DJイベント編|セルフPA入門〜機材選び/設置/音出しのポイントがわかる

DJイベント編|セルフPA入門〜機材選び/設置/音出しのポイントがわかる

本特集では、ストリート、カフェ、DJ、学園祭の4つのシチュエーションでライブを行うために必要な機材や設置方法など、“セルフPA”のポイントを紹介。ここでは「DJイベント」を例に、尚美学園大学教授/PAエンジニアの山寺紀康氏が解説します。

DJイベントのシステム概要

30〜40人規模の仮設PA&DJ

30〜40人規模の仮設PA&DJ

 30〜40人規模のイベント会場で行う仮設のPAシステムを使ったDJを想定しています。オールインワン・タイプのDJプレーヤーから直接スピーカーとサブウーファーへ接続するミニマムな環境です。DJ自身がミキシングを行う=PAを行うと言えるため、DJ機材での音量調整と、PAスピーカーでの音量調整のコツをそれぞれ紹介していきます。

DJイベントのシステム概要

機材選びのポイント

DJプレーヤー/ミキサー

 DJシステムは、会場に持ち込みやすいプレーヤーとミキサーが一体型の機種を用意しました。マイクを使ったMCをしたい場合には、DJミキサー付属のマイク入力を使うか、別途ミキサーを用意します。

【写真の使用例】PIONEER DJ XDJ-RX3
◎再生するメディアに合うプレーヤーを用意
◎プレーヤー/ミキサー一体型は可搬性に優れる
◎MCありの場合、マイク入力の有無を確認

サブウーファー

 DJでは演奏者自身も盛り上がれる音を作ることが必要なため、定格出力が500W以上あるようなサブウーファーの導入が必須と言えます。また、モニター・スピーカーも用意できるとベストです。

【写真の使用例】WHARFEDALE PRO T-Sub-AX15B
◎30〜40人規模なら定格出力500W以上が目安

パワード・スピーカー

 レコード・プレーヤーを除くDJプレーのみであれば、ハウリングするデメリットもないため、指向性が広め(90〜100°くらい)のスピーカーを使って会場全体に聴こえるようにしましょう。会場が広い場合、出力に余裕があるスピーカーを選ぶか、設置台数を増やすと良いでしょう。

【写真の使用例】WHARFEDALE PRO Typhon-AX12-BT
◎指向性が広め(90〜100°くらい)だと全体に行きわたる
◎会場の規模に合わせて出力と台数を検討する

設置のポイント

設置のポイント

パワード・スピーカーとサブウーファーの接続

 接続は、DJミキサーからサブウーファー、サブウーファーのスルーアウトからパワード・スピーカーのインプットへ接続します。パワード・スピーカーとサブウーファーの連結に伸縮可能なポールを使うとスピーカーに高さを出せるので、会場全体に中高域を行きわたらせることができます。聴く人の耳の高さにスピーカーがあると耳が痛くなるので、配慮してセッティングしましょう。

パワード・スピーカーとサブウーファーの接続

環境に合わせたスピーカー配置

30〜40人規模の仮設PA&DJ

 上の写真のように、パワード・スピーカーをDJブースより後ろに置く(=スピーカーを背負う)ことで、DJ自身のモニター・スピーカーを兼ねることができます。さらに大きい規模で行う場合、スピーカーの台数を増やして四隅に置くことも視野に入れるとよいでしょう。

音出しのポイント

DJミキサーの音量は0dBが目安

 観客はもちろん、演奏者自身も盛り上がれる音を作ります。DJ自身に低音が聴こえなかったり、音量が小さいと物足りなく感じてしまいます。事前に曲を流しながら自分でフロアに出て、観客の聴こえ方を確認するのが大事です。音量の目安は、音がひずまない状態でDJミキサーのマスター・レベルが0dB近辺で振れる範囲で設定しましょう。LEDメーターが赤くならないようにします。それでも音が小さい場合は、パワード・スピーカーのボリュームを上げます。反対に耳に刺さる場合はパワード・スピーカーの音量を下げましょう。

DJミキサーの音量は0dBが目安

モニター専用の出力を使う

 別途モニター・スピーカーがある場合は、モニター用の信号をDJミキサーのブース・アウト(下写真右端“BOOTH”)から出力します。ブース・アウトはメイン・アウトとは別系統になっていて、独立したツマミで音量調整をできるようになっていることが多いので(上写真右上“BOOTH MONITOR”)モニター音量は自分で聴きやすいように調整しましょう。

モニター専用の出力を使う


【特集】セルフPA入門〜機材選び/設置/音出しのポイントがわかる

 

講師:山寺紀康

講師:山寺紀康
PAエンジニア。40年のキャリアを持ち、現在も新谷祥子、磯貝サイモン、井上苑子、武藤彩未などのPAを担当。ライブ・ハウスからアリーナまで多様な現場をこなしてきた。現在は、尚美学園大学情報表現学科で教授を務めている。

取材協力:尚美学園大学 音楽と音響を愛する仲間たち

取材協力:尚美学園大学 音楽と音響を愛する仲間たち

関連製品情報