ワンランク上のコンデンサー・マイクで歌録りのパフォーマンス&録り音を向上させたい方向けに、10~20万円台の現行モデル15機種をエンジニア&ボーカリストがレビュー!ここでは、UNIVERSAL AUDIO UA Bock 187を紹介。マイク・デザイナーのデヴィッド・ボック氏が手掛けたFET仕様のマイクです。
著名マイク・デザイナーがNEUMANN U 87に触発されて製作
マイク・デザイナーのデヴィッド・ボック氏がプロダクト・エンジニアリングに携わったFET仕様の一本。NEUMANN U 87を意識した音で、ノーマル/ファットの2モードを切り替えて使用可能。ファットにすれば10~400Hzがブーストされ、ふくよかな音になるという。
価格:オープン・プライス(市場予想価格:176,000円前後)
●発売年:2023年 ●ダイアフラム径:32mm(実測値) ●指向性:単一 ●アンプ回路:FET ●ハイパス・フィルター:120Hz ●PAD:-10dB ●出力インピーダンス:200Ω ●外形寸法:50(φ)×195(H)mm ●重量:725g
【Engineer】ファット・モードのチューニングが絶妙 〜中村公輔
SOUNDELUXやBOCK AUDIOといったマイク・ブランドを手掛けたデヴィッド・ボック氏が、もう自分のブランドをやめてしまったのか……と思っていたら、UNIVERSAL AUDIOにプロダクト・エンジニアとして関わっていたのですね。本機の内部写真を見てみると、CINEMAGのトランスやWIMAのコンデンサーなど高級パーツが使われているし、これは期待できると感じました。
音を聴いてみたところ、ダイナミック・レンジが広く、大きいところは大きく出る感じですが、不思議とクリーミーさもあって、まとまりを感じる部分があります。また、ノーマルとファットのモード切り替えスイッチを備え、ファットにすると低域が太くなるものの、中域が張り出したまま重心が下がるので、男性ボーカルがちょうど良い具合に前へ出ます。チューニングが絶妙です。
【Male Vocalist】高域の押し出し感にテンションが上がる 〜高畠俊太郎
ノーマル・モードで歌ったとき、裏声を張った場面で高域がしっかり押し出された印象があり、“来た!”とテンションが上がりました。ファット・モードはノーマルより落ち着いた音色で、曲へのなじみが良かったです。両モードとも、中低域が奇麗に聴こえたので、そこは優等生という感じ。歌うジャンルや曲調によって、使い分けてみると良い効果が得られるかもしれません。
【Female Vocalist】魅力的な成分=中低域を強調してくれる 〜シバノソウ
見た目がすごくかわいくて、女子が宅録する際にもテンションが上がると思います。音についても女性の声域に合う印象で、空気感をたくさん拾うわけではありませんが、自分の出したい声をしっかりと収音してくれる。特にファット・モードが、出したいところをより強調してくれたかなと。声色において魅力的な部分=中低域を押し出してくれたので、安定感も増していると思います。
製品情報
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