FOCAL Shape 65 〜【ペアで約30万円以下】プロがうなる!選りすぐりのモニター・スピーカー11モデルをレビュー

FOCAL Shape 65 〜【ペアで約30万円以下】プロがうなる!選りすぐりのモニター・スピーカー11モデルをレビュー

ペアで30万円以下のモニター・スピーカーから選び抜かれた全11モデルを、音楽制作の第一線で活躍するエンジニアの染野拓氏、プロデューサー/コンポーザーのT.Kura氏が徹底レビュー! ここでは、FOCAL Shape 65を紹介します。

亜麻繊維製コーンによる制動感のある低域が特徴。背面にはハイパス・フィルターやEQを搭載

FOCAL Shape 65 フロント
FOCAL Shape 65 リア
FOCAL Shape 65|製品価格:137,500円/1台

 Shapeシリーズの中で、最も周波数特性が広いモデル。亜麻繊維を用いたコーン・ウーファーと、アルミニウム/マグネシウム合金を採用した独自技術の1インチ径ツィーターを搭載し、2基のクラスABアンプで駆動する。両サイドにはパッシブ・ラジエーターを装備。制動感のある低域と自然な中高域、解像度の高い高域を特徴とする。背面にはハイパス・フィルターと250Hz以下のシェルビング、160Hzのピーク、4.5kHz以上のシェルビングEQを搭載。高さや傾きを調整可能なゴム足も付属する。

本体の両サイドにパッシブ・ラジエーターを搭載するため、壁際に設置した際の影響を受けにくい

本体の両サイドにパッシブ・ラジエーターを搭載するため、壁際に設置した際の影響を受けにくい

SPECIFICATIONS
●形式:2ウェイ・パワード ●スピーカー構成:6.5インチ径ウーファー+1インチ径ツィーター ●周波数特性:40Hz~35kHz ●外形寸法:218(W)×355(H)×285(D)mm(ゴム足含む) ●重量:8.5kg/1台

低域をしっかり鳴らせるパッシブ・ラジエイター 〜染野拓

 Shape 65は本当に素晴らしい音がします! 自分はモニター・ヘッドフォンにFOCAL Clear Proを愛用しており、以前はFOCAL Solo6 Beをモニター・スピーカーに使用していました。FOCALのスピーカーはいずれも高域が優しく鳴るため、長時間聴いても疲れません。Shape 65と相性がいいと感じた音楽は、ピアノやアコギのような生楽器による演奏を中心とした曲。一方、激しいダブステップやEDM調の楽曲も聴いてみましたが、高域が滑らかなのでどちらも聴きやすかったです。それなのにピークが分かりやすい。つまり、Shape 65は優秀なモニターだということでしょう。さらに、パッシブ・ラジエーターを両サイドに搭載しているため、低域もしっかり鳴らせるスピーカーです。

 リア・パネルには、EQ補正用のノブが搭載されています。試聴環境にもよると思いますが、今回は何も調整せずともバランス良く鳴ったので、細かいことは気にせず、ポンと置くだけで素晴らしい音を鳴らせるスピーカーだという印象を持ちました。そのため、自宅で音楽制作する方にもShape 65は良い選択だと思います。外観もおしゃれなので、すぐにでも手に入れたくなるほどです。

嫌みのない高域で長時間作業もラクラク 〜T.Kura

 以前、モニターにFOCAL SM9を使用していたことがあり、ヘッドフォンは今でもClear Proを使っているくらいFOCALのサウンド・キャラクターが好きです。Shape 65も、FOCALらしい滑らかな高域が特徴のサウンド・キャラクターを持っています。リア・パネルに搭載された4つのノブでは、EQ補正機能をコントロール可能。試しに4.5kHzのポイントで固定されたハイシェルフEQを+3dBにしたところ、高域のシルキーさが保たれたまま持ち上がりました。これにより、リバーブのテイルがより見えやすくなり、奥行きもさらに分かりやすくなったのです。これには本当によくできているなあと感心。なお、長時間作業をしていると耳がだんだん疲れてくることがありますが、Shape 65は高域に嫌みがないので、この点も問題ありません。快適に作業し続けられるでしょう。

 Shape 65は、ミックスにはもちろん、鳴りがものすごく良いので作曲やビート・メイキングには特にお勧めです。外観はインテリアとしても映えるようなデザインになっているため、自宅で作業するようなクリエイターやエンジニアにもチェックしていただきたいスピーカーです。

レビュワー紹介

染野拓

染野拓
レコーディング/ミックス・エンジニア、PA。2017年、東京藝術大学音楽環境創造科を卒業。2019年からStyrismに所属し、これまでにCHARA、SIRUP、odol、WONK、モノンクルなどの作品を手掛けている。

 Recent Work 

『Where is "LAGHEADS"?』
LAGHEADS
(LAGHEADS LABEL)
※全8曲のうち7曲のミックスを担当


T.Kura

T.Kura
プロデューサー/コンポーザー。EXILE、三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE、Crystal Kay、安室奈美恵、AI、三浦大知などの国内トップ・アーティストを手掛けるほか、1996年にプロデュースしたエリーシャ・ラヴァーンのシングル「Say Yeah!」がUKの『Blues&Soul』誌のチャートで1位を獲得。2010年には、EXILE「I Wish For You」で第52回日本レコード大賞を受賞。日本国内にとどまらず世界で活躍しているR&B/ヒップホップ・プロデューサー。

試聴環境

 モニター・スピーカーの試聴は、前回の特集“はじめてのモニター・スピーカー選び”に続き、東京・御茶ノ水にある多目的スペースのRITTOR BASEで行なった。スタジオにはデスクとスピーカー・スタンドを用意し、全11モデルを個別にスタンドへ配置してレビュー。レビュワーの2人には、リファレンスとなる音源を再生したり、AVID Pro Toolsのセッションで作業したりして、各モニター・スピーカーの性能をチェックしてもらった。

御茶ノ水RITTOR BASE内に設置したデスクとスピーカー。リスナーの位置と各スピーカーの位置が正三角形になるようにリスニング・ポジションを設定している。なお、この写真はレビュー当日のセット・アップを再現したものであり、本番では各レビュアーが持ち寄ったラップトップやオーディオ・インターフェースをデスクに配置した

御茶ノ水RITTOR BASE内に設置したデスクとスピーカー。リスナーの位置と各スピーカーの位置が正三角形になるようにリスニング・ポジションを設定している。なお、この写真はレビュー当日のセット・アップを再現したものであり、本番では各レビュアーが持ち寄ったラップトップやオーディオ・インターフェースをデスクに配置した

製品情報

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