヤーピース自体がどこかの帯域に特化しているわけではなくクリアでフラットな音像なので、お手持ちのイヤモニの特性を生かした録音やミックスチェックにも向いていると思います。
30秒かけて段々とフィットする安心感
サイズが5種類あるので、自分の耳に合うものをいろいろ試せるのは便利ですね。あとは30秒かけて形状が元に戻るというのはかなり珍しいなと。時間をかけて密着する方が、段々とフィットする様子が分かって安心できます。遮音性能は高く、クリアな音質のおかげで閉塞(へいそく)的な感じはなく演奏しやすいです。
あとは、ボーカリストの方にもいいと思います。イヤモニでの歌いづらさに悩んでいる人って結構多いんです。いわゆるコロガシだけでモニターしていた時代だと、マイクとの距離感による近接効果の増減とか、もう少し自然にコントロールできていたと思いますが、今はモロに耳で感じるため逆に意識が向きすぎてしまいます。これだけフラットでクリアな状態でモニターできるのであれば、あまり細かいことを気にせず歌えるのではないでしょうか。
今使っているイヤホンが、ローがモコモコしていて捉えづらいとか、ハイの伸びが分かりづらいという方に、イヤーピースを変えるという選択肢があることを知ってもらいたいです。今回SednaEarfit Foamaxを使用してみて、イヤーピースでこんなに音の臨場感や広さも変わるんだということを実感しました。“ぜひ一度試してほしい”と自信を持って言えるくらいステキな体験でしたね。これからも愛用します。
【神谷洵平】ドラマー/作編曲家/プロデューサー。東川亜希子とのユニット=赤い靴での活動や劇伴、CM音楽の制作も行う。aiko、ずっと真夜中でいいのに、大橋トリオ、コトリンゴ、あいみょん、矢野顕子のライブや作品にも参加。2020年、自身の初ソロアルバム『Jumpei Kamiya with...』をリリース。