【お知らせ】6月20日の申込/更新分より、サンレコWebのサブスクリプション価格を改定いたします。詳細はこちらをご覧ください。また、6月17日までWeb+印刷版(年間)を約30%オフでご提供しています。

動画つきで解説!Studio One付属プラグインの簡単&効果的テク|解説:宮野弦士

動画つきで解説 付属プラグインの簡単&効果的テク|解説:宮野弦士

 引き続き連載を担当させていただきます、作編曲家/マルチインストゥルメンタリストの宮野弦士(みやの・げんと)と申します。今回は主に、前回紹介し切れなかった純正(標準搭載)プラグインについて掘り下げつつ、音作りに使えるTipsを紹介していきます。また、実際に音を聴いていただけるようYouTube動画もご用意。どれも手軽に試せるテクニックなので、ぜひお楽しみください!

シンセパッドに動きを与える方法 AutofilterやX-Tremでいとも簡単に!

 シンセパッドの音色は、お手持ちのシンセのプリセットを使ったり、フィルターやエンベロープジェネレーターなどで作り込んだりすることが多いと思いますが、Studio One純正のエフェクトを活用すれば手軽に雰囲気を出せます。一例として、純正シンセのMai Taiに未加工のノコギリ波を読み込んでコードを鳴らし、Autofilterをかけてみましょう。

Autofilterはモジュレーション機能を搭載するマルチモードフィルター。内蔵のLFOやエンベロープジェネレーターでカットオフやレゾナンスをモジュレートでき、ソングのテンポに合わせた効果も生み出せる。画面左のFilter Type部では、縦スライダーを使用して2種類のフィルターをブレンド可能。Professional版とArtist版に付属する

Autofilterはモジュレーション機能を搭載するマルチモードフィルター。内蔵のLFOやエンベロープジェネレーターでカットオフやレゾナンスをモジュレートでき、ソングのテンポに合わせた効果も生み出せる。画面左のFilter Type部では、縦スライダーを使用して2種類のフィルターをブレンド可能。Professional版とArtist版に付属する

 Autofilterは、フィルターの開閉をソングのテンポに同期させ、音色の時間的変化を生み出すエフェクト。2小節ごとに少しずつ開いたり閉じたり……といった動きを、カットオフのオートメーションやシンセ内のLFOを使うよりも、はるかに簡単に作れます。また、フィルターのタイプが豊富で、ローパスとバンドパスをブレンドして使うような合わせ技も可能です。

 次にX-Tremというエフェクト。同じくテンポに同期して、音量や定位に時間的な変化を加えることができます。トレモロのような“音量の揺らぎ”を与えるのに使っても構いませんが、試しにLFOの波形をノコギリ波に設定してみると、サイドチェインコンプ風のダッキング効果が得られます。

モジュレーション系エフェクトのX-Trem。Trem(トレモロ)モードでは内蔵LFOで入力音の音量をモジュレートでき、Panモードはパンをモジュレート可能。筆者は前者を4分音符のタイミングで使い、サイドチェインコンプ的な効果を得ることがある。Professional版とArtist版に付属

モジュレーション系エフェクトのX-Trem。Trem(トレモロ)モードでは内蔵LFOで入力音の音量をモジュレートでき、Panモードはパンをモジュレート可能。筆者は前者を4分音符のタイミングで使い、サイドチェインコンプ的な効果を得ることがある。Professional版とArtist版に付属

 さらに、お好みで隠し味程度にBitcrusherをかけても面白いかと思います。

Professional版とArtist版に付属するひずみ系のエフェクト、Bitcrusher。ナチュラルでウォームなひずみから過激なデジタルディストーションまで、さまざまな音色が得られる

Professional版とArtist版に付属するひずみ系のエフェクト、Bitcrusher。ナチュラルでウォームなひずみから過激なデジタルディストーションまで、さまざまな音色が得られる

 この画面内で選択しているプリセットはDigital Overdoseで、ビットクラッシュ効果により高域にノイズのようなキャラクターが付加され、先述のフィルターで曇った部分を少しカバーできます。Mixノブが100%ではノイジー過ぎると感じた場合は、ちょうど良いと思うところまで下げればOK。これで、エレクトロやハウスなどでも活用できる動きのあるパッドサウンドの完成です。なお、このままだとモノラルっぽく聴こえますが、X-Tremをもう1つ挿して左右に動かせば(Panモード)ステレオの旨味を生かせます。コーラスエフェクトをかけたり、シンセ側でステレオイメージを調整したりするのもよいでしょう。

Mai TaiにAutofilter、X-Trem(Tremモード)、Bitcrusher、X-Trem(Panモード)を順にかけていく様子が視聴できる。音色変化を聴いて、音作りの参考にしてほしい

“少しのアイディア”でも音の印象は変わる まずはPRESENCE XTのSample shiftから

 前回、詳しく解説したマルチ音源PRESENCE XTには、まだまださまざまな機能があります。今回はピアノ音色を加工してみましょう。まずはPianoカテゴリーから、Acoustic Piano – Hardというプリセットを読み込みます。ここでのポイントは、画面左側にあるSample shiftノブ。ピッチを変えずに波形のフォルマントのみを変化させるパラメーターです。例えば“5”に設定してみると……それだけで、だいぶピアノの音色が変化するのが分かると思います。

Studio Oneの全グレードに付属するマルチ音源、PRESENCE XT。Sample shiftノブ(黄枠)が地味ながら面白い存在で、音のフォルマントを変えることができる。なかなかに大胆な音色変化が楽しめるので、使ったことのない人は試してみよう

Studio Oneの全グレードに付属するマルチ音源、PRESENCE XT。Sample shiftノブ(黄枠)が地味ながら面白い存在で、音のフォルマントを変えることができる。なかなかに大胆な音色変化が楽しめるので、使ったことのない人は試してみよう

 ただ、このままではリリースが急に切れるような気がしたので、少し伸ばしてみましょう。今回は500msほどにします。そして、スローアタックのコンプがかかったような雰囲気は、フィルター部のPunchノブで調整。最後に、高域が明る過ぎるのをカットオフで少し丸めてみると……あら不思議。往年のYAMAHA CP-70のような、生ピアノとは少し違うアタック感のある音色に生まれ変わりました。このように、少しのアイディアだけでも既存の音色に違う印象を与えることができます。お好みで内蔵のコーラスをかけてもよいでしょう。

PRESENCE XTのピアノ音色にSample shiftや内蔵コーラスをかけたサウンドが聴ける

 次はディストーションのRedlightDistについて。

RedlightDistは、全グレードに付属するビンテージ・アナログディストーション・エミュレーター。筆者は画面左下のLow Freq(ハイパスフィルター)、High Freq(ローパスフィルター)を活用し、ローファイな音を作ることがある。その下のType:部ではOPアンプやトランジスター、真空管などのひずみのエミュレーションを選択可能

RedlightDistは、全グレードに付属するビンテージ・アナログディストーション・エミュレーター。筆者は画面左下のLow Freq(ハイパスフィルター)、High Freq(ローパスフィルター)を活用し、ローファイな音を作ることがある。その下のType:部ではOPアンプやトランジスター、真空管などのひずみのエミュレーションを選択可能

 デフォルトでは激しいディストーションにはなっていません。そこで画面左下のLow Freq、High Freqのノブに注目。これらにより簡易的なフィルタープラグインとして活用できます。フィルター処理はEQでやってもよいのですが、ローファイな音を作りたい場合は、RedlightDistのフィルターのようにザックリした特性のもののほうが扱いやすい印象です。また通常のEQとは違って、少しドライブしたサウンドを作ることも可能。Type:の項目に真空管系、トランジスター系など幾つかの選択肢がありますので、質感を細かく調整できます。

ドラムにRedlightDistをかけている動画。かける前→かけた後が再生される

ドラッグ&ドロップで即、立ち上がる レイヤー用のプラグインMulti Instrument

 複数の音色を重ねたいときに便利なシェル系プラグインMulti Instrument。王道のピアノ+ストリングスのように、全く異なる楽器をレイヤーするのに使ってもよいのですが、今回は少し違った使い方です。まずはMai Taiを2つ起動し、2種類のベース音色を作ります。片方はドライブさせたモノラルっぽい太い矩形波。もう片方はオクターブ上の音を混ぜたノコギリ波で、ステレオ感を出すためにコーラスをかけています。それぞれの特徴を単一の音で実現しようとすると、ひずんだほうにはコーラスがかかってほしくないし、コーラスのほうはひずませたくない、となってしまいます。そこで皆さんも、2つのトラックを使ってレイヤーすることがあると思いますが、2台のシンセを2trで扱う場合、例えばMIDIデータをコピペするようなひと手間がかかってしまいます。

 というわけで、2台のMai Taiをまとめてみます。ミキサー左のキーボードマークをクリックしてソング内のインストゥルメントを表示させ、2台のMai Taiのうち、片方をもう片方にドラッグ&ドロップ。

ソング内の音源(インストゥルメント)を一覧できるラックにて、下段のほうのMai Taiを上段のMai Taiにドラッグ&ドロップしている様子(黄枠)。これによりMulti Instrumentが自動的に立ち上がり、2台のMai Taiを1つの音源として扱えるようになる

ソング内の音源(インストゥルメント)を一覧できるラックにて、下段のほうのMai Taiを上段のMai Taiにドラッグ&ドロップしている様子(黄枠)。これによりMulti Instrumentが自動的に立ち上がり、2台のMai Taiを1つの音源として扱えるようになる

 すると、自動的にMulti Instrumentが立ち上がり、両者の結合が表示されます。

Multi Instrument。画面は、2台のMai Taiのうち右のほうを選択しているところで、そのMai Taiのためのフェーダーやパン、エフェクトインサート/センドなどが表示されている。Multi Instrumentからは複数音源のレイヤー音が出力されるため、まとめてエフェクトをかけられるのもうれしい

Multi Instrument。画面は、2台のMai Taiのうち右のほうを選択しているところで、そのMai Taiのためのフェーダーやパン、エフェクトインサート/センドなどが表示されている。Multi Instrumentからは複数音源のレイヤー音が出力されるため、まとめてエフェクトをかけられるのもうれしい

2台のMai Taiの各音色を再生した後、︎Multi Instrumentにまとめて、レイヤー音を鳴らすところまでが見られる

 こうして、2つのシンセを1つのトラックとして扱えるようになったわけですが、Multi Instrumentの中では2つのシンセが存在しているので、フェーダーで個別に音量調整したり、それぞれのエディット画面にアクセスしたりすることが可能。また、Mai Taiのオシレーター構成は2オシレーター+2サブオシレーター+1ノイズなので、何台も立ち上げてレイヤーすれば、リリースの異なる複数のシンセブラスであったり、帯域別に異なるLFOがかかるパッドなど、より複雑で分厚いサウンドを作り上げることができます。

 2回にわたる連載、いかがでしたか? 執筆にあたって、普段何気なく使っている機能などをチェックし直し、まだまだアイディア次第で使いこなせる部分がたくさんあるぞ!と発見になり、楽しかったです。皆さんもStudio Oneを活用して発想を形にしてください。ありがとうございました!

 

宮野弦士

【Profile】1994年生まれの作編曲家/サウンドプロデューサー。ダンスミュージックを得意とし、強固なグルーブ+綿密な和声を生み出す。これまでにフィロソフィーのダンス、MORISAKI WIN、鞘師里保などへの楽曲提供/編曲を担当。キーボード全般を奏でるマルチ奏者としても知られ、フィロソフィーのダンス、MORISAKI WINらのツアーサポートを務める傍ら、ロックバンド“7セグメント”ではギター/キーボード/ソングライトをこなす。“宮野弦士”名義で、2023年に2nd EP『Behind The Nightscape』を発表。AOR、ドラムンベース、ハウス、ボサノバなどを昇華した独自の世界を提示する。

【Recent work】

『RECEPTION』
7セグメント

 

 

 

PreSonus Studio One

Studio One 6.5

LINE UP
Studio One 6 Professional日本語版:52,800円前後|Studio One 6 Professionalクロスグレード日本語版:39,600円前後|Studio One 6 Artist日本語版:13,200円前後
※いずれもダウンロード版
※オープン・プライス(記載は市場予想価格)

REQUIREMENTS
▪Mac:macOS 10.14以降(64ビット版)、intel Core i3プロセッサーもしくはApple Silicon(M1/M2/M3チップ)
▪Windows 10(64ビット版)、intel Core i3プロセッサーもしくはAMD A10プロセッサー以上
▪共通:4GB RAM(8GB以上推奨)、40GBのハードドライブ・スペース、インターネット接続(インストールとアクティベーションに必要)、1,366×768pix以上の解像度のディスプレイ(高DPIを推奨)、タッチ操作にはマルチタッチに対応したディスプレイが必要

製品情報

関連記事