この特集では、ビギナーでも作曲や演奏に取り入れやすい25パターンのコード進行と、その理解に必要なポイント解説を4ステップで紹介! 各ステップは、コード進行の知識を深める“解説編”と、実際のコード進行やアレンジ・テクニックによる“実践編”で展開します。Step 2の解説編では、Step 1で作った“7個のコード”を入れ替えてバリエーションを増やしていきます。
コード進行とは安定と不安定を行き来しながらストーリーを作ること
ダイアトニック・コードの各コードには、実は“役割”があります。これは“明るい”“暗い”といった各コードの雰囲気とはまた別の話で、コード同士の関係性と考えるとよいでしょう。この役割には大きく分けて3つあります。“安定”“不安定”、その中間の“やや不安定”です。
具体的には、Cが安定、Gが不安定、Fがやや不安定なコードなのですが、前述した通り、各コード単体の響きがそうなのではなく、例えばGからCへ進むと不安定な感じから安定した感じへ、少し大げさに言い換えると物語が結末を迎えるような解決感が生まれたりする、といえば何となくイメージできるでしょうか?
ですから、“安定”したCは曲の最初や最後などに使うとしっくりきます。これを音楽理論では“ トニック ”と呼びます。また“不安定”なGは落ち着かないので次の展開を予感させたりします。これを“ ドミナント ”と呼びます。そして“やや不安定”なのがFの“ サブドミナント ”です。
この3つの“役割”をどのように組み合わせるかというシナリオがすなわちコード進行です。例えば、曲の最後にトニックを持ってくると落ち着いた終わり方になりますし、同じコード進行を繰り返したければ、コード進行の最後にドミナントを持ってきて、コード進行の最初のトニックにスムーズにつなげるようにすればOKです。
【ちょっと深堀り!】本当に不安定なのはG7?
本特集ではGからCへ進むと“不安定から安定”に変化すると説明していますが、実はより不安定さを感じさせるコードがあります。それはGにファを加えた“G7”です。このG7に含まれるシとファの距離の関係が、とても不安定な雰囲気を醸し出し、それがCへと進むことで安定感を生み出します。ドミナント・コードはこのG7の形で使われることが多いのです。興味がある方はぜひ音楽理論書を読んでみてください。
C、G、F以外のコードにも“役割”がある
ダイアトニック・コードは役割でグループ分けすることができます。基本はトニックがC、ドミナントがG、サブドミナントがFなのですが、下記の表のように、これら以外も3つのグループに分類できるのです。
そしてここからが本題です。同じ役割のコードであれば入れ替えられる可能性があります。例えばCをAmやEmにしたり、FをDmにしたりできるのです。役割は同じなのでコード進行のストーリーは保ちつつ、響きが異なるため同じメロディでも違った雰囲気を演出することができます。
このように同じ役割で入れ替え可能なコードのことを“ 代理コード ”と呼びます。
ただし、メロディによっては合わないこともあるので、最終的には耳で判断することが大切です。
Step 2のまとめ
■コードにはトニック、ドミナント、サブドミナントの3種類がある
■同じ役割のコードは入れ替えられる可能性が高い
■入れ替え可能なコード=代理コード
Step 2の実践編では、代理コードなどを使った6パターンを作曲家のKOUGA氏に解説いただきます。