トラックメイカーのYebisu303がTEENAGE ENGINEERING OP-1 fieldの魅力を伝える20日間。DAY16は、シンセやドラム、エフェクトにダイナミックな変化が付けられるLFOの使い方について紹介します!
LFOでパラメーターに周期的な変化をつけてみよう
LFOはLow Frequency Oscillatorの略で、パラメーターに周期的な変化(モジュレーション)を与えることができる便利な機能です。LFOの振幅量や周期を、エンコーダーや外部からコントロールしてモジュレーションに時間的に変化を与えることができます。
LFOタイプの選び方
シンセ/ドラム・モードのいずれかで、 shift+T4キーでブラウザ画面を表示させて、ブルーのエンコーダーを使って選択します。
- ブルーを回す:カーソルを移動
- ブルーを押す:LFOタイプの選択
基本的な設定方法
用意されているLFOのモジュレーションソースに対して、amount(パラメーターの変化量)、destination(モジュレーションの行先:シンセ・エンジン/エンベロープ/エフェクト/main)、parameter(モジュレーションさせたいパラメーター)を選ぶだけです。
各パラメーターは基本的にエンコーダーを回す/押すの両方で変更できますが、押し込みでしか変更できないパラメーターが存在する場合、ディスプレイ上のパラメーターに▼マークが表示されます。
LFOが適用された場合、その影響を受けたパラメーターがモジュレーションの量に応じてアニメーションするので、音源に対して何が行われているのかが視覚的に分かりやすくなっています。
用途別に選べる6つのタイプ
一般的なシンセサイザーに搭載されているオーソドックスなものから、特定の目的に特化したものまで、さまざまなタイプが用意されています。
value lfo
最もオーソドックスなLFOです。波形の種類はサイン波、矩形波、ノコギリ波、逆ノコギリ波が選択できます。
エンコーダーでコントロールできるパラメーター
- ブルー(押す):lfo shape(LFOの波形の種類)
- ブルー(回す):speed(LFOの周期の速さ)※shift+ブルーで微調整が可能
- オーカー:amount(LFOの振幅の大きさ)
- グレー:distination(モジュレーションの行先)
- オレンジ:parameter(パラメーターの選択)
element lfo
外部入力ソースを使用するLFOです。入力ソースは4種類(傾きセンサー、外部音声入力、選択した音色のエンベロープ、main outに送られた信号)から選択できます。これは後で詳しく述べます!
エンコーダーでコントロールできるパラメーター
- ブルー:sourse(外部入力ソースの種類)
- オーカー:amount(LFOの振幅の大きさ)
- グレー:distination(モジュレーションの行先)
- オレンジ:parameter(モジュレーションさせたいパラメーターの選択)
midi lfo
外部MIDI機器からのコントロール・チェンジを使用して、4つのパラメーターをモジュレーションできます。CCナンバー1〜4が4つのノブで指定したパラメーターに対応しています。このタイプのみ、distinationの選択方法がほかと異なります。
エンコーダーでコントロールできるパラメーター
- ブルー〜オレンジ(shift+押す)
distination 1〜4(モジュレーションの行先) - ブルー〜オレンジ(回す)
parameter 1〜4(モジュレーションさせたいパラメーターの選択)
外部シーケンサーのMIDI CCで、シンセ・エンジンdimensionのパラメーターをコントロールしてる動画をご覧ください!
random lfo
モジュレーションソースがランダム波形で固定されたLFOです。後段にはモジュレーション量の立ち上がり/余韻をコントロールできるエンベロープが用意されているため、細かいニュアンスを出したいときに便利です。
ロータリーエンコーダーでコントロールできるパラメーター
- ブルー:speed(LFOの周期の速さ)
- オーカー:amount(LFOの振幅の大きさ)
- グレー:distination(モジュレーションの行先)
- オレンジ:parameter(パラメーターの選択)
tremolo lfo
モジュレーション先がピッチと音量で固定された、トレモロとしての用途に特化したLFOです。ピッチ/音量それぞれに個別のモジュレーション量を設定できるほか、ramdom同様のエンベロープも使用できます。shift + オレンジのエンコーダーを回すと、LFOの波形の種類(サイン波、ノコギリ波、指数関数的に値が変化するノコギリ波、矩形波、周期幅が大きい矩形波)を選択できます。
ロータリーエンコーダーでコントロールできるパラメーター
- ブルー:speed(LFOの周期の速さ)※shift+ブルーで微調整が可能
- オーカー:pitch amount(ピッチのモジュレーション量)
- グレー:amount(LFOの振幅の大きさ)
- オレンジ:parameter(パラメーターの選択)
- shift+オレンジ:lfo shape(LFOの種類)
velocity lfo
鍵盤のベロシティに応じて任意のパラメーターをモジュレーションできます。音量増幅に関する固定パラメーターも同時に使用できるため、生演奏による表現力を強調したいシチュエーションで役立ちます。
ロータリーエンコーダーでコントロールできるパラメーター
- ブルー:distination amount(LFOの振幅の大きさ)
- オーカー:amount(音量の大きさ)
- グレー:distination(モジュレーションの行先)
- オレンジ:parameter(パラメーターの選択)
ただし、OP-1 fieldの鍵盤はベロシティ固定(常に127)なので、OP-1 field単体使用時には効果が得られない点に注意してください!
→ 2022年11月17日のファームウェアのアップデートにより、OP-1 fieldの鍵盤がベロシティに対応しました! 3段階(オフ、ソフト、ハード)から選択できます。
傾きセンサーを使ったモジュレーションが面白い!
LFOのオススメセッティングは何といってもelement lfoの傾きセンサーを使ったモジュレーションです!
机の上に置いた状態ではモジュレーション量が0になるよう調整されているので、ライブ中に鍵盤を弾いたりシーケンサーを走らせながら本体を持ち上げて、音色を変化させたり派手なエフェクトをかけるという、ほかのシンセでは実現できない型破りなパフォーマンスが可能です。
個人的にはsynth samplerを使って、サンプルのスタートポイントやループインをモジュレーションさせるのがお気に入りです。
Yebisu303(Acid Alliance)
【Profile】アシッドハウス、デトロイトテクノ、エレクトロ、ハードミニマルに強い感銘を受け、20代後半よりトラック制作を開始。 無類のハードウェア機材愛好家でもあり、日々マシンライブや機材デモンストレーション動画の制作を行っている。 また、近年ではKORGやSONICWARE製品のプリセットやTVアニメ「ユーレイデコ」の劇伴・イメージソングを制作するなど、その活動は多岐に渡っている。
bandcamp https://yebisu303.bandcamp.com/
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