DAWを軸とした現代の音楽制作において、もはや必要不可欠となったプラグイン・エフェクト。そのシーンにおいて、質量ともに大きな存在感を放っているブランドが、イスラエルに拠点を置くWAVESです。20年以上の歴史を持つ同社は、既に220種類を超えるプラグインをリリースしています。そんなWAVESが、今年3月下旬にサブスク型の新しい利用プランWaves Creative Accessを発表。これと同時に、AIによるプラグイン・チェイン・サーチ機能を搭載するミックス・アシスト・システム/オンライン・プラットフォームのWAVES StudioVerseをリリースしました。今回はこれらについて解説するとともに、国内で活躍するクリエイター5名の方にStudioVerseを試してもらい、その感想や使い方をレクチャーしていただきます。
WAVES StudioVerseとは?
ここではStudioVerseの概要や主要機能を紹介。既にStudioVerse上へオリジナル・チェインを公開している世界的エンジニアたちのコメントも掲載していますので、気になるチェインを見つけたら、早速StudioVerseで試してみましょう!
StudioVerseは、WAVESが発表したAIによるミックス・アシスト機能およびオンライン・プラットフォーム。数千種類にもおよぶプラグイン・チェインを格納するだけでなく、世界中のトップ・プロデューサー/エンジニア/クリエイターによって、日々オリジナル・チェインがStudioVerseコミュニティへ追加&共有されつづけています❶。
ユーザーはいつでもStudioVerseから好みのプラグイン・チェインをロードして自身のDAWで使用できるのはもちろん、AIによるプラグイン・チェインのサーチ&提案サービス=Scan機能を利用可能❷。この機能を含め、StudioVerseにアクセスするにはオリジナル・チャンネル・ストリップを作成できるプラグイン、WAVES StudioRack(無償)をDAWに立ち上げる必要があります。
StudioRackではプラグイン・チェインをロードするだけでなく、RACKセクション❸からそのチェインを構成する各プラグインへダイレクトにアクセス可能です。自分好みに調整したり、WAVESプラグインはもちろんサード・パーティ製プラグインをインサートすることもできます。またMACROセクション❹には最大8個のマクロ・ノブを搭載。ミックスに不慣れなユーザーでも個々のプラグイン画面を開くことなく、直感的な音作りを行えるでしょう。
Requirements - WAVES StudioRack
●Mac:macOS 10.15.7/11.6.5/12.3.1(INTEL Core I7/I9/Xeon-W、APPLE Apple Silicon) ●Windows:Windows 10 バージョン 21H2(64ビット)/11バージョン 21H2(INTEL Core I5/I7/I9/Xeon※Gen 5以降/AMD Quad-Core) ●共通項目:8GB以上のRAM(Macは16GB以上推奨)、16GB以上の空きディスク容量 ●対応フォーマット:AAX Native、AudioSuite、AU、VST、VST3、SoundGrid
トップ・エンジニアたちからのコメント
Chris Lord-Alge|クリス・ロード=アルジ
オリジナル・チェイン名:CLA STEREO VOCAL
より大きく、そして存在感のあるボーカル・トラックになります! ぜひマクロのCrowdノブを動かしてみてください。
Lu Diaz|ル・ディアズ
オリジナル・チェイン名:Beyonce Lead Vocal Chain
女性リード・ボーカルに最適なチェイン。生命力、輝き、ダブリング、ドリーミーなコーラスを加え、コンプでボーカルの良さを引き出します。
Neal H. Pogue|ニール・エイチ・ポーグ
オリジナル・チェイン名:NHP Stereo Bus “Must”
WAVES SSL G-Master Buss Compressor、Scheps 73、L2 Ultramaximizerを組み合わせたステレオ・バス・プリセットです。
Young Guru|ヤング・グル
オリジナル・チェイン名:Guru Vocal Chain - Vox Blueprint
ボーカルを最高に輝かせるために必要なものすべてをそろえました。歌に合わせてScale RootノブとScale Typeノブを調整してみてください。
Waves Creative Accessとは?
最後はStudioVerseと同時に発表されたWAVESの新プラン、Waves Crative Accessについて。そして、このプランと平行して継続される永続ライセンス・プランについても、あらためて整理しましょう。
Waves Creative Accessは、WAVESのサブスクリプション・プランであり、220種以上のWAVESプラグインを常に最新の状態で使用できるというものです。また、付属するミックス・アシスト・ツール/プラットフォームのStudioVerseを通じ、世界中のトップ・エンジニア/クリエイター、ユーザーとプリセット・チェインを共有することも可能となります。
このプランには、Waves Ultimate(220種以上の全プラグインを利用可能)とWaves Essential(110種の人気プラグインを利用可能)の2つのラインナップがあり、1カ月/3カ月/6カ月/1年までの使用期間に応じて選択可能です。
またWaves Creative Accessでは、プラグインのアップデートやテクニカル・サポートを無料で受けることができます。国内代理店であるMIオンラインストアから購入すると、日本語サポートや特別オンライン・セミナーの視聴などの特典を得ることが可能です。
もし、WAVES永続ライセンスを既に購入済みの場合はそのまま有効となり、OSやホスト・アプリケーションの対応状況に変更がなければ、永続ライセンスとして引き続き利用できます。なお、Waves Creative Accessライセンスと永続ライセンスは同一アカウント内で併用可能で、両方のライセンスがある場合にはWaves Creative Accessの最新バージョンが優先されます。
Waves Ultimate 〜220種以上の全プラグインを利用可能なプラン
- 価格:3,630円/1カ月(30日)
- 価格:10,890円/3カ月(90日)
- 価格:21,780円/6カ月(180日)
- 価格:36,300円/1年(365日)←2カ月分お得!
※MIオンラインストア価格
Waves Essential 〜110種類の人気プラグインを利用可能なプラン
- 価格:2,200円/1カ月(30日)
- 価格:6,600円/3カ月(90日)
- 価格:13,200円/6カ月(180日)
- 価格:22,000円/1年(365日)←2カ月分お得!
※MIオンラインストア価格
Waves Ultimate / Waves Essentialに含まれるプラグインはこちらでチェック!
永続ライセンスとWUP
Waves Creative Accessの発表と同時に永続ライセンスとWUP(Waves Update Plan)の販売終了が告知されましたが、3月29日に永続ライセンスを持つシングル/バンドル製品、およびWUPの販売再開がアナウンスされました。永続ライセンスは、購入/登録時のバージョンを無期限に使用可能なプラン。このプランでは、登録後1年間はメジャー・アップデートが無料で利用できますが、1年を超えてのメジャー・アップデートにはWUPの更新が必要となります。なお登録時のバージョンは無期限に使用可能です。
永続ライセンスおよびWUPでStudioVerseを使用する場合、V13以降のプラグインが対応可能。この際もWaves Creative Accessと同様、無償プラグインのStudioRackをインストールする必要があります。また、2台目のデバイスへのアクティベーションを可能にする“セカンドライセンス”については、製品登録後1年間またはWUPの適用期間のみ有効です。
もし、StudioVerseで選択したチェイン内にユーザーが所持していないプラグインが使用されていた場合、そのスロットは空となりチェインの効果を十分に発揮することができません。またWAVESプラグインのデモ版をインストールしている場合、音切れはありますが体験可能です。従って、StudioVerseの魅力を十分に享受するには、常に最新版のプラグインにアクセスできるWaves Creative Accessがお薦めだと言えるでしょう。