Q. 歌をオケになじませながらも前に出すには? 〜WAVES Scheps Omni Channelで解決!

 世界中のエンジニア/クリエイターが愛用するWAVESのプラグインは、具体的にどのような場面で力を発揮するのか? ミックスやサウンド・メイクで悩みがちなポイントにプロが答える形で、WAVESプラグインを用いたソリューションを紹介!

A. 声のモワっとした成分にも着目した処理を!

 使用するWAVESプラグイン:Scheps Omni Channel 

WAVES Scheps Omni Channel

Scheps Omni Channel|19,800円

 歌の音量のバラつきをならしつつ前に出したい、というときに重宝しているのが、チャンネル・ストリップのScheps Omni Channelです。ストリングスやブラスのバスにも使いますが、特に歌はこれだけで処理の多くを済ませています。どのパラメーターも効きが分かりやすいんですよ。

 

 すごく良いのがDS2というモジュール。ディエッサーが2つ入っていて、一方は通常のディエッサーとして“サ行”などの出っ張りを抑えるべく高域にかけるのですが、もう一方で低い帯域のモワっとした成分を抑制できるのが便利。後者が“前に押し出しつつオケになじませる”という音作りの肝になっていると思います。マルチバンド・コンプ的な使い方ではあるものの、設定すべき項目が周波数ポイントとスレッショルド、カーブの3つだけなので、よりシンプルです。

 

 COMPモジュールも効果的で、僕は自分のデフォルトとしてFETモードを使っています。UREI 1176などに通じる動作であり、ピークをきちんと抑えて前に出せるんです。各モードは個性がはっきりしていて、VCAを選ぶと前に張り付きながらもシャープな音に。OPTでは、ふくよかな音が得られます。“モードによる個性”と言えば、プリアンプを再現したPREモジュールも同様で、ODDとEVEN、HEAVYの3モードを切り替えるだけで倍音のキャラクターを切り替え可能。ODDはマイルドな感じ、EVENは明るめ、HE
AVYは分かりやすいひずみなので使い分けてみましょう。

 

 空きスロットには好きなWAVESプラグインを1つ入れられます。エンハンサーのVitaminなどを挿せば、よりハイパーに声を前へ出せるかもしれませんね。

 

照内紀雄

照内紀雄
【Profile】青葉台スタジオ所属のレコーディング/ミキシング・エンジニア。Vaundy、ザ・リーサルウェポンズ、大橋ちっぽけ、amazarashi、ヒプノシスマイク、Diosなど多くを手掛ける。サウナ・ブログ“Saunaで数えるOneからThousand”を主宰。フィンランド大使館公認サウナ・アンバサダーでもある。

【特集】WAVESプラグイン実戦メソッド

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