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UVI Key Suite Acoustic|ピアノ音源14製品レビュー

親しみのある楽器でありながら千差万別。それがピアノの面白さであり、膨大な数のピアノ・ソフト音源が市販されている理由でもあるのでしょう。本企画では話題の14製品をピックアップして、作編曲家の牧戸太郎さんにレビューしていただきました。また、各製品の試聴音源では、牧戸さんにタイプの異なる3つのフレーズを制作していただいたので、好みに合うサウンドを探してみてください!

個性的なサウンドが光る20種以上の鍵盤楽器を収録

UVI Key Suite Acoustic|24,000円(199ドル)

UVI Key Suite Acoustic|24,000円(199ドル)

 グランド・ピアノ音源5種類、アップライト・ピアノ音源6種をはじめ、ハープシコードやチェレスタ、クラビコード、鍵盤グロッケンシュピールなど20種類以上のアコースティック鍵盤楽器を収録した製品。グランド・ピアノのサンプリング元はSTEINWAY Model DやYAMAHA C7など、アップライト・ピアノではSEILERや100年前のSTEINWAYなどをラインナップするが、本稿ではBLÜTHNER製アップライトをベースにしたTender Uprightにフォーカスする。

音色のエディット画面。左下にサステイン、リリース・サンプル、共振、ペダル・ノイズなどの音量ノブが並ぶ。その上にはフィルターやアンプ・エンベロープ、フィルター・エンベロープなどを用意

音色のエディット画面。左下にサステイン、リリース・サンプル、共振、ペダル・ノイズなどの音量ノブが並ぶ。その上にはフィルターやアンプ・エンベロープ、フィルター・エンベロープなどを用意

サウンドの印象

 薄いベールに包まれたような質感のサウンドで、非常に独特ですが、とても良い音だと思いました。最初に弾いてみて感じたのは、クオンタイズなしで使いたくなるということ。なぜなら、演奏者のリズムの揺らぎやヨレなどの通常はネガティブとされる要素が、すべて音楽的な情感、味わいとなって伝わってくるような音だからです。幅広い用途で使えるように作られたピアノ音源は、クリアな音色を基本としている場合がほとんどなので、意図しないリズムのズレがある場合は、やはりクオンタイズしたくなります。しかし、Tender Uprightはそうしたリズムの不完全さや音のムラも許容してくれる雰囲気を持っているのです。そういう意味ではこのピアノ音源でしか表現できない音楽があるように思います。例えば、年老いた人がたどたどしく弾く様子を表現したいと思ったとき、クリアなピアノではなかなか難しいでしょう。でもTender Uprightならできると思います。

演奏性

 演奏していて気持ち良いですね。きっちり弾くというよりは、感情の赴くままに弾きたくなります。

ジャンル感

 これはもう劇伴に最適です。また歌もののイントロなどで使っても効果的だと思います。

音作りの自由度

 UVI Workstation上で動作する製品で、レゾナンス付きのフィルターやフィルター/アンプ・エンベロープなどのシンセ的なパラメーターが用意されているほか、リバーブ、EQ、コーラスなどのモジュレーション系、そしてディレイといったエフェクトも用意されています。ペダル・ノイズ/リリース・サンプル/響板の共振の音量調整といったピアノ音源ならでのパラメーターも設定可能です。

 これらに加えて注目していただきたいのは、Mini Mic1/2というスイッチです。Stereo Micをオフにして、Mini Micだけをオンにすると周波数レンジの狭い音質になります。これはEQではなかなか作れないユニークなサウンドです。この音で演奏しているだけで、モノローグが聞こえてきそうな感じになります。

まとめ

 サウンド的には非常に個性的な部類に入ると思いますが、何の気なしに弾いたフレーズでも、それなりに絵になる、そういう世界観を持ったピアノ音源です。

製品情報

  • 価格:24,000円(199ドル)
  • 音源方式:サンプリング
  • 容量:13.01GB(FLAC圧縮、非圧縮WAV:55.54GB)
  • ベース・モデル:STEINWAY Model D/YAHAMA C7/ERARD Baby Grand/SEILER/BLÜTHNERなど
  • 対応フォーマット:AAX/AU/VST/VST3/スタンドアローン

REQUIREMENTS
●Mac:macOS 10.14〜13(64ビット) ●Windows:Windows 10〜11(64ビット) ●4GB RAM(8GB以上を強く推奨)、14GB以上の空きディスク容量(7,200回転のハード・ディスク/SSD推奨)、最新版のUVI WorkstationまたはFalcon、 インターネット接続環境(登録とダウンロード)、iLokアカウント

 

牧戸太郎

牧戸太郎
東京音楽大学作曲指揮専攻映画放送音楽コース卒業。その後、作編曲家として活動を開始し、竹内まりや、Hey!Say!Jump、King & Princeなどの編曲を手掛けるほか、映画『兄に愛されすぎて困ってます』、WOWOW『向こうの果て』、テレビ東京『先生のおとりよせ』、日本テレビ『ぴーすおぶけーき』、Hulu『社畜OLちえ丸日記』など多数のドラマ、映画の劇伴でも活躍している。

【特集】ピアノ音源14製品レビュー