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「SOLID STATE LOGIC SSL 2/SSL 2+」製品レビュー:SSL SL4000シリーズのキャラクターを付与できるオーディオI/O

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 レコーディング・スタジオ御用達の大型コンソールで有名なSOLID STATE LOGIC(SSL)。早くからデジタルに取り組んできたSSLの製品は、アナログとデジタルを高次元で融合させたものが多い。そんな同社からMac/Windows対応のオーディオI/Oで、2イン/2アウトのSSL 2と2イン/4アウトのSSL 2+がリリースされた。低価格帯で発売された2機種の実力に迫ってみよう。

 

ゲイン・レンジ62dBのマイクプリと
アナログ・エンハンス・エフェクトを装備

 SSL 2とSSL 2+のサイズは、共に234(W)×70(H)×157(D)mm。重量はSSL 2が880g、SSL 2+は900gだ。“極めてコンパクト”とは言いがたいが、気軽に持ち運べるだろう。

 

 入出力系はリア・パネルに集約されている。SSL 2とSSL 2+の入力端子は2つあって、マイク/ライン・イン用にXLR/TRSフォーン・コンボを採用。ゲイン・レンジが62dBという仕様のマイクプリを2系統装備している。SSL 2+の出力端子は4つあって、メインとなるチャンネル1&2のライン・アウトとしてバランス用TRSフォーンL/Rとアンバランス用RCAピンL/Rを用意。ch1&2のアウトはモニター・スピーカーへの接続を想定しており、出力レベルはトップ・パネルのMONITOR LEVELノブで調整する。ch3&4のライン・アウトとしてRCAピンL/Rのみが用意され、ボリュームはかんでいない。ヘッドフォン・アウトはAとBの2系統でそれぞれボリューム・ノブが用意され、Bのみch3&4へソースの切り替えが可能だ。またMIDI IN、OUT端子も設けており、USB Type-C端子はコンピューター接続とバス・パワーによる電源供給を賄っている。一方で、SSL 2はアウトがch1&2(TRSフォーン)のみで、ヘッドフォン・アウトは1系統。MIDIインターフェース機能も無しだ。

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SSL 2のリア・パネル。USB Type-C端子、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)、ライン・アウトL/R(TRSフォーン)が用意され、マイク/ライン・イン(XLR/TRSフォーン・コンボ)×2が備わっている

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SSL 2+のリア・パネル。USB Type-C 端子、ヘッドフォン・アウト(ステレオ・フォーン)×2、ライン・アウト(ch1~4のRCAピンとch1&2のTRSフォーン)、マイク/ライン・イン(XLR/TRSフォーン・コンボ)×2を用意

 次はトップ・パネルに移り、操作系を紹介していこう。2列の入力セクションは、上から48Vファンタム電源ボタン、マイク/ライン・インの入力レベルをラインに切り替えるためのLINEスイッチ、ギターやベースなどの接続時にインピーダンスを補正するためのHI-Zスイッチが並ぶ。その下には入力レベルを表示するLEDメーター、GAINノブなど、マイクプリとしてベーシックな装備だ。そして最下部には“4K”という、SSL製コンソールSL4000シリーズのキャラクターを付加できるアナログ・エンハンス・エフェクトも装備している。

 

 続いてモニター系を見ていこう。MONITOR LEVELノブは大型で認識性に優れている。MONITOR MIXノブでは、本機のインプットとコンピューター・アウトのリスニング・バランスを無段階で調整可能。インプットにノブを回し切れば低レイテンシーで入力をモニタリングすることもできる。その横のSTEREOスイッチは、ch1に接続された音をLから、ch2の音をRから同時に確認できるもの。キーボードをステレオ・インプットした際のモニタリングに役立つだろう。その下にはヘッドフォン用ボリューム・ノブが並ぶ。各種ボリューム・ノブは既存のSSL製品で使われているものと同じALPS製で、その精度の確かさはお墨付きだ。

 

300〜500Hzが整理されていて
音像が見えやすいスッキリとしたサウンド

 ではそのサウンドを確認してみよう。モバイル使用を想定して筆者所有のAPPLE MacBook Pro(Late 2013)というそこそこ古めのコンピューターで検証してみる。決してハイスペックとは言えないMacにUSB 2.0接続&バス・パワーという条件ながら、私が別システムでミックスしたセッションもしっかり再生できた。動作はかなり安定していると思う。

 

 音色の第一印象は“スッキリ”だ。300〜500Hz辺りのダンゴになりがちな帯域が整理されており、下から上まで嫌味なピークが無いので、周波数レンジが広く感じられる。音塊感やプッシュ感はそれほど強くないので、若干おとなしく感じるかもしれないが、細かい音像は見えやすい。ヘッドフォン・アウトも、同様の音色傾向であった。

 

 次にAKG C414 XLIIをマイクプリに接続し、アコギと男性ボーカルでチェックしてみる。こちらもダブつきが少なく、出音は素直な印象だ。SSL XLogic Alpha Channelを試聴したときの印象に近い。くだんの4Kスイッチを入れると、5kHz以上がエンハンスされて、より輪郭のハッキリした音像になった。それに伴いレベルも若干上がった印象になるので、押しの強さも得られる。SL4000シリーズそのものの音色と言うには中域の太さが及ばないが、スイッチ一つで簡単に2種類の音が得られるのはありがたい機能であろう。各種ケーブルを接続した状態の安定感や操作感も抜群だった。

 

 SSL 2とSSL 2+にはSSL Native Plug-ins2種をはじめ、各種DAWソフトもバンドルされている。これからDAWを使い始めようとする方にも、持出し用オーディオI/Oが欲しい方にとっても、コスト・パフォーマンスに優れた製品に仕上がっていると感じた。

 

問合せ:ソリッド・ステート・ロジック・ジャパン

製品ページ:https://solid-state-logic.co.jp/ssl2/

 

 

SOLID STATE LOGIC  SSL 2

26,000円

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▪入力インピーダンス:1.2kΩ(マイク)、10kΩ(ライン)、1MΩ(インスト)▪出力インピーダンス:40Ω(バランス)、20Ω(アンバランス)▪ビット&サンプリング・レート:最高24ビット/192kHz▪外形寸法:234(W)×70(H)×157(D)mm▪重量:880g(SSL 2)、900g(SSL 2+)【REQUIREMENTS】▪Mac:OS X 10.11以上▪Windows:Windows 8.1、Windows 10。SSL提供のUSBオーディオ(ASIO/WDM)ドライバーで動作

 

SOLID STATE LOGIC  SSL 2+

32,250円

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▪入力インピーダンス:1.2kΩ(マイク)、10kΩ(ライン)、1MΩ(インスト)▪出力インピーダンス:40Ω(バランス)、20Ω(アンバランス)▪ビット&サンプリング・レート:最高24ビット/192kHz▪外形寸法:234(W)×70(H)×157(D)mm▪重量:880g(SSL 2)、900g(SSL 2+)【REQUIREMENTS】▪Mac:OS X 10.11以上▪Windows:Windows 8.1、Windows 10。SSL提供のUSBオーディオ(ASIO/WDM)ドライバーで動作