UVI Augmented Piano|ピアノ音源14製品レビュー

話題のピアノ・ソフト音源14製品を作編曲家の牧戸太郎さんがレビュー。ここでは、UVI Augmented Pianoを紹介。1909年製のPLEYELによるグランド・ピアノをサンプリングしたビンテージ感あふれる音源です。

親しみのある楽器でありながら千差万別。それがピアノの面白さであり、膨大な数のピアノ・ソフト音源が市販されている理由でもあるのでしょう。本企画では話題の14製品をピックアップして、作編曲家の牧戸太郎さんにレビューしていただきました。また、各製品の試聴音源では、牧戸さんにタイプの異なる3つのフレーズを制作していただいたので、好みに合うサウンドを探してみてください!

1909年製ならではのビンテージ感あふれるプリペアド音源

UVI Augmented Piano|18,000円(149ドル)

UVI Augmented Piano|18,000円(149ドル)

 ピアノの弦にゴムやコインなどを挟むなどして音色を変化させるプリペアドの手法を採り入れつつ、フィルターやエンベロープ、エフェクトなどでピアノの枠を超えた音色を収録。24種類のプリパレーション(物を弦に挟んだりする行為)が行われており、弓やピックなどでの演奏も収録。サンプリング元は1909年製のPLEYELによるグランド・ピアノ。本稿ではあえてプリペアドではない素のピアノ音色にフォーカスする。 

エフェクト画面。サンプリング・リバーブ、ドライブ、EQ、コーラス、フェイザー、ディレイ、リバーブが用意されている

エフェクト画面。サンプリング・リバーブ、ドライブ、EQ、コーラス、フェイザー、ディレイ、リバーブが用意されている

サウンドの印象

 プリパレーションが行われていないプリセットの音色は、とても印象的でした。ウナ・コルダのペダルを踏んでいるかのような、あるいはフェルトが1枚挟まっているような感じが特徴的です。やはり1909年製のピアノということで、このようなビンテージ感のあるサウンドになっていると思われます。低域の響き方も独特で、ピアノのボディが鳴っている感じがしますね。現代のピアノでは出せない音ですし、ビンテージのピアノをレコーディングしたいと思っても機会は限られるので、それをピアノ音源という形で手軽に得られるのは素晴らしいと思います。高音のピッチに揺らぎ感があるのですが、これも経年変化の味わいでしょう。

 プリペアド音色にも触れておきましょう。シンプルに指やピックで演奏した音色から打楽器的なサウンド、弦をこすったような音まで多彩です。もはやピアノとは思えないくらいにエフェクトで加工されたプリセットもあります。

演奏性

 プリペアド音色が主体の製品なので、思いきりダイナミクスを付けて演奏するようなタイプではありませんが、強めに弾けば明るい音色にもなりますし、打楽器的なプリペアド音色ではリズミックな演奏も可能です。

ジャンル感

 プリパレーションされていないプリセットで、クラシックの楽曲を弾くと時代を超越したような感覚に陥ります。そういうクラシカルな音楽を求められる劇伴などで活躍してくれるでしょう。あるいはブルースやストライド奏法を使うラグタイムなどにも似合います。ぜひ「ジ・エンターテイナー」などを弾いてみてください。プリペアド音色も劇伴でさまざまに使えるでしょう。シンセで得るのは難しい、美しい音や怖い音などが収録されています。

音作りの自由度

 3種類のマイクをオン/オフしたり、音量バランスを変えて音作りを行えるのですが、例えば、ステレオ・ペアのコンデンサー・マイクのみをオンにすると、演奏者のポジションで広がりのあるピアノの音を楽しめます。

まとめ

 もし、この年代のピアノが目の前にあったとしても、貴重すぎて普通には弾かせてもらえないでしょう。そんなピアノのサウンドをいつでも演奏できるというのが、この製品最大のメリットだと思います。しかも、その貴重なピアノをプリパレーションしたというのもすごい話ですね。

製品情報

  • 価格:18,000円(149ドル)
  • 音源方式:サンプリング
  • 容量:14.08GB(FLAC圧縮、非圧縮WAV:61.92GB)
  • ベース・モデル:PLEYEL
  • 対応フォーマット:AAX/AU/VST/VST3/スタンドアローン

REQUIREMENTS
●Mac:macOS 10.14〜13(64ビット) ●Windows:Windows 10〜11(64ビット) ●4GB RAM(8GB以上を強く推奨)、15GB以上の空きディスク容量(7,200回転のハード・ディスク/SSD推奨)、最新版のUVI WorkstationまたはFalcon、インターネット接続環境(登録とダウンロード)、iLokアカウント

 

牧戸太郎

牧戸太郎
東京音楽大学作曲指揮専攻映画放送音楽コース卒業。その後、作編曲家として活動を開始し、竹内まりや、Hey!Say!Jump、King & Princeなどの編曲を手掛けるほか、映画『兄に愛されすぎて困ってます』、WOWOW『向こうの果て』、テレビ東京『先生のおとりよせ』、日本テレビ『ぴーすおぶけーき』、Hulu『社畜OLちえ丸日記』など多数のドラマ、映画の劇伴でも活躍している。

【特集】ピアノ音源14製品レビュー