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MODARTT Pianoteq 8 Pro|ピアノ音源14製品レビュー

親しみのある楽器でありながら千差万別。それがピアノの面白さであり、膨大な数のピアノ・ソフト音源が市販されている理由でもあるのでしょう。本企画では話題の14製品をピックアップして、作編曲家の牧戸太郎さんにレビューしていただきました。また、各製品の試聴音源では、牧戸さんにタイプの異なる3つのフレーズを制作していただいたので、好みに合うサウンドを探してみてください!

滑らかな演奏性と多彩な共鳴表現を物理モデリングで実現

MODARTT Pianoteq 8 Pro|62,800円

MODARTT Pianoteq 8 Pro|62,800円

 物理モデリングにより、弦やキャビネットの共鳴、ペダル、ハンマーの挙動などをリアルタイムに再現する製品。最大5本のマイクを利用でき、位置も変更可能。ハンマーの硬さや弦長なども調節できる。これらを約50MBという小容量で実現している点も見逃せない。その上、別売りでナイロン・ギター音色の拡張音源も発売されるなど、ピアノ音源の枠を超えた進化を見せている。Pro以外にPianoteq 8 Stage(21,900円)、Pianoteq 8 Standard(42,600円)もラインナップ。

マイクの設定画面。最大で5本のマイクを使用できるほか、バイノーラル・マイクにも切り替え可能。5本のマイクはピアノからの距離や高さなどを自由に変更でき、各マイクの種類も豊富に用意されている

マイクの設定画面。最大で5本のマイクを使用できるほか、バイノーラル・マイクにも切り替え可能。5本のマイクはピアノからの距離や高さなどを自由に変更でき、各マイクの種類も豊富に用意されている

サウンドの印象

 STEINWAY & SONSをはじめ、さまざまなメーカーの音色が用意されていますが、どれもナチュラルでクセがありません。その上、バージョン・アップにより音楽的な深みやピアノとしてのかっこ良さという側面がさらにブラッシュアップされています。また共鳴表現が素晴らしいのもポイント。何と10種類ものペダル表現が用意されていて、同時に4つまで割り当てることができるのですが、その中でも“ハーモニック・ペダル”を使うと面白い効果を得られます。これはサステイン・ペダルの効果を維持したままスタッカート演奏ができるというペダルで、これを使って共鳴させた弦はまるでリバーブのように美しく響きます。

演奏性

 ダイナミクスの変化が非常に滑らかで、これはベロシティ・レイヤーが存在しない物理モデリング最大の強みと言ってよいでしょう。またデフォルトで、ダイナミックな演奏を触発してくれるようなセッティングになっています。ダイナミック・レンジが狭いと演奏に対するモチベーションも下がってしまうのですが、強く弾いても大丈夫と思わせてくれる余裕があります。このセッティングは非常に演奏しやすく、激しい演奏にも適しているといえるでしょう。

ジャンル感

 何にでも使えるサウンドの幅の広さを持っています。オールマイティです。

音作りの自由度

 多彩なパラメーターを装備しており、その全貌は本稿の文字数では到底紹介しきれないのですが、特に注目なのが最大5本のマイクを使用できる点です。ピアノからの距離や高さ、マイクの向きなどを自由に変えられるのはすごいの一言。演奏者が聴いている音、ホールで聴衆が聴いている音、ピアノの中に頭を突っ込んでいる音など、さまざまなシミュレートを行えます。バイノーラルも可能ですし、マイクの種類が豊富に用意されているのも楽しいポイント。ここまでくると、もはやレコーディング気分です。

まとめ

 ピアノ音源としてお薦めできるのはもちろんなのですが、実は別売りで用意されているアドオン拡張音源も非常に魅力的です。特にスティール・パンに感動してしまいました。シロフォンやハープシコードもリアルなので、機会があれば聴いてみてください。

製品情報

  • 価格:62,800円
  • 音源方式:物理モデリング
  • 容量:約50MB
  • ベース・モデル:STEINWAY & SONS / STEINGRAEBER / BECHSTEIN / BLÜTHNER / GROTRIAN AND PETRFなど
  • 対応フォーマット:AAX/AU/VST/VST3/スタンドアローン

REQUIREMENTS
●Mac:OS X 10.11以降、INTEL/APPLE Silicon(M1)対応 ●Windows:Windows 7〜11 ●1GB RAM以上、約40MB以上のディスク空き容量、インターネット接続環境、Core Audio(Mac)/ASIO(Win)対応オーディオI/O

 

牧戸太郎

牧戸太郎
東京音楽大学作曲指揮専攻映画放送音楽コース卒業。その後、作編曲家として活動を開始し、竹内まりや、Hey!Say!Jump、King & Princeなどの編曲を手掛けるほか、映画『兄に愛されすぎて困ってます』、WOWOW『向こうの果て』、テレビ東京『先生のおとりよせ』、日本テレビ『ぴーすおぶけーき』、Hulu『社畜OLちえ丸日記』など多数のドラマ、映画の劇伴でも活躍している。

【特集】ピアノ音源14製品レビュー