AUSTRIAN AUDIO OC707WL1とOD505WL1は、SHURE、SONY、Lectrosonicsのワイヤレスシステムに対応するカプセルだ。それぞれAUSTRIAN AUDIOのハンドヘルドマイクOC707、OD505と同様の構造となっており、コンデンサータイプで単一指向性のOC707WL1にはOCC7カプセル、ダイナミックアクティブで超指向性のOD505WL1にはODC50カプセルが採用されている。今回はLSDエンジニアリングで代表を務めるPAエンジニアの遠藤幸仁が登場。2機種をテストした所感を尋ねた。
撮影：小原啓樹
ハンドリングノイズが全然なく、すごく静かで驚きました。選択肢が限られるワイヤレスカプセルの“新たなチョイス“です
【Biography】PAやライブレコーディングを行い、レコーディングスタジオも持つLSDエンジニアリングの代表。ELEKIBASS、ホフディラン、GOMA&JUNGLE RHYTHM SECTIONなどのライブオペレートを手掛けている。
OC707WL1は近接効果が少なく低域がすっきりする
今回は、トークとDJを行うイベントのサウンドチェックで使用し、OC707WL1とOD505WL1をそれぞれSHUREのワイヤレスシステムと組み合わせてテストしました。
サウンドの特徴としては、OC707WL1とOD505WL1はどちらも近接効果が少なく感じました。OC707WL1はより低域がすっきりして高域が自然に伸びる印象で、どちらかというと少し静かめな音楽などに向きそうです。OD505WL1は中高域が少し強調されるので、ガッツがあるボーカルに向いていると思います。
ルックスも特徴的で、カプセル下の空洞部分から見える赤色はインパクトがありますね。この空洞部分のおかげで、特にOC707WL1ではハンドリングノイズが全然なく、すごく静かで“どうなってるんだろう”と驚きました。画期的ですね。マイクスタンドの着脱時に気にならなくていいと思います。
海外ツアーでカプセルだけ持ち回るメリットは大きい
ワイヤレスマイクは“ステージ上で動き回りたい”など、演出上の必然性があって運用されるので、音が好みでないからといってワイヤードに変更することは基本的にできません。ワイヤレスのカプセルに対応しているブランドが限られる中で、ボーカリストによっておいしいポイントは違うので、チョイスが増えるのはすごくいいことです。しかも所有しているワイヤレスシステムのブランドの枠を超えてカプセルを選べるというのはありがたいですね。ワイヤレスマイクだとカプセルと送受信機の組み合わせによって音が変わるので、試行錯誤していくうちに送受信機の特徴を生かしたマッチングに気付いたり、“この人に合いそう”といったひらめきが生まれるかもしれません。
特に海外ツアーをするアーティストにとって、カプセル単体で持ち回れるメリットは大きいと思います。国によって電波法が違うので、海外公演では電波の管理を現地にお願いするケースがあるんです。その場合はカプセルだけ持ち回ることもありますし、逆に海外アーティストが純正以外のカプセルを指定したり、カプセルを持ち込む場合もあります。
SHURE、SONY、Lectrosonicsのボディを持っている場合、選択肢として“こういうキャラクターはどうですか？”と提案することもできそうです。担当するアーティストがハンドヘルドのOD505やOC707を気に入っていて、ワイヤレスで使いたいという場合はぜひ薦めたいですね。
