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HEDD Type 07 MK2 〜【ペアで約30万円以下】プロがうなる!選りすぐりのモニター・スピーカー11モデルをレビュー

HEDD Type 07 MK2 〜【ペアで約30万円以下】プロがうなる!選りすぐりのモニター・スピーカー11モデルをレビュー

ペアで30万円以下のモニター・スピーカーから選び抜かれた全11モデルを、音楽制作の第一線で活躍するエンジニアの染野拓氏、プロデューサー/コンポーザーのT.Kura氏が徹底レビュー! ここでは、HEDD Type 07 MK2を紹介します。

位相を補正するLINEARISERスイッチを搭載。バスレフ・ポートをふさいで使用することも可能

HEDD Type 07 MK2 フロント
HEDD Type 07 MK2 リア
HEDD Type 07 MK2|製品価格:オープン・プライス(市場予想価格:127,600円前後/1台(ブラック)、136,400円前後/1台(ホワイト))

 独自のAMTツィーターによるクリーンでリアルな中高域&高域と、7インチ径ウーファーによるレスポンスの速い低域が特徴。背面には位相を補正するLINEARISERスイッチやEQ、低域のレスポンスを拡張するLF RANGEスイッチ、入力信号の選択や入力感度を決めるノブのほか、机に設置した際の音の反射を抑制するDESK FILTERノブなどを備える。また、バスレフ・ポートを付属の部品でふさいで使用することが可能で、その際は背面のCoPスイッチからモードを切り替える必要がある。

バスレフ・ポートを付属の部品でふさいだ状態。同梱される専用のねじを使うことで、簡単に出し入れできる

バスレフ・ポートを付属の部品でふさいだ状態。同梱される専用のねじを使うことで、簡単に出し入れできる

SPECIFICATIONS
●形式:2ウェイ・パワード ●スピーカー構成:7インチ径ウーファー+約2インチ径ツィーター ●周波数特性:38Hz~40kHz ●外形寸法:220(W)×370(H)×300(D)mm ●重量:9.9kg/1台

中〜高域のピークを滑らかに聴かせてくれる 〜染野拓

 Type 07 MK2は、まさに音職人向けのスピーカー。見た目の通り、上品で落ち着いた音が鳴ります。特徴は高域を担うAMTツイーター。ボーカルや中〜高域の楽器のピークを滑らかに聴かせてくれるでしょう。一方、低域はタイト。あえてテンションの上がるダンス・ミュージックを流してみたところ、良い意味で“冷静に聴ける音”になります。そのため、この点がまさに“音職人向け”だと感じた理由です。ミックス・エンジニアはもちろん、ミックスしながら制作するクリエイターやビート・メイカーの方には、特にお薦めできると思います。奥行き感がとてもあるのでリバーブのテイルが見えやすく、定位感もよく分かるため、各楽器がどこに配置されているのかが一目瞭然。このことから、Type 07 MK2はライブ映像のミックスにも向いていると思いました。

 とにかくどんな音楽も落ち着いた音で鳴らしてくれるため、ミックスで“ダメなところはダメ”だと正直に教えてくれるスピーカーです。なお、リア・パネルにあるLINEARISERノブは、デフォルトでオンにしておくことを推奨。音像がぼやけずくっきりするので、迷ったときのジャッジに時間をかけないで音楽制作ができるスピーカーだと思います。

作曲からミックスまでオールマイティに使える 〜T.Kura

 高域/中域/低域とバランスが良く、奥行き感や定位感についても全部良いですね。とにかく音像全体の解像度が高いので、どこに何のパートがあるのかがはっきり分かります。ゲインを上げたときの色付きは若干ありますが、全く気にならないので、総合的にType 07 MK2は優秀なモニター・スピーカーだと言えるでしょう。

 リア・パネルにあるLINEARISERノブは、オンにすると音の定位感がよりクリアに分かるため、マストで入れておいたほうがいいかもしれません。デッドではない試聴環境でもこれだけビシッとなるのには驚きました。同じリア・パネルにある低域用のSHELVING FILTERノブを4dBブーストしてみたところ、位相のにじみがほとんど感じられなかったのでここも好印象。一般的には内蔵DSPで低域をブーストするとボワンとにじみやすいものが多いのですが、Type 07 MK2の場合はタイトさを保っています。

 あと、AMTツイーターは高域を繊細に見せてくれるので最高です。全体的には音を分析しやすい傾向を持っているため、作曲からミックスまでオールマイティに使えるスピーカー。購入しようかな?とその場で思ったくらいです!

レビュワー紹介

染野拓

染野拓
レコーディング/ミックス・エンジニア、PA。2017年、東京藝術大学音楽環境創造科を卒業。2019年からStyrismに所属し、これまでにCHARA、SIRUP、odol、WONK、モノンクルなどの作品を手掛けている。

 Recent Work 

『Where is "LAGHEADS"?』
LAGHEADS
(LAGHEADS LABEL)
※全8曲のうち7曲のミックスを担当


T.Kura

T.Kura
プロデューサー/コンポーザー。EXILE、三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE、Crystal Kay、安室奈美恵、AI、三浦大知などの国内トップ・アーティストを手掛けるほか、1996年にプロデュースしたエリーシャ・ラヴァーンのシングル「Say Yeah!」がUKの『Blues&Soul』誌のチャートで1位を獲得。2010年には、EXILE「I Wish For You」で第52回日本レコード大賞を受賞。日本国内にとどまらず世界で活躍しているR&B/ヒップホップ・プロデューサー。

試聴環境

 モニター・スピーカーの試聴は、前回の特集“はじめてのモニター・スピーカー選び”に続き、東京・御茶ノ水にある多目的スペースのRITTOR BASEで行なった。スタジオにはデスクとスピーカー・スタンドを用意し、全11モデルを個別にスタンドへ配置してレビュー。レビュワーの2人には、リファレンスとなる音源を再生したり、AVID Pro Toolsのセッションで作業したりして、各モニター・スピーカーの性能をチェックしてもらった。

御茶ノ水RITTOR BASE内に設置したデスクとスピーカー。リスナーの位置と各スピーカーの位置が正三角形になるようにリスニング・ポジションを設定している。なお、この写真はレビュー当日のセット・アップを再現したものであり、本番では各レビュアーが持ち寄ったラップトップやオーディオ・インターフェースをデスクに配置した

御茶ノ水RITTOR BASE内に設置したデスクとスピーカー。リスナーの位置と各スピーカーの位置が正三角形になるようにリスニング・ポジションを設定している。なお、この写真はレビュー当日のセット・アップを再現したものであり、本番では各レビュアーが持ち寄ったラップトップやオーディオ・インターフェースをデスクに配置した

製品情報

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