AUSTRIAN AUDIOのOC18とOC16は、セラミックカプセルCKR6を採用した、単一指向性のラージダイアフラム・コンデンサーマイク。OC18は同社のフラッグシップOC818と同等のクオリティを有するモデルで、OC16はその半額ほどのリーズナブルなエントリーモデルとなっている。今回はこれらの2機種を、ソロプロジェクトTENDREとして活動する河原太朗がギター&ボーカル録音でテスト。各機種の特徴やサウンドの魅力について話してもらおう。
撮影:小原啓樹
コアの部分をしっかり捉えた上で、高域と低域が良いバランスで補い合って広い音域を録れます
ローカットスイッチで中低域の量感をコントロール
第一印象として、OC18やOC16の平たいデザインは、音を広く捉えてくれそうな身を委ねやすい安心感があり、かっこ良さを感じました。個人的にギターブームが来ていたタイミングだったので、今回はOC18とOC16を使ってガットギターで同じフレーズを弾いて録り比べました。キャラクターとしては、OC18とOC16のどちらも似た方向性で、中域が気持ちよくナチュラルに録れる印象です。
ガットギターでは、弾き語りの場合には胴鳴りを捉えたいですが、オケの中で上モノとして扱う際には、中低域が膨らみすぎると干渉してしまいます。そういった場合にも、OC18とOC16にはローカットスイッチが付いているので、録りたい音を定めやすいと思いました。今回は重ね録りで試し、オケとなじみやすいように160Hzのローカットを入れました。OC18にはPADも付いていて、管楽器などの大きい音が鳴る楽器でも音量感が調整しやすそうですね。外のスタジオなどに持ち込んでぜひ試してみたいです。
OC16は身の詰まった音で、芯の部分を気持ちよく捉えていろいろな楽器に対応しやすい柔軟性があると感じました。宅録で使うにも手に取りやすい価格帯ですし、コンパクトな空間で使うにもちょうどよいサイズ感だと思います。OC18は、高域の成分までより鮮明に録り切ってくれました。
発声時のアタックの強さやブレス成分まで捉えられる
僕は自分の作品では声を中心に作ることが多いので、マイク選びでは声の太さや芯を捉えてくれるかどうかを重視します。ボーカル録りを試してみたところ、OC16は僕のローミッド寄りの声を捉えるときの相性が良かったです。低域が膨らみすぎず、高域の成分も奇麗に録れました。コアの部分をしっかり捉えた上で、高域と低域が良いバランスで補い合って広い音域を録れる印象です。OC18は、発声する瞬間のアタックの強さやブレス成分までうまく捉えられたので、高域を意識した声や楽器の成分を録りたいときにお薦めしたいですね。曲によってどこまで必要とするかは違うため、優劣ということではなく、使用環境に合う機種を手にするのが良いと思います。ほかの方の声でも聴いてみたいです。コーラス隊で使った場合の音の拾い方も興味がありますね。
僕はマイクに対して、最初の感覚をどれだけ大事に録っておけるかも重視しています。日によって自分の作りたい音楽は変わりますが、いつでも安心して使えるAUSTRIAN AUDIOはすごく自分のキャラクターに合っていると思いました。